忘れてはいけない
6年前の秋。
私が住んでいるこの町を、大水害が襲った。
朝から降り続いた集中豪雨で、町の真ん中を流れる河が氾濫。町は濁流に飲み込まれた。
のちに激甚災害に指定されたあの洪水の映像を、今日、久しぶりに見た。
最初はあれこれ話しながら見ていたけれど、途中から誰も何も言わなくなった。
川のようになったメインストリート。
傾いた家。
流されてくる小屋。
腰まで水に浸かりながら避難する人たち。
すっかり忘れていた(忘れたいと思っていた)光景が、よみがえってきた。
どうすればいいんだ。どうにもできない。
ただ、町が壊れてゆくのを眺めているしかできなかった、あの日。
その時の気持ちがあまりに生々しく思い出されて・・・涙がにじんだ。
それからの復興はすさまじい勢いだった。
その苦労はとても一言では語れないけれど・・・。
去年、全ての復旧工事も終わり、あの大水害は過去のものになった。
だけど、忘れてはいけない。
天災の恐ろしさもさることながら、復興にかけた町民のエネルギーや、ボランティアのあたたかさ。
あの絶望の中から、立ち上がった人たちがいたということ。
こんなことがあったのだよ、と語り継ぐのは、経験した私たちのつとめ。
思い出すのもつらいけれど、忘れてはいけないのだ。
« がんばれ、がんばれ | トップページ | 猫にゃ勝てない »
コメント