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2017年1月

2017年1月30日 (月)

真田信之 父の知略に勝った決断力

2531「真田信之 父の知略に勝った決断力」 平山優   PHP新書   ★★★

「真田丸」時代考証ズのお一人・平山先生による、真田信之の生涯。

「真田丸」ロス中の皆様、お元気ですか。私は、いまだに真田丸の沼にはまっております(笑)で、こんな本を読んだりしています。

最新の研究結果をもとに書かれた、現時点での決定版・・・と言っていいんでしょうか。正直、難しいところもあり、読むのにかなり時間がかかりましたが、信之という人物のおもしろさが伝わってきました。

父・昌幸や弟・信繁みたいな派手さはないものの、武将としても優れ、領国経営にも手腕を発揮し、戦国から江戸にかけての激動期を生き抜いた無双の大名としての生涯は、おもしろくないわけがありません。

もっとも、領国経営は、浅間山の噴火をはじめとする自然災害等々、大変だったみたいですけどね・・・。九度山への仕送りとか・・・(信繁、「また蕎麦か」とか言っちゃダメ!)。領内で起こった事件簿なんかも、大変なんだけど、奔走する兄上の姿を想像しちゃいました(もちろん、映像は大泉洋で)。

いや、ふざけたこと書いてますが、これはすごくまじめに、丁寧に書かれた本ですので、興味がおありの方は、お手にとってみてください。信之の見事な生き様が浮かび上がってきます。

2017年1月27日 (金)

あきない世傳 金と銀 早瀬篇

2530「あきない世傳 金と銀 早瀬篇」 髙田郁   ハルキ文庫   ★★★

大坂天満の呉服屋「五十鈴屋」に女衆として奉公した幸も、早や14歳。そんな彼女を店主徳兵衛の後添いにという話が持ち上がる。幸はとまどうが、番頭・治兵衛に諭され、五十鈴屋の「御寮さん」になる決意を固める。しかし、徳兵衛は商売に身を入れる気配もなく・・・。

シリーズ第2作では、とうとう幸が大出世!

というか、そうなることはだいたい見当がついていたので、それほど驚きはしませんでした。徳兵衛が文句を言うことや、呉服商仲間の厳しい試験など、まあそれくらいは当然でしょう。

むしろ、女衆仲間のお竹やお梅が、わりあいあっさりと「御寮さん」になることを認めたあたりがちょっと拍子抜けでした。多少のごたごたはありましたが、え?そんなもん?と。もっとドロドロしたものがあってもいいんじゃないのかな、という気も。

考えてみれば、幸の周りはいい人がいっぱい。まあ、そうでなければとんでもなく陰惨な話になりそうですけど。もう少し、「御寮さん」になった幸の日常でのとまどいなんかも書いてほしかったなあ。それまでの暮らしと違いすぎて、大変だったこともたくさんあったと思うので。

しかし、急転直下の展開にはちょっとビックリ。そして、そう来ましたか・・・。物語の終わりでは17歳になった幸。もはや大人への入り口ですね。傾きかけた五十鈴屋を、彼女がどう立て直していくのか?楽しみです。

2017年1月26日 (木)

花闇

2529「花闇」 皆川博子   河出文庫   ★★★★

幕末の江戸で人気を博した三代目・澤村田之助。稀代の美貌の女形でありながら、病で四肢を切断。それでもなお舞台に立った田之助の生き様とは・・・。

田之助の存在を知ったのは、北森鴻「狂乱廿四考」を読んでからです。田之助ものなら、皆川博子の「花闇」が一番!と聞いていて、いつかは読みたいと思っていたのですが、今回、復刊されたということで、購入。

読んでいて、ずっと居心地が悪いというか、物語の世界にすっと入り込めないような違和感があって、これは何だろうと思っていたのですが。途中で気づきました。視点人物は、田之助の側近く仕える大部屋女形の三すじなのですが、彼が、田之助と距離をとっているのです。田之助の芸に心酔しているはずなのに、どこか冷めている。その距離感が、田之助という人物に没入させないのです。

