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2003年9月 7日 (日)

孤独の歌声

325「孤独の歌声」天童荒太   新潮文庫   ★★★★

 少女のころ巻き込まれた事件が今でも傷になっている、一人暮らしの女性刑事・朝山風希。
 地元の高校を中退して上京、コンビニでバイトをしながら歌いつづける芳川潤平。
 二人が関わることになったコンビニ強盗。そして、一人暮らしの女性ばかりを狙う連続殺人事件。その事件に関わっていると見られる男を追う風希の隣人の女性が行方不明になり・・・。

 私にとっての初・天童荒太作品でした。久々に再読しました。
 テーマは「孤独」。とても一言では語り尽くせないような密度の濃さで、「孤独」について語られます。風希の視点から。潤平の視点から。そして犯人の視点から。いったいどれが正しくて、どれが歪んでいるのか、読んでいるとわからなくなってきます。
 ただ、鮮烈な印象を残してくれるのは、リレーの「第二走者」のエピソードです。うまくバトンを受け取れない潤平に、「お前は第一走者として走って来い。俺がバトンを受け取るから」という友人。彼の死と、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を重ねるところは、あまりにせつなくて涙が出ます。
 余談ですが、これ、今年から文庫のカバーが変わりましたね。私のは古いものなのですが・・・新しいカバーは、大好きな舟越桂さんの彫刻が使われていて、思わず買いそうになってしまいました・・・。

ハイジ > まゆさん、私も今年の3月まで独り暮らしをしていたので、独り暮らし、という気楽さに隠れがちな怖さをおもい知らされたような1冊でした。でも、最近は異常な事件が多くて、この犯人のような人もどこかにいるような気がして、なんかぞ~っとします。 (2003/09/08 00:00)
まゆ > これが出た当時は、本当に残酷な事件だと思ったものですが、現実の方が追いついてきちゃいましたね。私は今も一人暮らしなので、この怖さってのは他人事ではないです。 (2003/09/08 00:16)
さくら > 天童作品は事件がとても辛いのですが、それでも読んでしまいます。バトンのくだりは私も泣けちゃいました。 (2003/09/08 09:40)
まゆ > これを読んで、「永遠の仔」を読む決心がついたのでした。あれもつらかったですねー。「永遠の仔」は好きな場面だけ何回も読み返していますが、いずれ全部通して読み直してみたい作品です。 (2003/09/08 20:08)

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