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2009年3月

2009年3月26日 (木)

信長遊び

1385「信長遊び」黒鉄ヒロシ   リイド社    ★★★★

日本史に、後にも先にもこんな人物はいなかった。織田信長…果たして彼はどんな人間だったのか?

「新選組」が最高におもしろかった黒鉄漫画。これも期待を裏切りませんでした。
私は一時期信長にはまりましたが、これほどわからない人も珍しいです。黒鉄さんはそんな信長にいろんな角度からアプローチ。自説も交えて、稀代の天才・信長の姿を浮かび上がらせています。
桶狭間から始まって、本能寺の変まで。さらに、信長の息子たちのその後も…。歴史の中に突如として現れて、突如として消えていった巨人の異様さが印象的です。
私としては、お市の章と荒木村重の章が興味深かったです。それから、光秀と信長を表裏一体ととらえた見方も。
信長に興味のある方にはオススメの一冊です。

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2009年3月20日 (金)

夏から夏へ

1384「夏から夏へ」佐藤多佳子   集英社   ★★★★

世界陸上大阪大会。日本代表の4×100mリレー(4継)の選手たちは、いかに戦ったのか。陸上小説の傑作「一瞬の風になれ」の作者・佐藤多佳子が、初のノンフィクションに挑む。

こういうものを書こうとしている・・・というのを佐藤さんのブログで知って以来、ずっと読みたい読みたいと思っていた作品です。

「一瞬の風になれ」は、傑作です。陸上に関しては素人の佐藤さんが、あそこまで描ききるには、相当の取材が必要だったはずです(実際、4年にわたって、取材したらしい)。そして、見たことをよく理解し、陸上競技に愛情を感じていなければ、あの物語は成立しなかったと思います。そういう人の目を通して語られる世界陸上、そしてスプリンターの素顔をいうものを、ぜひ読んでみたい・・・。やはり、陸上は素人だけれど、その魅力にとりつかれている私がそう思っても、なんの不思議もないと思うのです。

前半は、世界陸上の観戦記。後半は、4継の4人の選手(塚原、末續、高平、朝原)と、補欠の小島への素顔にせまる内容。私はノンフィクションが好きな割に、読むのはいつも苦戦するのですが、これはスイスイ読めてしまいました。やはり、物語書きだなあ・・・と思うのですが、ノンフィクションだけど、なんだかストーリーがあるのです。事実の列記になっていないというか・・・。ガチガチのノンフィクションがお好みの方には合わないかもしれませんが、私にはすごく読みやすかったです。

心地よかったのは、佐藤さんが知ったかぶりをしないで、わからないものは「わからない」と言ってしまうところ。どれだけ取材しても、やっぱり、わからない。あるいは、どうしても突っ込んでインタビューできない。聞くべきだった、でも聞けなかった、という思いは、すごく共感できました。

4人の選手は、みんなアスリートとしてはもちろん、人間としても魅力的です。ただ、それ以上に印象的だったのは、補欠の小島選手でした。なかなかできることではないです。みんながレースに行ってしまったあと、サブトラックを泣きながら走っていた・・・というエピソードにはグッときました。

さて、ここまで読んだら、ぜひ「北京の銅メダル」までも読んでみたい・・・と思うのは、私だけでしょうか。

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2009年3月16日 (月)

ジーン・ワルツ

1383「ジーン・ワルツ」海堂尊   新潮社   ★★★★

東城大出身で、現在は帝華大の産婦人科医・曾根崎理恵。32歳。美貌の彼女につけられた異名は「クール・ウィッチ」・・・冷徹な魔女。顕微鏡下人工授精のエキスパートの彼女が担当している5人の妊婦。そして、先輩医師の清川のもとには、理恵が代理母出産に関わっているとの情報がもたらされ・・・。

「ひかりの剣」が読みたくて、それとこの「ジーン・ワルツ」がリンクしているので、まずこれを読んでおかなくては・・・と手にとりました。とりあえず・・・くらいの気持ちで読みましたが、おもしろかったです。

妊娠・出産というのは、今、自分自身が関心があることなので、ついついアンテナが高くなってしまいます。そこにピンポイントで入ってきた感じなのが、この話でした。

お産は命がけ・・・と言われなくなって久しいのでしょうけれど、やはり新しい命を生み出すのは、私たちが思っている以上に大変なことで、無事に産まれてくるのは奇跡にも近い出来事なのだと痛感しました。そして、それにかかわる産婦人科医の過酷な現状・・・。

ただ、これを読んでいて私の心に強く残ったのは、「母親」たちの強い思いでした。もし、私が同じ立場なら、どんな選択をするだろう?・・・そんなことを思いながら、読んでいました。「クール・ウィッチ」の行為が許されるか否かはわかりませんが・・・気持ちだけならわかる気がします。

