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2012年9月28日 (金)

カラマーゾフの妹

1917「カラマーゾフの妹」 高野史緒   講談社   ★★★★

名作「カラマーゾフの兄弟」に描かれたフョードル殺し。その真犯人とは。あの事件の13年後、次男のイワンは、事件の真相に向き合うべく、あの町に帰ってきた。イワンがたどりつく「真実」とは・・・。

「カラマーゾフの兄弟」は、残念ながら未読です。でも、じゅうぶん楽しめました。

「カラマーゾフの兄弟」へのオマージュであり、パスティーシュでもあり。とにかく、あの長大な(私なんか、見ただけで読む気が失せてしまう・・・)小説を愛し、読み込み、想像力をたくましくして書き上げたミステリ、です。第58回乱歩賞受賞。

高野史緒さん、私は存じ上げませんでしたが、SF作家さんなのですね。どうりで・・・と思う展開が作中にもあり、私はそのへんをどうにも受け付けなかったのですが。ただ、難解だと言われる原典という縛りの中で、ここまで自在に物語を紡げるということに、圧倒されました。

多少、ご都合主義的なところもないわけではないですが(多重人格のくだりとか)、物語としてとにかく読ませます。カラマーゾフの兄弟たちそれぞれの個性も魅力的だし、「カラマーゾフには、『妹』がいた?」という謎も、いいところで効いてきます。

しかし、乱歩賞においてはある意味「問題作」でもあったようで。選考委員の評もおもしろいです。

おそろしいのは、これを読んでいると、つい「カラマーゾフの兄弟」も読んでみようかな・・・と思わされてしまうことです(笑) さすがに手を出す度胸はないですが。でも、もしかしたら、このミステリは、原作を知らない方が楽しめるのかも・・・。

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コメント

まゆさん、「妹」がやって参りました(笑)
岩波文庫で「原作」を入手し、少しずつ読み始めていますが、こちらが来たので読んでしまいました。
一言でいえば、凄い作品。原作の持つ、強いパワーというか、人間の根源から湧き上がるような強烈さがきちんと生かされているのがいいですね。確かに既存の作品を借りてしまう事には異論があるでしょうが、ここまでしっかり生かし切り、原作の持つ香気やキャラが殆ど損なわれていないのなら良いのでは?と感じました。考えてみれば「罪と罰」にしても「兄弟」にしてもミステリなんですね。チェーホフも本格ミステリを書いていた記憶がありますし。

 とても面白かったです。また、この作品のおかげで、ロシア文学を読む人も増えそうですね。 「兄弟」もこれから少しずつ読んでいこうと思ってます。

まるさん、「妹」きましたか!!
原作知らなくてもじゅうぶん読めるのがすごいですよね。
そして、「兄弟」も読みはじめられたのですね。
私も追い越されないようにがんばります。

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