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2015年2月26日 (木)

胡蝶殺し

2239「胡蝶殺し」 近藤史恵   小学館   ★★★★

若手女形の蘇芳屋・市川萩太郎は、父を亡くした子役・中村秋司の後見人を任される。自身も若くして父を亡くし苦労した萩太郎は、秋司にできるだけのことをしようと決心する。秋司には、たしかに才能があった。秋司と同い年の息子・俊介とは比べ物にならないくらい・・・。

近藤さんの歌舞伎ものは久しぶりです。

ただ、今ちょうど三津五郎があんなことになったばかりなので、あまりにタイムリーすぎて、ちょっと読むのをためらってしまいましたが・・・途中からはそれも忘れて読みふけってしまいました。

特にも、物語中盤、「重の井子別れ」の初日を迎えるまでのドラマは、すごい緊迫感でした。萩太郎自身も初役の大役。難しい子役に秋司。俊介は簡単な子役で初舞台。秋司の稽古は完璧だったが、その矢先、才能がないかと思われた俊介が意外な能力を発揮。そして、初日の二日前、秋司が・・・。

舞台にとりつかれた人たちの、人として、舞台に関わる者としての、すさまじいまでの思いの交錯が、重厚なドラマをつくっていました。

たしかに、子役というのは、一時の花であり、それだからこそ成立するドラマがあるのですね。

タイトルは恐ろしげですが、意外なほどに後味のいい話でした。

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コメント

 まゆさん、タイトルとは違ってとてもいい話でした。
 ステージママの怖い話なのかな、と思ったのですが、爽やかな読後感でした。

 まゆさんは歌舞伎がお好きなのですね。三津五郎さんの訃報は私も驚きました。
 お城の探訪番組好きで見ていました。随分前でしたが、「ワーズワースの庭」とか「古畑任三郎」に出ていらした頃から、存じ上げていました。
 
 実際に歌舞伎を舞台で良く見ておられる方が読むと、作品の印象が変わるでしょうね。

 

まるさん、タイトルは怖いんですけどね。
「殺し」の意味はそういうことだったのか、と。

生の舞台は2回しか観たことないんですが、歌舞伎は好きです。
もっぱらテレビ鑑賞ですが。
三津五郎さんは生の舞台で観ることができませんでした(涙)

近藤史恵さんの歌舞伎ものミステリは、舞台のもつ狂気みたいなものが伝わってきて、けっこう好きなんです。

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