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2014年5月29日 (木)

ルピナス探偵団の憂愁

2131「ルピナス探偵団の憂愁」 津原泰水   創元推理文庫   ★★★★★

私立ルピナス学園高等部で出会った彩子、キリエ、摩耶、そして祀島。卒業から数年後に、摩耶は亡くなってしまう。生前の彼女の不可解な言動の意味を、彩子たちは解き明かそうとするのだが・・・。

これは・・・。ミステリとしてはもちろんですが、連作短編としての構成がすばらしい。

彩子たちが25歳の摩耶の死「百合の木陰」から始まって、大学3年の時の「犬には歓迎されざる」、大学2年の時の「初めての密室」、そして彼らがルピナス学園を卒業する時の「慈悲の花園」と、時間をさかのぼっていきます。

ただ時間を逆行するだけでなく、そうすることで彼らの絆の深さと、摩耶を失った時の彩子たちの悲しみの深さが伝わってくるのです。また、最終話での彼らの「誓い」が、どれほどその後の彩子たちにとって大事なものだったか・・・。

もし、これを時系列に並べていたら、こんなふうに心に強く響く物語にはならなかっただろうと思うのです。そういう意味で、「やられた!」と感じました。思わず、彩子たちと一緒に泣きそうになりましたもの、最後の最後で。

この構成の妙については、石井千湖さんの解説で詳しく語られていますので、ぜひそちらを。

個人的には、ストライクど真ん中の青春ミステリでした。

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コメント

 まゆさん、これを先に読んだら、「当惑」は読みにくくなります。諸般の都合で順番が逆になっても大して支障がないものだけど。これに関しては・・・、つくづく適当な読書の仕方を後悔しました。(笑)
 直球ストライクの青春物とは素晴らしい表現ですね。私は彼らの友情の強さにも感じいりました。

まるさん、たしかにこれは順番に読まないと・・・ですね。
私はわりとシリーズの順番にはこだわるので、この「憂愁」を読むために、「当惑」を探し回りました。
彼らの友情の強さ・・・たしかに。
これも、摩耶の死からさかのぼって読むと、余計に胸を打ちます。

まゆさん、こんにちは。
私もこの本読みました。『当惑』のほうはしばらく前に読んで、ああ、続編があるんだ、と思っていたのですが、そのまま忘れていました。
まゆさんが読まれて★5つつけているのを見て、読まなくちゃ、と思ったのでした。

冒頭の部分で、茫然としてしまいました。
何か、読者をひっかけようとして罠をかけてきたのかしら、としばらく疑っていたのですが・・・

まゆさんのいわれる構成のすばらしさ、言われてみれば、ほんとうにそうですね。この順番で読むことができてよかったです。おかげでより一層切なくてせつなくて・・・
ラスト、感無量でした。

ぱせりさん、読みましたか!
私もいきなり呆然としてしまいました。
どういうこと?って。
そう、何かのトリックかなとも思いました。
だって、あんまりですもの。
でも、それが「事実」であるがゆえに、この物語は深みを増しているのですね。

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