八重桜の話
八重桜は、ほかの桜から遅れて咲く。
だからこそ、鳥や虫もみんな八重桜のところに来てくれる。
そんなふうに、ゆっくりと、
自分のペースで生きていければいいのだよ、と。
ちょっとトロい孫娘を励ますために、
おじいちゃんが書いたお話。
たしか、わかつきめぐみ「So What?」に出てきた。
八重桜はあまり好きじゃなかった。
濃いピンクの色も、ぼってりとした花も、
茶色っぽいあの葉の色も、いとわしく思っていた。
桜のもつすっきりとした美しさや儚さとは無縁だったから。
でも、その漫画を読んでから、
ほかの桜に遅れて咲く八重桜が、なんとなくいとしくなった。
あの厚ぼったい花びらが、不器用そうに見えたりして。
ふと話しかけたくなる。
遅れてもいいよ、あなたをちゃんと見てるよ、と。
みんなと同じ・・・ということが、とても大切なことのように思ってしまうけれど。
同じじゃなくてもいいこともある。
八重桜を見ると、そう思う。
みんなと同じ。普通に。
そんな呪縛にも似た言葉に囚われず、
自分のペースで、とことこと歩いていけたらいい。
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