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2011年1月12日 (水)

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。

1647「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」辻村深月   講談社   ★★★★

母親が包丁で腹を刺されて死んでいた。娘のチエミは行方不明。銀行のATMで金をおろす姿が確認されたのが最後だった。チエミの「親友」だったみずほは、あることをきっかけに、チエミの行方を探し始めるのだが・・・。

これは、直木賞候補になったのでしたか。辻村深月はデビュー作に熱狂して、その次でちょっと微妙になり、その後どうも読む気がしなくなり、ずっと遠ざかっていました。久しぶりに読みました。

デビュー作にあった妙な幼さ・・・世界が自分を中心に回っているというような感覚・・・は、だいぶ薄れましたが、自意識過剰な女の子たちは相変わらずでした。あの「冷たい校舎~」に出てきた彼らの世代(つまり、作者の世代)を、ずっと書き続けているのでしょうか。

おそらく、みずほやチエミたちが感じたような閉塞感は、私たちの世代も感じていることです。仕事のこと、親との関係、恋愛、結婚、そして発展性のない女同士の友情。しかし、みずほたちの閉塞感の、なんと強いことか。「私には何にもない」という思い、もしかしたら若い子たちの方が強いのでしょうか。

それにしても、彼女たちはいつまでたっても「女の子」「女子」なのですね。最近、「女子力」なんて言葉が普通に使われますが、個人的にすごく違和感があります。いつまで「子」なの?って。「女性」になることはないのでしょうか?

さて、物語自体は、最初ちょっととっつきにくい気がしましたが、みずほの「動機」がはっきりしてくるにつれて、のめりこみました。「友人」たちの姿とか、ちょっとベタかなあとも思いましたが。チエミが語り手になる第二章ですべてが明らかになるにつれ、なんともやりきれない気持ちに・・・。

誰がというより、みんながいろんなものを抱えていて、でもそれは形が違うので、ほかの人には理解できなくて・・・。そうやって生まれた悲劇。題名の意味がわかったときの感情は、うまく言葉にできません。

辻村深月、もう少し読んでみようかなあ。

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辻村深月」カテゴリの記事

コメント

これが私の初辻村作品でした。
女性の感情がリアルに描かれているなぁと感心したものです。
実際、私の周りにチエミのような女性がいたら、「うざい」と感じるでしょう。
でも、だからこそ、碧の存在、チエミを必要とする存在が嬉しかったのです。

話は変わりますが、まゆさんのおっしゃるとおり、最近「女子」という言葉が頻繁に使われますよねー。
でも、「女子力」は「女子」がしっくり来る気がするんです。
「女性」って言うと高尚になっちゃうから。
「女子力」っていうチープさが、なんとなく会う気がするんです(笑)

kanakanaさんはこれが初・辻村でしたか。
初期のころに比べると、だいぶ大人になったなあという感じがしました。
初期作品は今はもう読めないかも・・・。

さて、「女子力」「女子会」など、よくつかわれますが。
チープなニュアンス・・・なるほど。
実は、私が気になるのは、何歳までその言葉をつかっていいの?ってことだったりして(笑)

こんにちは。いつもコメントありがとう。
ブログも「更新が精いっぱい」の私です。
kanakanaさんと同じで、はつものとして、この本読みました。打ちのめされてしまいました。
必死にメールを打ち続けた登場人物が、哀れでならず、自分が若いときに携帯がなくて、心の底からよかったと思ったのでした。
私自身も含めて、自分自身で人生の岐路で、「選択」してきたはずなのに、「ないものねだり」の現実。再読する勇気、当分湧いてきそうにありません。

私もこれが初・辻村作品でした(というかこれしか読んでない・・・)。
結構重い話で、読むのが辛いところもありましたが、ラストに救いがあってほっとしました。母と娘の関係の難しさが描かれていて、個人的にもいろいろ思うことがあるので、いろいろ考えさせられました。

ほっそさん、コメントありがとうございます。
私も明日からは更新が滞りがちになると思います。
まあ、仕方ないですね。

さて、あのメールのエピソードは痛々しかったですね。
実は、私も若い人から、あんな感じで次々とメールを送られたことがあります。
その人が追い詰められているのがわかったので、こちらもがんばって返信しましたが・・・ヘトヘトになりました。
送受信が即出来るアイテムってのも善し悪しだなあ・・・と。
以来、私は大事なことほど手紙を書くようになりました。

閑話休題。
女友達のこと、母娘のこと、家族のこと・・・思いだすと気が重くなる内容です。
正直、私も読み返す気にはなれません。
ただ、いろいろ考えさせられました。

EKKOさん、トラックバックもありがとうございます。
そっか、これが「初」でしたか。
私は初期の、超自意識過剰の学生たちを描いたものを読んだので、それに比べたらずいぶん大人になったなあ、と。
ただ、デビュー作がすごく好きで、本プロにアップしたら、あしかさんに「これは嫌い」と言われ、凹んだ覚えが(苦笑)
あしかさんは、主人公たちのエリート意識みたいなのがダメだったみたいですが、今なら納得できます。
そういう「田舎のエリート」感覚は、みずほたちの設定にうまく生かされているなあと思いながら読みました。

ははは~
本プロ時代の思い出!思わず笑っちゃいました。
あしかさんらしいですね~、嫌いなものは嫌いってびしっとおっしゃいますもんね~私はそういうところが好きだったんですが。最近はブログ更新も少ないみたいで、どうされてるのかな~

エリート意識ですか~デビュー作、気になります。なんて作品ですか?読んでみたいけど確かすごく長かったような・・・読み通せるかなぁ?

EKKOさん、私もあしかさんのそういうとこ好きなんですよ。
ほんと、最近は更新が少なくて、ちょっとさびしいです。
お元気ならいいんですけど。

デビュー作は、「冷たい校舎の時は止まる」というタイトルだった・・・はず(すみません、うろ覚え)。
ノベルスで3冊もありました。
文庫にもなってるはずですよ。

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かなり前に読み終えてたのですが、バンクーバー五輪に夢中でブログを放置してました・・・男子フィギュアが終わって少し落ち着いたかな。高橋くん、銅メダルおめでとう! ... [続きを読む]

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