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2016年2月18日 (木)

あん

2414「あん」  ドリアン助川            ポプラ文庫           ★★★★

売れないどら焼き屋の店長・千太郎。やる気のないまま働いていた彼のもとにやってきたのは、徳江という高齢の女性だった。彼女の作る「あん」のおかげで、店は繁盛するのだが…。

ずっと気になっていた物語です。

前科者でダメダメな千太郎が出会った徳江さん。あんづくりを教わって、新しい何かが始まりそうな予感がしたころ、客足が落ちてしまう。理由は、徳江さんがハンセン病患者だったこと。

この題材に、真正面から向き合った作品です。千太郎の感情の揺れ動きは、そのまま読者の私たちのそれでしょう。私自身通りいっぺんの知識しかなく、隔離されて生きるしかなかった人たちの思いを、考えてみたことはありませんでした。

何より圧倒的だったのは、徳江さんが苦しくも豊かな人生を全うしたのだとわかる終盤です。生きる意味はある…その言葉に思わず涙がこぼれました。

千太郎がこの先どんな人生を歩むのかはわかりません。でも、生まれてきた意味はあるんだと信じていられれば、前を向いて生きていける気がします。

 

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