ピンクのうさぎ・緑の牛
子供の頃の思い出話になった時。
もうずっと忘れていたことを、ふっと思い出した。
お気に入りのぬいぐるみ。
それは、母が手作りのキットを買って、縫ってくれたもの。
うすいピンクのうさぎ。
緑の牛。
うさぎは寝そべってるかっこうで
(「うさぎとカメ」で、油断して昼寝してるあの姿)
牛も横向きで平べったいものだったから、
ぬいぐるみというより、枕だったのかも。
とにかく、その二つがお気に入りだった。
いつも、そばに置いていて、一緒に寝たりしていた。
見た目はうさちゃんの方がかわいいのだけど、
モーモーの方が肌触りはよかった。
幼い頃、父は出稼ぎに行っていた。
年に2,3回の帰宅を、私はかなり楽しみにしていて、
また出稼ぎに行くと聞くと、とても悲しかった。
うさちゃんとモーモーに「また行っちゃうんだって」と語りかけ、
泣いていたら、それに気づいた父まで涙を浮かべたことがあった。
当時はまだ一人っ子で、近所には年上の子しかいなくて、
私はけっこう寂しがりやの子供だった。
だから、うさちゃんとモーモーは、大事な友達だった。
あのぬいぐるみたちはどこに行ったろう。
おそらく、母はそういうものを捨てる人ではないから、
家の押し入れにでも眠っているはず。
ピンクのうさぎと緑の牛。
探してみたい気もするけれど、なくてもいいのかもしれない。
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