子役時代からその才能を発揮し、やがて当たり役を得て立女形となった田之助。自らの才をたのむ彼は、高慢であり、純粋であり。時に権十郎(のちの九代目團十郎)といさかいをおこしたりもしながら、花形として江戸の舞台を牽引します。

そんな矢先に襲った病魔。そこからの田之助の生き様は凄まじいものがあります。同時に、幕末から明治へと時代が移り変わり、歌舞伎そのものが変質していくさまも描かれます。

そして、いつのまにか、自分が田之助に魅了されていたことに気づくラスト。田之助をさめて目で見ていたと思った三すじは、誰よりも田之助を愛していたことにも気づかされます。

田之助の人生を描きつつ、当時の芝居の有り様や、時代の流れも描いたこの作品。傑作と言われるのがわかります。読んでよかった。

2017年1月22日 (日)

たった、それだけ

2528「たった、それだけ」 宮下奈都   双葉文庫   ★★★★

贈賄が発覚しそうになって逃亡した望月正幸。彼の失踪後、残された人たちは何を思うのか・・・。それでも生きていくことを選んだ彼らの人生とは。

望月の愛人で、彼の贈賄を告発しながら、「逃げ切って」と望月を送り出す女。この第一話だけでもかなりインパクトがあり、ちょっとドキドキしました。

その後、望月の妻、望月の姉、望月のひとり娘・・・と、話は展開していきます。

自分の家族が犯罪者になったら? 彼女たちの姿はあまりに痛々しくて、読むのがつらいところもありました。

でも、そこは宮下さんですね。読み終えて、残ったものは、小さな希望でした。苦しくて、時には現実から逃げ出しても、生きていくことで見えてくる(かもしれない)希望。物語の終わりは、そんな予感をもたせて、ふわりと着地します。その感じが、すごく好きでした。

2017年1月20日 (金)

文・堺雅人

2527「文・堺雅人」 堺雅人   文春文庫   ★★★★

堺さんって賢い人だなあ・・・というのが、読後の感想。

お勉強ができるとかいうことではなくて。自分が向き合っているもの、興味関心のあるものについて、きちんと言葉で表現しようとする、その粘り強さ。そして、過不足のない表現。押し付けがましくないけれど、揺るぎない自分がそこにある。

そんな感じでした。

以前、「真田丸」撮了後にテレビに出たとき、どんな質問にも誠実かつ的確に答えるクレバーさに目を見張ったのですが、ああいう人が文章を書くと、こうなるのか・・・と。非常におもしろかったです。

その時々に出演していた舞台や映画、テレビの話もあり、「このときは、こんなことを考えていたのね」(個人的には、「篤姫」の家定役のところが興味深かったです。あの大河も、完走しました・・・)というのが、ファンにはたまらんですね。

そして、先日読んだ大泉洋さんのエッセイとの雰囲気の違い!(笑) 大泉洋ってやっぱりエンターテイナーなんですね。なにかおもしろいことを書こうと一生懸命になってる。堺さんは、あえてそういうことをしない感じ。真逆な二人のを読み比べて、楽しみました。

ぜひとも、「真田丸」撮影中のことも、書いてほしいですね。そのとき考えていたこととか、知りたいです。

一つ、悲鳴をあげそうになったのは、台本を全部捨てちゃうということ。まさか、「真田丸」も捨てちゃったんでしょうか? それだけは、残しておいて・・・。

八月は冷たい城

2526「八月は冷たい城」 恩田陸   講談社   ★★★★

光彦(てるひこ)は、夏流城(かなしろ)での林間学校に初めて参加することになった。その理由をわかっている光彦だが、案内人でもある「みどりおとこ」こと「夏の人」への不信感は募る一方。光彦を含め、四人の少年が参加する今回は、どこかしら不穏な空気が漂っていて・・・。

