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2014年7月26日 (土)

アンのゆりかご

2155「アンのゆりかご」 村岡恵理   新潮文庫   ★★★★

副題「村岡花子の生涯」。

「花子とアン」はたまに見る程度ですが、なかなかおもしろい・・・というわけで、これも読んでみました。「赤毛のアン」は読んではいるものの、それほどの思い入れはなく。村岡花子さんのことも、あまりよく知りませんでした。

彼女の生涯と意義については、梨木香歩さんの解説が語りつくしている気がします。私が興味をひかれたのは、「少女たちが読むのにふさわしい文学を!」という花子さんの思いです。というのは、私はまさに花子さんたちが世に出してくれたいわゆる「家庭文学」にどっぷりはまって育ったからです。

お気に入りだった「若草の祈り」や「少女パレアナ」。原題が「昔かたぎの一少女」なのは覚えているけれど、題名が思い出せないあれはなんだったか・・・。蛾をとって売るというのが衝撃だった(笑)「リンバロストの乙女」。繰り返し繰り返し読んだあれらの本のことを、久しぶりに思い出し、なつかしく、豊かな気持ちになりました。

文学としては低く見られがちで、私もいつしか離れてしまいましたが、本当に価値の低いものだったのでしょうか。「近頃の男性人気作家の、どろどろした性愛や、複雑な人間関係を描いた作品のほうが、よほど害になるではないか。」には、笑ってしまいました。ほんとうに。

ところで、ドラマはかなりベタな感じでドラマティックに構成されていますが、花子さんの実人生もドラマに負けないくらい波乱万丈で、驚きました。旦那様とやりとりした手紙は、ものすごい甘々で・・・。柳原白蓮とも親しかったのですね。白蓮だけでなく、さまざまな女流文学者とも交流があったこと、戦時中のことなど・・・脚色しなくてもドラマになりそうな人生は、圧巻でした。

やっぱり、「赤毛のアン」は読み直さないといけないかな。花子さんが戦時中に原稿を抱えていた姿を想像しながら。

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コメント

村岡花子という女性はとても強く、ドラマチックに人生を送ったと感じます。どうしてつまらない脚色をするのかな。ドラマの花子は実在の村岡さんとは別人の様ですね。小学校の先生をする設定にして「甲府で英語使う人なんて一人もいない」なんてヒロインに言わせるのはどうかと思う。甲府にも女学校はあったし、高等教育受けてる人だって沢山います。失礼だと思いますね。(実際には甲府の女学校で英語を教えていたのですよね)

 「リンバロストの乙女」いい作品です。エルノアが愛した「リンバロストの森」は実に生き生きと詳細に描かれ、自然の驚異と怖ろしさを充分に表現していますね。
 この作品は前半だけでいい様な気もします。後編になると変な恋の鞘当みたいな物語になるし。
 実の娘を憎む母という設定はちょっと、怖い気もしましたが、母のケートは母親である前に一個の女性であったのかもしれませんね。
 村岡さんの訳された児童文学や家庭小説は今は一部を除いて絶版になっています。今がいいチャンスなので、この作品も是非復刊して欲しい。「スウ姉さん」は新たに復刊していましたね。

まるさん、ドラマと実際の花子さんは別物と思った方がいいようですね。
こういうすぐれた評伝が世に出ていたことは、どちらにとってもよかったかも。

「リンバロスト〜」は、蛾をつかまえて売る設定が強烈すぎて、ストーリーはよく覚えてないのです。
読み返したいです〜。
実家には本があるはずですが、幾度かの引っ越しで行方不明です。
復刻してくれないですかね。

まゆさん、「リンバロストの乙女は」河出書房の文庫で昨年の八月に復刊されていました。同じ河出の単行本で「たんぽぽの目」も出ているそうです。
 昨日、偶然古本屋で発見し、早速、購入する事に。
 梨田香歩さんの解説も非常に素晴らしいですよ。

まるさん、情報ありがとうございます。
「リンバロスト~」は、とにかく「蛾を売る」という設定が
子ども心に強烈な印象を残したのですが、
そのわりにストーリーをおぼえてない、という・・・。
探してみますね。

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