17年
衛星放送でウィンブルドンの生中継を見るために、
夜中に寮の食堂のテレビをこっそりつけた。
ところが、画面に映し出されたのは、緑の芝ではなくって、
闇の中、騒然とした群集と、装甲車だった。
いったいこれは何?
大会が雨天延期になって、映画でもやってるんだろうか?
しかし、画面の隅には「LIVE」の文字。
これは、現実。
今、起こっていること。
でも、いったい、何?
・・・それが、私が「天安門事件」を知った瞬間だった。
あれから、今日でまる17年。
あの頃から、世界はめまぐるしく変容し、
価値観もどんどん変化している気がする。
そのスピードについていけず、茫然としている間に、
またどこかで何かが起こっている。
日本で、世界で、「大事件」と呼ばれるものだけでも、
両手に余るくらいあった。
それでも。
風化させてはいけないものは、ある。
あのライブ映像を見た瞬間の衝撃。
あの広場に集った人々の意志も希望も未来も、
いとも簡単に踏み潰されたことへの怒り。
私の中に確かにあったその記憶も、
きっと風化させてはいけないものだ。
コメント