« 心臓異色 | トップページ | 信長の肖像 »

2016年3月12日 (土)

ゆうじょこう

2418「ゆうじょこう」    村田喜代子           新潮社           ★★★★

薩摩のさらに南・硫黄島から熊本の廓に売られてきたイチ。娼妓たちのための学校「女紅場」に通いながら、さまざまな女たちの生きざまを目の当たりにする。やがて、廓でストライキが起き…。

貧しさゆえに売られてきた少女。しかし、廓に来たことで、彼女は文字を習い、日記を書く楽しみを覚えるのです。ストレートな表現で綴られるイチの日記は、そのまま彼女の存在の主張です。

不器用だけどたくましいイチのほかにも、さまざまな女が描かれます。生まれついての花魁とも言われる東雲太夫。赤ん坊を生んだ紫太夫。女紅場の先生で、もとは廓にいた鐵子さん。彼女たちのそれぞれの生き方がない交ぜになって、ストライキの場面へと流れ着きます。

この物語のもつ空気が、なんとも不思議です。廓を舞台にするなら、もっとどろどろした濃密な感じがしてもいいのに、なんだか乾いた感じがするのです。それでいて、イチたちの姿がいつの間にかくっきり浮かび上がってくるというか。うまく言えませんけど。

「牛馬と同じ」と言われた娼妓たちの生きざま、間違いなく「人」である彼女たちの人生が、生き生きと描かれています。

« 心臓異色 | トップページ | 信長の肖像 »

「ま」行の作家」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92733/63338956

この記事へのトラックバック一覧です: ゆうじょこう:

« 心臓異色 | トップページ | 信長の肖像 »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

カテゴリー