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2009年4月

2009年4月27日 (月)

プラスマイナスゼロ

1391「プラスマイナスゼロ」若竹七海    ジャイブ    ★★★

才色兼備品行方正な正統派のお嬢様テンコ。成績最低品行下劣・極悪腕力娘の異名をもつユーリ。どこをとっても全国平均値のわたしことミサキ。一緒にいるのが不思議なくらいバラバラな個性をもつ三人が、なぜか次々と事件に巻き込まれ…。

久しぶりの若竹さんです。
葉崎を舞台にしたコージー・ミステリなんだけど、ずいぶん若い感じだなあと思ったら、ピュアフル文庫のアンソロジーに掲載されたものでした。なるほど。
若竹ミステリの毒の部分は影を潜め、ライトタッチのミステリに徹しています。そのぶん、やや物足りない面も。
テンコの呆れるほどの運のなさには笑ってしまいましたが。
一番面白かったのは、最終話の、三人がつるむようになったきっかけでした。

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2009年4月26日 (日)

犬はどこだ

1390「犬はどこだ」米澤穂信    創元推理文庫    ★★★★

私立探偵を開業した紺屋が希望していたのは犬捜し。しかし、舞い込む依頼は、人捜しに古文書の解読。押し掛け助手のハンペーと共に、不承不承調査に着手した紺屋だったが、事件は意外な展開を見せ…。

一年ほど積読してました。ようやく読了。
東京で就職したものの、事情があってリタイヤ。なんにもする気になれなかった紺屋が、探偵事務所を立ち上げたところから物語が始まります。この紺屋、まだ25歳なんだけど、枯れてるというか、冷めてるというか…。そんな彼が意に染まない調査を進めるうちに再生していく物語。
主人公の老成したような視線とか、彼を取り巻くキャラ設定とか、物語そのもののゾッとするような救いのなさとか、いかにも米澤さんらしい話だなぁ…というのが、読み終えての印象です。
二つの事件がクロスしていくのは当然の展開ですが、最後の最後でそうなりますか!という感じで…。いろんな意味で「犬はどこだ」と言いたいわけですね。
それにしても、続編がかけそうですね。紺屋の陰の協力者「GEN」の正体も謎のままですし。また次の事件で紺屋が変わっていく過程を読みたいです。

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2009年4月23日 (木)

レヴォリューションNo.3

1389「レヴォリューションNo.3」金城一紀    講談社    ★★★★

新宿にある落ちこぼれ高校の生徒たち。世界に「革命」を起こそうと立ち上がったメンバー「ザ・ゾンビーズ」がめざすは、近くの名門女子校の文化祭に乱入すること!数々の作戦を練り、ゾンビーズがたどり着いたのは…。

ずっと読みたかったんです。ゾンビーズ、最高!読みながら何度笑ったことか。
爽快というか、痛快というか、とにかくおもしろい!おバカな高校生なんだけど、かっこいい!!
ゾンビーズ主要メンバーのキャラがたってて、話はメリハリがあって、でもちょっとだけせつなくて…。ありえないだろうと思うんだけど、夢中になって読みました。
金城作品のもつ雰囲気とかスピード感、好きです。

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2009年4月17日 (金)

おそろし

1388「おそろし」宮部みゆき       角川書店       ★★★★

ある事件が元で実家にいられなくなったおちかは、叔父夫婦が営む三島屋で暮らすことに。忙しく立ち働きながらも、他人に心を閉ざしたままのおちか。ある日、三島屋を訪れた客の語った話が、おちかの心を揺り動かし…。

副題に「三島屋変調百物語事始」とある通り、客が不思議な話を語り、おちかがそれを聞くというのが、基本的な骨組みなのですが…。
久しぶりの宮部さんです。やっと順番が回ってきました〜。
時代ものではありますが、現代ものにも通じるテーマで、ここ数年宮部さんがこだわっているテーマでもあります。
婚約者をきょうだい同然に育った人が殺してしまう…そんな事件に直面したおちかは、すっかり心を閉ざしてしまいます。自分を責め…しかし、自分の心の闇、あるいはエゴイズムと向き合うことになるのです。そのきっかけが、他人の悲しく酷く不思議な話を聞くこと。そうすることで、自分の心を整理していくのですが…。
正直言って、時代ものというフィルターがなければ、重くてしんどいです。そして、おちかのことは他人事と思えないほど、心の揺らぎには共感してしまうものがあります。
人の心の弱さ、醜さは誰もがもつもので、きれいごとじゃなくそれを描こうとする宮部さんの執念にも似た思いに圧倒されます。そして、クライマックスでおちかがそれに立ち向かうのは、感動的でした。
しかし、最後の最後で…なんというか、怪談話のセオリーですね。
これ、続きが書けそうな終わり方ですね。続き読みたいなぁ。

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2009年4月11日 (土)

三谷幸喜のありふれた生活7 ザ・マジックイヤー

1387「三谷幸喜のありふれた生活7 ザ・マジックイヤー」三谷幸喜   朝日新聞出版   ★★★★

四本目の映画の撮影を開始した三谷監督。これで監督業引退!と思いきや・・・。映画に舞台に、そして役者として大忙しの三谷幸喜、エッセイ集第7弾!

残念ながら「サ・マジックアワー」を観てないのです。観ていれば、数倍おもしろく読めただろうに・・・と思うのですが。

そう思うほどに、今回は映画ネタ満載。いかにこの時期の三谷さんが、映画に打ち込んでいたかがよくわかります。映画の話であれ、舞台の話であれ、その裏話が聞けるのはすごくおもしろいのですが、その反面、奥様の話とかが少なくなっていくのがちょっとさびしいです。三谷さんと小林聡美さんとのやりとりが好きなので。

しかし、映画ってそういうふうにして作られていくんですね。私は映画はあんまり詳しくないので、技術的な面の裏話は、ほんとに「へぇ~」って感じでした。やっぱり、「ザ・マジックアワー」、DVD買おうかな・・・。

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2009年4月 1日 (水)

孫が読む漱石

1386「孫が読む漱石」夏目房之介   新潮文庫   ★★★★

文豪・夏目漱石。偉大なる祖父をもったマンガ批評家の筆者が、漱石の作品に向き合った。孫であればこそ感じる思いと、「名作」に対する冷静な批評とは。

けっこうミーハー的な興味で手にとりました。文豪を祖父にもつというのは、いろんな意味で大変だったろうな・・・というのは、想像つきます。そういう人が祖父の作品を読むとどう感じるのだろう、と。

実際、筆者は自分の祖父の共通点を感じ、共感したり、反発したり。若い頃に読んだ時と、50歳をすぎた今読んだときの感じ方の違いも含め、いわゆる「名作」を分析していきますが・・・。

さすが!と思ったのは、批評の眼は実に冷静で、さらに読んでいてわかりやすい。実におもしろかったです。必要以上に漱石の擁護もしないかわり、難癖をつけたりもしない。孫だというスタンスに立って、孫だから知っていr情報も織り込みながら、非常にフェアな評論になっています。

そして、これを読んでいると、漱石を読みたくなってくるのです。実は読んでない作品もいっぱいあるので、いずれチャレンジしてみようかと思ってしまいました。

一番印象的だったエピソードは、最後に書かれていた漱石の妻・鏡子のことです。世間には悪妻とも言われ、漱石とは行き違いもあったようですが、夫のことを深く愛していたという「孫」の証言が、なんだかすごくうれしかったです。

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