ミステリーランド最終巻にして、「七月に流れる花」のボーイズサイドの物語。

少年たちを襲う不穏な事件と、「七月~」にも登場する「夏の人」の正体は?というところが読みどころ。下手なことを書くと、「七月~」のネタバレになってしまうので、難しいのですが・・・。ホラー風味のミステリとして、「七月~」「八月~」の順に読んでいただければよろしいか、と。

ただ、この物語の終盤は、怖かったです・・・。こういうときの恩田さんの描写力って、すごすぎる。子どもが読んだらトラウマになるんじゃないか、と(苦笑)

どことなくセンチメンタルな雰囲気が漂っていた「七月~」に比べると、こちらは冒険物のテイストが強いかな。ガールズとボーイズの違いでしょうか。

この作品で、ミステリーランドは完結だそうです。それも、感無量ですね。良作がいっぱいありました。

そして、恩田さんも晴れて直木賞作家!!

もともと、どこかしら閉じたところのある作品を書く人で、一般受けはしないかもなあと思いつつ、ずっと読み続けてきました。だから、直木賞の候補になって、何度も落とされても、「いいよ、いいよ。私は恩田作品を愛してるから」と思ってきたのですが。

「蜜蜂と遠雷」は、広い世界の人たちに届くような物語になっていて、「これは、より多くの人に読んでほしい。この人の書く豊かな物語を、みんなに味わってほしい」と、初めて心の底から思えた作品だったので・・・。そういう作品で受賞というのが、何よりうれしいことでありました。

2017年1月19日 (木)

恩田陸、直木賞!

「蜜蜂と遠雷」が直木賞を受賞しました!

長年のファンで、別に直木賞とらなくても、私は恩田さん読み続けるからいいもんね、と思ってきましたが。
今回は、直木賞とってほしいと、真剣に思いました。
だって、直木賞とれば、この作品、もっと読まれるでしょう?
こんなに豊かな物語、もっとたくさんの人に読まれなきゃ勿体ない!と思ったのです。

でも、良かった。
この傑作でとらなくてどうする!?という思いもあったので。
恩田さん、おめでとうございます!
これからも読み続けます!

2017年1月14日 (土)

七月に流れる花

2525「七月に流れる花」 恩田陸   講談社   ★★★★

六月という半端な時期に転校してきたミチル。友達もできないまま、夏休みを迎えたが、奇妙な「林間学校」への招待状が届く。必ず参加しなければいけないというその林間学校に向かったミチルは、同級生の蘇芳をはじめとした少女たちと、不思議な夏休みを過ごすことになるのだが・・・。

久しぶりのミステリーランド配本! しかも、恩田陸!! そして、2冊同時刊行!!!

という、恩田ファンがうれしい悲鳴をあげる展開になっていますが、これでイラストが酒井駒子さんとくれば、もう買うしかないでしょう。ええ、買いましたとも、2冊とも。

いつも、ミステリーランドを読んで思うのは、「子どもの頃にこれを読みたかった!」ということ。この物語も、同じでした。通奏低音のように物語の底を流れる不穏な空気と、もの悲しさ。流れてくる花に象徴される美しさとはかなさ。6人の少女たちのかもし出す明るさと寂しさ。これを子どものころだったら、どんなふうに受け止めて読んだのだろうと、思わずにはいられないのです。

全身緑色の「夏の人」という不気味な登場人物から物語はスタートするのですが、ついつい何か裏があるんじゃないかとか、小賢しい読み方をしてしまう自分が悲しかったです。純粋に、ミチルと一緒に怯えながら読み進めたかった・・・。

しかし、恩田さんにはこの分量は少なすぎるんじゃ・・・と思ったら、どうやらこれは物語の半分であって、もう一面が「八月は冷たい城」で描かれるようです。そちらは少年の物語。二つの物語がどう補完しあうのか、楽しみです。

