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2010年7月29日 (木)

夕映え(下)

1533「夕映え(下)」宇江佐真理   ハルキ文庫   ★★★★

いよいよ上野のお山で戦火が。彰義隊と官軍の戦いは、あっけなく勝負がついた。彰義隊に参加した良助は九死に一生を得るが、やがて函館の戦いに行ってしまう。八百半に嫁いだおていは、無事に男児を出産。しかし、良助の訃報が・・・。江戸から明治へ、激動の時代を生きた弘蔵とおあきの夫婦の胸中によぎるものは。

幕末から明治というのは、日本史上まれな「大転換」の時期ですが、その転換期に市井の人々がどんなふうに生きたのか・・・それは、ぜひとも宇江佐さんに書いてほしいテーマでした。まるで江戸時代にいるかのように感じる、宇江佐作品の登場人物。彼らがどんなふうに、泣き、笑い、ひたむきに生きていくのか。

長男の良助は、彰義隊に参加し、生き延びたものの、親友を失います。親友の首を持って逃げるくだりは、杉浦日向子「合葬」を思い出しました(参考文献になってます)。一度は父・弘蔵の出身・松前藩に奉公する決心をしますが、思いを寄せていたおゆみが官軍に乱暴されたことを知り、仇を討つために蝦夷地へ向かい、そこで落命します。

その良助の死に水をとったのが、松前藩士である、弘蔵の父。それがきっかけで、戦の後、おあきたち夫婦は、松前に帰郷することになります。

なんとも激動の展開なのですが、意外なほどにおあきも、弘蔵も、時代の変動の中で柔軟に生きています。もちろん、息子が死ねば泣くし、つらい思いもするのですが・・・それでも生きていくたくましさみたいなものを感じました。

時代の転換期に生きるというのは容易ではありません。何が正しいのか、自分はどうするべきなのか、わからないことの方が多いでしょう。でも、日々、自分がなすべきことをきちんきちんとやっていくこと。それが、人としての在り方なのかもしれません。今も、ある意味において、時代の転換期のような気がします。私たちも、おあきや弘蔵のように、自分のなすべきことに真摯に向き合う生き方をすべきなのかもしれません。

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