家族の歌 河野裕子の死を見つめた344日
1668「家族の歌 河野裕子の死を見つめた344日」河野裕子 永田和宏 その家族 産経新聞出版 ★★★★★
河野裕子と夫・永田和宏。息子の永田淳と娘・永田紅。四人の「歌人一家」がつづるリレーエッセイです。産経新聞で連載されているものを、河野裕子の死を機に、再構成したもの。
手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が
私が衝撃を受けたこの歌。それが詠まれた状況も、描かれていました。新聞連載のエッセイなのに、誰もが裕子さんのガンのことを隠さず、そのことに対する複雑な思いから逃げずに記していることにまず圧倒されました。けれど、それだけでなく、日常のあれこれや、紅さんの結婚のことや、家族の思い出や・・・。「うちはね、いい家族だと思うのよ」という裕子さんの言葉が、しみじみと実感される、すてきなエッセイでした。
両親も、子どもたちも、歌人。それってどうなんだろう、しんどくないのかな・・・と思うのですが。永田家は、実に自然にそれが成立していて、むしろ歌があるから、お互いの近況や真情がわかりあえるというのです。もっとも、それぞれの歌詠みとしてのタイプや姿勢は、四者四様で、裕子さんは歌をどんどん詠むことを推進力にして、歌が湧き出てくるタイプ。旦那さまの永田さんは対照的な苦吟型。淳さんは、自転車で走っていると気がつくささいな日常のあれこれが歌の中に結晶していくし、紅さんはどこか(たとえば、家のトイレ)にこもって、歌を詠もうとする人。そういう違いがありながら、実に普通の家族であり、また歌人一家であるのです。
「やまとうたは人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける」・・・古今集仮名序の冒頭文にあるごとく、まさに歌は人の心から生まれるもの・・・そんなことを、このエッセイを読みながらあらためて感じました。
裕子さんの死という大きな出来事があり、そのつらさ・悲しさがせつせつと伝わってきて、読んでいて何度も涙ぐみましたが・・・全体的に軽妙で明るいトーンのエッセイで、気持ちがほっこりするような場面もたくさんありました。リレーエッセイは、もう一人の裕子さん(淳さんの奥さんの植田裕子さん)が加わって、連載中だということ。またいつか、本にまとまるといいなあ・・・と思います。
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» 『家族の歌 河野裕子の死を見つめた344日』 河野裕子、永田和宏、永田淳、永田紅、植田裕子 産経新聞出版 [アン・バランス・ダイアリー]
新聞に連載された、歌人一家によるリレーエッセイです。友人から借りて読みました。連載中に河野裕子さんは乳がんの再発で永眠され、その間際に詠まれた歌や、ご主人や息子さん ... [続きを読む]


私も、河野裕子、永田和宏夫妻、そして二人の兄妹との、歌を通じた心の交流に感動して、自ブログで2回取り上げ、さらに、「京都うた紀行」も紹介しています。河野裕子さん:家族のご飯を作ることが一番好きで、死の床で最後の日も、夫がご飯をちゃんと食べたか気にかけていたそうです。そんな普通の主婦、母が、平安の歌人の再来かと思えるような鮮烈で、しかも優しい短歌を作ったんですねえ。人の命は儚いものです。l去年、続けて2人の叔母と父を亡くしましたのでなおさらの心境です。
投稿: なりひら | 2011年3月 7日 (月) 21時34分
なりひらさん、お返事遅くなりました。
河野裕子さんの歌は以前からチェックしていましたが、
ご家族のことはあまり知りませんでした。
河野さんの訃報に接して、歌人一家だと知り、
さらにこの本を読んで、歌を介して家族が理解し合っているそのあり方に胸打たれました。
投稿: まゆ | 2011年3月 9日 (水) 20時44分
闘病記のようなものを想像して読み始めたのですが、ごく日常のお話も多く、家族の絆が感じられる爽やかで温かいエッセイ集でした。歌もどれもわかりやすくて、心に響くものばかりでした。本当素敵な家族ですね~
続編も出版されると嬉しいですね。
投稿: EKKO | 2011年12月28日 (水) 22時05分
EKKOさん、私ももっと悲壮なものを想像していたのですが、違いましたね。
これを読んで、永田さん一家に興味をもちました。
投稿: まゆ | 2011年12月29日 (木) 22時26分