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2006年11月22日 (水)

さよなら妖精

1046「さよなら妖精」米澤穂信   創元推理文庫   ★★★★

 「哲学的な意味がありますか?」・・・ユーゴスラヴィアからやってきた少女・マーヤ。彼女との出会いが、守屋の世界を変えた。小さな謎を解き明かしながら過ごした2ヶ月が過ぎ、マーヤは帰国した。そして、守屋たちは最大の謎を解き明かそうとする。

 夏に文庫を購入して、読もう読もうと思いながら先延ばしにしていました。というのは、ユーゴのたどった運命がわかっていたからです。でもようやく、読むことができました。
 「日常の謎」系のミステリです。が、青春小説の色合いが濃い物語。守屋路行と、その女友達の太刀洗万智がマーヤと出会う、ある意味非現実的な発端。米澤作品らしく、この高校生たちが、なんとも一筋縄でいかない感じ。こんな言葉を遣って、こんなことを考える高校生、90年代でも希少価値だと思うのですが(笑)でも、私は好きなので、いいです。特に、万智は私の好みのタイプ。あの凛とした感じがたまりません。
 一方、守屋はなんとも中途半端で、そのくせ自意識は強いタイプ(米澤作品の定番ですね)。でも、その「若さ」が妙に憎めないのです。
 さて、内戦のユーゴに帰ったマーヤ。守屋は、マーヤの故郷はユーゴのどこなのかを探ろうとします。その結果・・・。行き着いたところは、非常に衝撃的でした。予測していたにも関わらず、一瞬、思考停止してしまいました。守屋たちと一緒に調べ、考え・・・いつのまにか気持ちがシンクロしていたのですね。
 どこかしら感傷的でいて、ただのセンチメンタルに流れていないバランスが、なかなかよかったです。確かに、最後に何かが心に残りました。それを言葉で表すのは難しいけれど。

ときわ姫 > 私が最初に読んだ米澤さんはこれでした。「言葉で表すのは難しいけれど何かが心に残る」全く同感です。 (2006/11/24 09:45)
まゆ > ときわ姫さん、簡単に「わかる」なんて言えない気がするのですよね。ときわ姫さんも指摘されてる通り、つっこみどころは満載なのだけど、そういうのを超えた何かがあると思います。 (2006/11/24 20:47)

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米澤穂信」カテゴリの記事

コメント

コメントありがとうございました。この本に少しだけ似た雰囲気の作品、梨木作品にありましたよね。あの本を読んだ時のこと、よみがえってきました。「村田エフェンディ~~」です。

ほっそさん、なるほどです。「村田~」も読んでましたが、これと結びつけては考えませんでした。

実は、同級生のお姉さんがボスニアに嫁いでいて、内戦でご主人を失って、子供を連れて日本に脱出してきた・・・という出来事があり、あの辺りの内戦の状況には関心があるのですが、難しくてよく理解できないことも多いのですよ。
最近、「坂の上の雲」を読んで、自分の世界史の知識のなさを今更ながら自覚したので、もうちょっと勉強しなきゃな・・・と思ってる今日この頃です。

まゆさん

私もこんな高校生は希少と思いますが(図書委員には、近い感じの子もいますが)、私も好きだからいいです。

さて、作品はというと、行き着くところがわかりながら、避けられないところが辛かった。本当にこの余韻というか、言葉になりません。

マーヤのお兄さんが太刀洗を訪ねてきた物語が読みたくて、(以前読んだのに記憶が皆無……)、今日は「蝦蟇倉市事件2」を本屋で立ち読みしかけたのですが、小心者ゆえ無理でした。やはり、図書館に予約か……。まゆさんに教えていただいた「クジラの彼」も気になりつつ、さっき泣く泣く帰ってきた私です。

なぎさん、決して希望のもてる展開はしないとわかっているのに・・・読んじゃうんですよね。
私が読んだのは4年半前。
でも、あのなんとも言えない読後感は、いまだに鮮明に記憶しています。

早速、読ませていただきました。
またまた、重く深い社会の背景でした。
太刀洗万智が今回、思ったほど活躍してなくって(笑)
でも、存在は大でした。
知らないことが多すぎて恥ずかしいです。
まずは各国の位置関係から学びます。

chiiさん、そうなんです、万智、主人公ではないんですよ。
ただ、万智がジャーナリストになったのは、
やはりマーヤとの出会いが大きかったのかな、と。
そういう意味で、これが万智の原点だったと勝手に思ってます。

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さよなら妖精 (創元推理文庫)米澤 穂信東京創元社このアイテムの詳細を見る 今回は、米澤穂信『さよなら妖精』を紹介します。高校生達とユーゴスラビア人のマーヤとのふれあいを描く青春ミステリーというべきか。第1章と第2章はマーヤとのふれあいについて振り返る。マーヤは日本の文化に興味を持ち、その都度「哲学的意味はありますか」とたずねる。第3章になってマーヤがどこから来てどこへ帰ったのかという謎解きが始まる。手がかりはマーヤの過去の発言である。 大枠は残された高校生達にはユーゴスラビアの6つの共和国(ス... [続きを読む]

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