ところで、これもまたバチスタ・シリーズとちゃんとリンクしてますね。極北市の事件・・・というのは、白鳥の部下・姫宮が潜入捜査すると言ってたやつですよね。それが作品化されるんのが楽しみです。

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2009年3月13日 (金)

陰陽師(全13巻)

1382「陰陽師(全13巻)」   岡野玲子  原作・夢枕獏   白泉社   ★★★★

式神を自在に操る陰陽師・阿倍晴明は、友人の源博雅とともに、魑魅魍魎の跋扈する平安の闇を切り開く・・・。

原作は偉大なるマンネリズムの中を回遊していますが(ほめてるんですよ)、岡野玲子版の漫画の方は、とんでもない高みに飛翔してしまって、ついていけなくなって読むのをやめていたのでした。でも、やっぱりどんな終わり方をしたのか気になって、今回再チャレンジ。

原作に沿っていた最初の方は大丈夫ですが、漫画が原作を超えていったあたりから、やっぱりついていけませんでした(涙)

今回、なんとか最後まで読みましたが、世界観が壮大かつ深遠すぎて、とうてい理解できませんでした。残念・・・。

逆に、すごくシンプルな話なのでは・・・という気もしたのですが、やっぱり理解しきれませんでした。

とにかく、すごい作品だ・・・としか言いようがありません。これしか言えない自分の「浅さ」が情けないです。

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2009年3月11日 (水)

陰日向に咲く

1381「陰日向に咲く」劇団ひとり   幻冬舎   ★★★

わたしはホームレスだった。一人の青年と出会うまでは。・・・さまざまな人たちが織りなす人間模様。

遅ればせながら読みました。劇団ひとりは、テレビで見てると「この人、頭がいいなあ」と思うので、そういう人が小説を書くとどうなるのかな?と、けっこう興味があったのです。評判もいいみたいだったし。

一話ごとに主人公が変わって、でも、すべての話が微妙にリンクしていって・・・。「伊坂幸太郎とか好きですか?」と聞いてみたくなるような構成でした。ただ、いかにも「作りました」「計算してます」って感じで、正直言って好みではなかったです。こっちも頭で読んじゃうんですよね。

ただ、物語として破たんしてるわけではないので、まあ読み進めていって・・・最終話でやられました。

そうきますか・・・という感じで。それまでの話は全て、この最終話のためにあったというか、この最終話を書きたくて、その前の話を考えたんじゃないの?と感じました。違いますかね?

それだけ、最終話の鳴子と雷太の話はよかったです。最初はちょっとひいたけど(苦笑)最後の最後で、心に響きました。

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2009年3月 9日 (月)

ワーキング・ホリデー

1380「ワーキング・ホリデー」坂木司    文藝春秋    ★★★★

ホストのヤマトのもとにやってきた一人の少年。「初めまして、お父さん」…ホストから宅配便のお兄さんになった大和は、「息子」の進と、夏休み限定で暮らし始めるが…。

「ひきこもり探偵」シリーズの坂木さん。あのシリーズよりだいぶ軽いノリでしたが、テンポよく読めて、私は好きでした。ちょっとセンチメンタルな感じも嫌味がなくて。
宅配便のお兄さんになってリヤカー引いてる大和は、憎めないキャラだし、小姑・進もありがちな設定だけど、かわいかったし。
ちょっとウルッときそうになった場面もあったりして、単純だけど好きな話でした。

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2009年3月 1日 (日)

パーマネント野ばら

1380「パーマネント野ばら」西原理恵子   ★★★★   新潮文庫

港町にたった一つの美容室。ここは女のザンゲ室。今日も町の女たちが、恋の話をしにやってくる。情けなくて、かっこ悪い、でも、女を生ききっている女たちの物語。

最近の西原さんの漫画は、苦手です。すごく、痛い。読んでいると、泣きたくなる。

この漫画も、単行本で出た時に、立ち読みして、うっかり泣きそうになりました。だから、買いませんでした。でも、最近、うちの職場で西原さんの「毎日かあさん」がちょっとブームになっていて、その勢いで、文庫化されたこれを買ってしまいました。

久しぶりに読み返してみて、やっぱり、痛かったです。女であること、女だから感じるいろんな悲しさやつらさ、理不尽とかを、すごくあっけらかんと描いているのに、すごくせつない。キレイゴトじゃすまないとこまで突っ込んで描いてるのに、あとに残るものはすごくピュアで、そのことにとまどってしまうほど。

なんというか・・・言葉で簡単にくくってしまうのがもったいないほど、いろんな思いがあふれてきて、今、これを書きながらもボーっとしています。

でも、私はこの漫画、すごく好きです。

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