間の悪いスフレ
3433「間の悪いスフレ」 近藤史恵 東京創元社 ★★★★
「ビストロ・パ・マル」は、三舟シェフとスーシェフの志村さん、ソムリエールの金子さん、ギャルソンの高築くんの四人のスタッフが切り盛りする下町の小さなフレンチレストラン。変人だけの腕のいい三舟シェフの料理を味わいにやってくるお客さんたちが多いが、コロナ禍で「パ・マル」の経営も厳しい状況に。しかし、相変わらず謎はいっぱいやってきて・・・。
シリーズ4作目。
「クスクスのきた道」「未来のプラトー・ド・フロマージュ」「知らないタジン」「幻想のフリカッセ」「間の悪いスフレ」「モンドールの理由」「ベラベッカという名前」の7話。
フランス料理は全くわからない私。わからなくてもおもしろい。そんなミステリです。
どの話も、私たちの「現在」と無関係ではなく。そして、今回はコロナ禍やウクライナ戦争下の「パ・マル」が描かれます。
テイクアウトを始めたビストロに中学生くらいの少年がやってくる。ランチメニューとはいえ、少年にとっては安くないだろう金額の一品を買っていく理由が描かれる「未来のプラトー・ド・フロマージュ」。フランス料理に未来はあるのかという疑問にとらわれた若手料理人が登場する「モンドールの理由」。この二作が印象深かったです。今の時代でなければ成立しなかった物語かもしれません。
表題作「間の悪いスフレ」は、『あるある』な話ではあります。高築くんの従兄が「パ・マル」でポロポーズをしようとする話。これが二人にとって笑い話になるような未来であればよいのですが。
大変な世の中ですが、「パ・マル」はなんとかここを乗り切って、お店を続けてほしいものです。(つまり、続編希望)
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