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2012年1月10日 (火)

誰かが足りない

1811「誰かが足りない」 宮下奈都   双葉社   ★★★★

おいしいと評判の、小さなレストラン「ハライ」。いつも予約でいっぱいのその店で、偶然一緒になった幾組かの客たちのささかやな人生。

描かれる六つのエピソードの共通点は、「ハライ」というレストラン。ただ、それだけ。奇をてらうでもなく、決してもの珍しい話でもなく、自分ではないけれどどこかにはいるよね、こういう人たち・・・という話が六つ。

正直、読み始めた時には「ふうん」くらいで・・・あまりぴんとこなかったのです。

でも、じわじわきました。認知症気味の老婦人が、亡くなった夫を思う話。母の死をきっかけにひきこもり、ビデオカメラごしにしか妹とも話せない少年。そして、人の失敗の匂いを感じてしまう女性。それぞれが、人生において失ったものの大きさ。けれど、「誰かが足りない」と思えることもまた幸せなのだ、と。少なくとも、そう思うことすらない人生よりは、はるかに。足りない人を待つことができるから。

最終話の「失敗」の話で、思わずうるっときました。自分が感じるのは失敗の匂いだと気づいてから、失敗をひたすら避けてきた留香。彼女が、仕事で大失敗をした青年をたまたま(見ず知らずの人だったのに)救ったことで、彼女の人生が方向転換します。失敗を避けてきた、そのことが大丈夫じゃなかった、と。失敗してもいいんだ。絶望しなければいいんだ、と。

「どんなに大きな失敗をしても、取り返しがつかないほどに思えても、いつかは戻る。人生を下りることではない。そこからまた這い上がれる。這い上がる間の景色もまたいいような気がしているのだ。」

ここまで読んで、なんだかうるっとしてしまいました。やっぱり、宮下さんの書くものは、私の心の琴線に触れるようです。

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コメント

「失敗」の章は私も感動で涙があふれました。
誰しも失敗の経験はありますよね。「失敗しても笑っていい」というメッセージがたまらなく嬉しかったです。

EKKOさん、「失敗」にはやられました。
宮下さんの物語は、こちらの気持ちの微妙な隙間に、スルッと入り込んできて、いつもそれにノックアウトされます。

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» 『誰かが足りない』 宮下奈都 双葉社 [アン・バランス・ダイアリー]
何だか何を書いてもネタばれになってしまいそうで・・・う〜ん、この本を楽しみに読む予定の人は、私のこの記事は読まないほうがいいかもしれません(笑) できるだけ気をつけ ... [続きを読む]

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