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2016年7月18日 (月)

希望荘

2454「希望荘」 宮部みゆき   小学館   ★★★★

妻子と別れ、一人になった杉村三郎。私立探偵として事務所をかまえた彼のもとにやってくる依頼とは・・・。

やっとシリーズ名が「杉村三郎シリーズ」で定着したみたいですね。「誰か」「名もなき毒」「ペテロの葬列」と続いてきたシリーズ、最新作は短編集です。「聖域」「希望荘」「砂男」「二重身」の4編。

前作が衝撃のラストだったので、その後の杉村を心配していましたが(まあ、「ソロモンの偽証」のおまけ中編で、元気そうなのはわかってましたが)、とりあえず、なんとかかんとかやっているようで、ほっとしました。

どの短編も、淡々と描かれているようでいて、読み終えたあとに何かもやもやしたものが胸に残ります(このシリーズは、みんなそうでした)。正直言って、後味のいいものではありません。でも、読まずにはいられない。それは、世の中そうそうきれいに割り切れるものではないと、私たち自身がわかっているからでしょうか。

表題作になっている「希望荘」は、タイトルこそ明るいですが、なんとも言えない複雑な気分にさせられます。ひとたび「事件」が起こった以上、何事もなかったときには戻れないのだといわれている気分でした。そう考えると、「希望荘」という名は、とても悲しいものがあります。

それでも、そういったものと向き合いながら生きていく杉村三郎の姿に、心ひかれるものがあるのもまた事実。このシリーズ、続く限り読み続けます。

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宮部みゆき」カテゴリの記事

コメント

たまたま書店でもらった冊子に「希望荘」の一部が載っているのを読んでから、発売が楽しみでなりませんでした。本当に探偵業を始めるとは!

どの話も「毒」というか、「悪意」というか、人間のいやな部分を見せられ、決して楽しい読書ではないのですが、杉村三郎から(もうドラマの彼しか浮かびませんが)目が離せないので、私も読み続けます。
新しいキャラも出てきたので、そう遠くない将来読めそうですね。

なぎさん、お返事遅くなりました。

杉村が探偵になるのは、「ソロモンの偽証」のおまけ中編でわかっていたのですが、あらためて、「こうなったのね」と。
宮部さんの現代ものミステリは、やりきれないものが多くて、読むのに勇気が要ります。
でも、目をそらしてはいけないことだとも思うのですよね。
とりあえず、息の長いシリーズにしてくださることを希望します。

 まゆさん、明けましておめでとうございます。
 今年も宜しくお願いします。

 今年の初読みは「希望荘」でした。宮部さんの現代ものは「ソロモンの偽証」や「ペテロの葬列」以来。淡々とした中に、人間の孤独や怖い本性を巧みな筆で描いてあります。杉村が、探偵となった経緯そのものが、彼を一人前の「探偵」にしたのだなと感じます。 また、東日本大震災辺りの首都圏の様子が良く描かれていたと思います。
 まさに前と後。

 仁木悦子さんの「三影潤」シリーズを思い出しました。
 普通のサラリーマンが探偵になるという事は、重い決断であり、大きな転機や喪失が引き金になるという共通部分が興味深いです。ある悲劇的な出来事から、探偵稼業に転じる三影には、杉村と同じ「クールな」優しさがあると思います。

 

まるさん、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

「希望荘」でスタートでしたか。
タイトルは明るいですが、中身は・・・ですね。
でも、宮部さんは、事件に関わる「人間」の心を描こうとするので、
つらくても読まねば!と思って読んでいます。
杉村三郎の「クールな優しさ」、納得です。

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