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2012年3月17日 (土)

ソウルケイジ

1844「ソウルケイジ」 誉田哲也   光文社文庫   ★★★★

河川敷に止められた車から見つかった左手首が、死体なき殺人事件の始まりだった。手首は近所の工務店の主、高岡賢一のものと判明。鎌田署に立った帳場に、警視庁捜査一課十係・姫川玲子班が投入される。しかし、今回は玲子が嫌いな日下班と一緒の捜査。全く相容れない日下の捜査手法にイラつく玲子だったが・・・。

ドラマで今ちょうどこのエピソードをやっているので、読むのを我慢していました。でも、前回でだいたい目星がついた感じだったので、もういいかな、と。

相変わらず玲子はガツンガツンといろんなものにぶつかりながら、捜査にかけずりまわっています。「ストロベリーナイト」では、元公安のベテラン悪徳刑事・ガンテツがライバルでしたが、今回は捜査に一切の予断を許さない、徹底した現実主義者の日下が相手。ガンテツの時とは違うノリですが、玲子は日下ともガチンコ勝負です。一方、年上の部下・菊田との恋愛モードも微妙に進展中(と言っても、日下があきれ果てるスピードですが)。

そして、事件の方は、なんとも・・・。ありがちと言えばありがちなんですが、二重三重にいろいろな事実が絡み合っていて、玲子たちも振り回されます。ただ、もう少し被害者たちを深く描いてもいいんじゃないかという気はしましたが。特に中川美智子のあたり。

とにかく、玲子という主人公の魅力と、リアルすぎる警察内部の空気で読ませる小説です。ただ、気になるのは、説明不能な「勘」で捜査する玲子を、ガンテツも日下も、ひどく心配していること、です。今後、玲子に何かとんでもないことが降りかからなければいいのだけど・・・と、本気で心配してしまいました。それから、玲子の周りをうろちょろする井岡の存在。彼も只者ではない気がするのですが。

ドラマから入ったので、すっかりドラマのキャスティングで読んでしまっています。ただ、菊田はゴリラ系な感じですが、ドラマの西島秀俊はどっちかというと線が細い感じですよね。まあ、脳内イメージは西島で読んじゃってるのでいいのですが(笑)

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誉田哲也」カテゴリの記事

コメント

「ストロベリーナイト」っていう題名だけれど、実は「ストリベリーナイト」と言うドラマはすでに二時間ドラマで放送されててそれの続編ってことになってるんだと、昨日!知りました。
私のBLOGの「ソウルケイジ」の感想にそのドラマ化の事が書かれてて、「私は見てない」んですよね。記憶はある。

で、それがあってこのドラマがある。
と言う設定みたいで・・・。
見るべきだった・・・DVD・・・借りるかな・・。

今回のドラマ、私もHDDの録画をせっせと見てめちゃはまり。
GReeeeNのエンディングもいいですよね。

で、連ドラですが、誉田さんの短編集からの話が多いみたいですね。
何話目だったかな・・警察官の息子が殺人犯となるという話は、最新作「感染遊戯」の中の刑事さんの設定だと思う。
事件の話は全然違うんだけど。
結局私はなんだかんだと誉田作品を全部呼んでるみたいで・・・。
あ、でも武士道~シリーズはなぜか17止まり。

部下の刑事たちのキャラ立ちもいいですよね。
出っ歯の関西弁の役、生瀬三いい味出してるし、西嶋(島?)さんもかっこいい。高島兄があんなにカッコよく見えるドラマも初めてだ。
原作をちょっと超えたりしてるかもなあ・・、とそういう意味では珍しい作品になってるのかもしれませんね。

あしかさん、そうなんです。
私、その二時間ドラマの再放送を見て、はまったんです。
で、現在に至る、と。
ドラマ先行なので、原作読む時点ではだいたい展開がわかっているのですが、それなりに楽しんでいます。

個人的には、ドラマの方が姫川班のキャラが立ってて好きです。
特に、菊田と玲子の絡みは・・・菊田が原作通りのゴリ男じゃなくてよかった(笑)

ところで、あしかさん!
武士道シリーズは、ぜひぜひ18まで読んでくださいな!
私は「え~、もういいのに・・・」と思いながら読みはじめ、
「これがあってこそ、武士道シリーズは本当に完結したんだ!」と感動しちゃいましたよ。

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