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2011年1月30日 (日)

ツナグ

1656「ツナグ」辻村深月   新潮社   ★★★★

たった一人と一度だけ。死者との再会をかなえてくれる。その仲介者を「使者(ツナグ)」という。そんな都市伝説のような話を頼りに使者に接触してくるのは、死んでしまったタレントに会いたいファン、亡くなった母親に会いたい息子、そして死なせてしまった親友に会いたい女子高生。彼らの前に現れた使者は・・・。

死んでしまった人にもう一度会いたいと思うのは、人間ならば誰しも同じなのかもしれません。それゆえ、「死者との再会」を扱った小説はたくさん存在するのでしょう。だから、正直言って、この本が出たときに思ったのです。「辻村深月も一般受けするネタに走ったのか」と。

結論から言うと・・・ごめんなさい、辻村さん。これは、辻村深月らしい物語でした。

最初の2話は、むしろありがちな大団円で、やっぱりそんなものかと思っていましたが、「親友の心得」のところで、いかにも辻村深月という感じの、女の子どうしの生々しさ、やりきれなさ、そして救いのないラストに茫然としました。続く「待ち人の心得」では、失踪した婚約者を待ち続けた男と、その婚約者の思いのせつなさに思わず涙ぐんでしまい・・・。

そうして迎えた「使者の心得」。この最終章にやられました。それまでの4話がすべて伏線になって、使者とは何なのか、死者と生者との関わりとは何なのか、ということが描かれていきます。

おそらく、どんな人間も、苦い後悔や消えない悲しみを背負わなくてはならないのだけれど、それでも死んでしまった人たちの思いを受け継いで、生きていくものなのでしょう。そうしていくことで、苦しみ悲しみだけでなく、喜びも、幸せも、味わうことができるはず・・・そんなメッセージが伝わってくるようでした。

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辻村深月」カテゴリの記事

コメント

未読の作家さんですが、ほかのところでも評判がよく気になっていました。
>これは、辻村深月らしい物語でした。
魅力を感じる文章で。
図書館で出会えたら読んでみたくなりました。

chiiさん、お返事遅くなりました。
辻村さんはデビューから2作ほど読んで離れてしまったのですが、今年再挑戦しています。
ものすごく好きかと聞かれると微妙なのですが、なんとなく惹かれるのです。
chiiさんの感想も聞きたいので、ぜひ読んでみてくださいな。

「親友の心得」の女子同士のからみあいは息が詰まるようでした。「ゼロ・ハチ・ゼロ・ナナ」もそうでしたが、なるほど、これが辻村さんなのでしょうか。

ハートウォーミングだけでない読後感が、なんともいえない余韻を残してくれて、読んでよかったと思いました。辻村さんのほかの作品も読んでみます。

EKKOさん、辻村さんはデビュー作にはまったのですが、
その当時に比べると、本当にうまくなったなあと感じます。
たしかに、こういうヒリヒリ感は、持ち味かもしれません。

これはありがちな話かと思ったら、意外な展開でした。
もし自分だったら、誰に会いたいと思うのでしょうね。

設定は珍しくないのでしょうが、見事に辻村深月の作品になってましたよね!
「親友の心得」で、思春期のひりひりした感じを描くのがやっぱりうまいなぁと思ったし、
今までの再会を振り返させるような最終章、この構成も見事だなと思いました。

kanakanaさん、これ読んで思ったのは「辻村さん、うまくなったなあ」ということでした。
「親友の心得」のヒリヒリ感は昔からありましたが、最終章へのもっていき方とか、初期のころとは何かが違う・・・と感じました。

まゆさんのおっしゃるように、構成がバツグンにうまいですよね。最終章を読めば、使者として、歩美がどう育っていったか、どうしてあのような言動になったのか、それがよくわかって、1~4章について再び考えさせられてしまいます。

私は初期の作品も好きですが「ゼロ、ハチ…」と「ツナグ」は、グッと惹かれるものがありました。後悔のないように生きたいものだと思いました。

なぎさん、これは構成のうまさにやられたなぁ…という感じでした。
辻村さんは、作家として脂がのってきているというか…。「本日は大安なり」もおもしろいですよ。

生きている側からの申し出というところは
自分のなかのモヤモヤした気持ちを、良くも悪くも一方的に解除したいからなのかと思って見たり。

嵐のその後も気になりますが、恋人を待つ気持ちに泣きました。
「だから、気を付けてって言ったのに…」でドバーです。

three-bellsさん、そうなんですよね、生きている人間の一方的な思い。
それでも、人が人とつながりたいという切実な思いは、やはり大切なものなのかもしれませんね。

こんにちは。「ゼロ、ハチ~~」の後、これを読むとはさすがと思います。本ではなかなか泣かない私ですが、第四話でノックアウトです。
トラックバックしますね。

ほっそさん、トラックバックありがとうございます。

「ゼロ、ハチ~」もなかなかよかったのですが、これはさらに、辻村さんうまくなったなあと感じました。
最近、次々新作が出ていますが、いいんですよ。
「オーダーメイド殺人クラブ」「本日は大安なり」・・・ほっそさんのお好みに合うかわかりませんが・・・機会があったら読んでみてくださいな。

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492 「使者(ツナグ)」を介して一度だけ、死んでしまった人に会うことができる。自分にとっても、相手にとってもそのチャンスは一度きり。 良かったです!とっても私好みのお ... [続きを読む]

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852番 ★★★★ 内容(「BOOK」データベースより) 突然死したアイドルに。 [続きを読む]

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