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2007年9月26日 (水)

雷桜

1190「雷桜」宇江佐真理   角川文庫   ★★★★


 
瀬田村の庄屋の娘・遊は、生まれて間もないある日、突然行方不明になった。死んだものと思われていた遊は、十数年ぶりに帰ってくる。娘らしさのかけらもない「狼女」として。
 遊の次兄・助次郎は、江戸で剣術修行をしていたが、御三卿清水家の中間となる。心を病んだ当主・斉道のそば近く仕えることになった助次郎は、妹の数奇な運命を殿に語ってきかせる。やがて、斉道が瀬田村に逗留することになり・・・。


 
泣きました。物語の終盤、遊の思いがせつなくて、せつなくて。
 この本、買ったのはずいぶん前で、ずっと積読してました。もっと早く読めばよかった・・・。もっとも、いつ読んだからといって、この感動が変わるとは思えませんが。
 宇江佐さんの書く物語には、いつも心のどこかをぎゅっとわしづかみにされるような気がします。いい人ばかりが登場するわけでもありません。ただの悪人もいません。長所も短所も併せ持つ、生身の人間が、笑ったり泣いたりしているのです。だから、彼らの思いに共感してしまうのです。
 遊を失った家族の嘆きには、胸が痛みましたが、遊もまた、たくさんのものを失い、傷を負っているのです。彼女は凛としています。泣いても、怒っても、遊は自分の足で立っています。自分の意志で生きる場所を選び、人を愛し、その後の人生を選び取ったのです。その人生は、タイトルになっている「雷桜」の樹に象徴されます。雷桜のごとく、美しい生き方だと思うのです。

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