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2005年2月16日 (水)

卵のふわふわ

748「卵のふわふわ」宇江佐真理   講談社   ★★★★

 憧れの人の妻となって6年。いまだに子のないのぶと夫・正一郎の仲は冷えていくばかり。
 舅で腕利きなんだか役立たずなんだかよくわからない同心の忠右衛門と、武家の妻らしくない姑のふでにかわいがられて暮らしていたのぶだったが、正一郎の仕打ちにとうとう我慢できなくなり、家を出てしまうのだった。

 「八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし」という外題つき。連作短編です。
 宇江佐さんの江戸物は、お江戸の息遣いが聴こえてくるような描写と、生き生きとした登場人物が魅力だと思っています。この物語は、特にも後者がすばらしい。
 のぶは、世間知らずのまま嫁に行ってしまったお嬢さん。舅姑には可愛がってもらっているけれど、肝心の夫と心が通わない。好き嫌いは多いし、けっこうわがままなところも。
 夫の正一郎は隠密同心。これがいちいちのぶの言動に癇を立てる。実は、結婚前に惚れた女にこっぴどくふられたことがあって・・・。
 姑のふでは、全く武家の奥方らしくない。それもそのはず、噂ではかつて女郎だったとか。
 舅の忠右衛門は食いしん坊で、いまいち頼りにならない。かと思うと、なかなか鋭いところもあり、どうにもつかみどころのない人物。
 全くの悪人もいないかわり、全くの善人もいない。みんな長所も短所もある、普通の人間。だから、彼らが泣いたり笑ったりするのに、こちらも共感できるのです。
 全編、「喰い物」がタイトルになっていますが、それぞれが実に効果的に使われています。表題作にもなっている「卵のふわふわ」はほんとにおいしそう。話もとっても好きです。
 最後まで読み終えて、「ああ、よかったなあ」としみじみ思えて、ちょっと涙ぐんでしまいました。

雨あがり > 読まれましたね~。登場人物が皆いいですよね。生き生きしていて、どの人にも共感できる部分があって。舅の忠右衛門の最後が切なかったですね~。 (2005/02/18 09:37)
まゆ > 雨あがりさん、読みましたよ~。人のいいところも、ダメさ加減も、どちらもリアリティがあってよかったです。宇江佐作品、未読のものもまだまだあるので、もっと読みたいです。 (2005/02/19 00:03)

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