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2010年4月21日 (水)

十日えびす

1471「十日えびす」宇江佐真理   祥伝社文庫   ★★★★

夫が急逝した後、継子たちに家を追い出された八重は、唯一一緒に暮らしていた末娘・おみちと、小間物屋を始めた。ところが、その近所には周囲の嫌われ者・お熊が住んでいた。しかも、あろうことか、おみちはお熊の息子・鶴太郎と親しくなっていく。さらに、義理の息子が金の無心に現れて・・・。

副題が「花嵐浮世困話(はなにあらしよのなかこんなもの)」。まさに、その通りの物語。

八重は、とにかく、これでもかこれでもかと、理不尽な目にあってしまいます。やっと添えた夫は急死。義理の長男夫婦は八重を追い出したあげく、金の無心に来る始末。自分を「おっ義母さん」と慕ってくれるおみちを心の支えに、小間物屋をひらくと、近所に住む猛女・お熊とのトラブル。おみちがお熊の息子に惹かれていく様子に気をもみ、義理の子供たちのめんどうをみて・・・。

こっちが丸くおさまるかと思えば、あっちがごたごた。そちらの始末がつくかと思うと、別な方でまた火の手があがり・・・の繰り返し。実際、すべてがめでたしめでたし、大団円・・・なんてことは、日々の生活の中ではないわけで。宇江佐さんは、どの作品でもそういうところを非常にリアルに描いていて、なんだか読んでいて身につまされることも多いのです。すごく悲しい気分になったり、気が滅入ったり、イライラしたりすることもあります。それでも、なんとか「折り合い」をつけて生活していく主人公の姿に、こっちも励まされるような気がするのです。そうそう、世の中、こんなもの、なんとかやっていくしかないよね、と。

実際、この話でも、最初は八重のことを疎んじていたのかと思っていた子供たちと和解(?)できたことにホッとしたかと思うと、一番仲が良かったおみちが家を飛び出したり。お熊ともこれでうまくいくかな・・・と思うと、やっぱりお熊はお熊で。なんだよ、それ、もう・・・と言いたくなるのですが、でも、世の中そんなもの。仕方ないのですよね。時代物ですが、現代に置き換えても、何の違和感もない話です。

今回、竹添敦子さん(三重短大教授)の解説が秀逸です。タイトルは「まっとうな生活人の姿勢が貫かれた作品」。宇江佐作品の魅力の元を、的確に分析してくださってます。

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