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2015年5月16日 (土)

悲嘆の門(上・下)

2291「悲嘆の門(上・下)」 宮部みゆき   毎日新聞社   ★★★★

大学一年生の三島孝太郎は、サイバー・パトロールの会社でアルバイトをしている。死体の一部を切り取る連続殺人が起こり、孝太郎はその噂を追う。一方、退職刑事の都築は、自宅の近所の廃ビルにまつわる奇妙な噂を聞かされる。ビルの屋上にあるガーゴイル像が夜な夜な動くというのだ。その謎を追う都築。やがて孝太郎と都築は、その廃ビルで出会うことになるのだが・・・。

一日かけて上下巻、読み切ってしまいました。

どうやら、これ、「英雄の書」の姉妹編みたいな物語のようです。「英雄の書」は未読なので(宮部ファンタジーはちょっと苦手なのと、ネットでの評判があまりよくなかったので)、はっきりしたことは言えませんが。あ、「英雄の書」を読んでなくても、話にはなんとかついていけます。

これも一応ファンタジー仕立てではありますが、現実世界で話が展開する方が圧倒的に多いのと、ミステリとしても読めるので、あんまり抵抗はありませんでした。<領域(リージョン)><輪(サークル)>等々、異世界の概念はよくわかりませんでしたが、そういうところは適当に読み流しちゃうので(苦笑)

主人公・孝太郎は、ごくごく普通に育った青年。彼の純粋さは、幼さと背中合わせで、彼がまっすぐであればあるほど、せつない気持ちになりました。孝太郎が怪物のような戦士ガラに見込まれたのも、その純粋さゆえ。世知に長けた都築は、決してガラに何かをゆだねようとはしなかったのですから。生まれて初めて大切なものを理不尽に奪われて、人を憎悪する孝太郎。人を信じることを忘れてしまう孝太郎。周囲の人々が彼を案じ、忠告しても、耳を貸すことをしない孝太郎。彼がいったいどこに行き着くのかが気になって、もどかしい思いでページをめくりました。

この決着は甘いでしょうか。でも、孝太郎にとっては、これからの方が大変でしょうね。ただ、いろんな業をかかえて生きていくのが人間なのだと思えば、それも当然のことなのでしょう。

プロローグがちょっと苦手な話だったのですが、それが物語の中でこんな形で絡んでいって、こう決着するとは。救われた思いでした。

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