2017年1月13日 (金)

夏目漱石

2524「夏目漱石」 十川信介   岩波新書   ★★★

夏目漱石の生い立ちから、鏡子との結婚、倫敦留学、小説家になるまで、主な作品の執筆時の状況、修善寺の大患、その晩年まで。夏目漱石という人物の一生をわかりやすくまとめた、漱石入門書。

夏目漱石の人となりが気になっているので、読んでみました。思ったよりはザックリ、やや駆け足で書かれている感じで、そこもう少し詳しく知りたい~というところが何箇所かありました。が、ある程度の分量でその一生を書ききるには、仕方ないところでしょう。

これで漱石に興味をもったら、作品を読んでみましょうということですね。私も未読のものがたくさんあるので、ぼちぼち読もうと思います。

とりあえず、「彼岸過迄」と「明暗」は読まねば。「明暗」は未完なので手を出せずにいましたが、これを読んで俄然興味がわいてきました。

2017年1月 9日 (月)

炎路を行く者

「炎路を行く者」 上橋菜穂子   新潮文庫   ★★★★

再読です。

「精霊の守り人シーズンⅡ」の放映にあわせて、文庫化されましたね。待ってました!って感じです。ドラマも、文庫も。

シリーズの番外編で、ヒュウゴの少年時代を描いた「炎路の旅人」と、バルサの少女時代を描いた「十五の我には」を収録。

「十五の我には」はやっぱりいいですねえ。本を読むジグロってのも、そそられます。ドラマを見たあとなので、少女時代のバルサが映像でイメージできて、初読のときとはまた違うリアリティを感じました。

今回は、少年・ヒュウゴの葛藤に胸が熱くなりました。タルシュ帝国の密偵として本編に登場する彼が、まだ何者でもなかったころの物語。故国をタルシュに征服されてしまった彼が、自分の生きる道を見つけようとあがく姿には、こちらまで必死にもがいているような気持ちにさせられました。

この「守り人」シリーズは、それぞれの登場人物にドラマがあり、本編にいたるまでのストーリーがあり・・・そういうところが読む人の心を打つのだなと、あらためて感じました。

今回、文庫あとがきを読んで、思わず落涙。上橋さん、きっと大丈夫です。またいつか、上橋さんの新作を読むのを楽しみに待っています。

2017年1月 8日 (日)

大泉エッセイ 僕が綴った16年

2523「大泉エッセイ 僕が綴った16年」 大泉洋   角川文庫   ★★★

1997年から雑誌に掲載されたエッセイをまとめたもの。

前から気になっていたのですが、なんとなく手に取りそびれていた一冊。「真田丸」を見終わったあと、「これは読まねば!」と書店に走りました。

書き進めるにつれて、文章もこなれていくし、内容も少し大人っぽくなっていって(というか、最初の方はかなり・・・笑)、その変化も楽しかったですが、一貫して変わらない洋ちゃんっぽさというのが、いいですね。

正直言って、大泉洋って得体の知れない俳優だというイメージが強くて。いや、芝居は上手いんだけど、何をやっても「大泉洋」というキャラが強いし、「水曜どうでしょう」とかのバラエティーのイメージも強いし、何者なんだ?と思っていたのですが、「真田丸」の兄上で、あらためて、「いい役者だなあ」と・・・。

この本も、笑いながら、時にはちょっとうるっとしながら、あっというまに読んでしまいました。いいなあ、大泉洋。好きだなあ。

で、次は星野源のエッセイにいこうかと思っていたのですが、考えてみたら、堺雅人のエッセイ、未読じゃないですか! そこはまず、秀忠より信繁だろう、私!(笑)

2017年1月 6日 (金)

福家警部補の報告

2522「福家警部補の報告」 大倉崇裕   創元推理文庫   ★★★★

およそ刑事らしくない福家警部補が、犯人を追い詰める倒叙ミステリ第3弾。

待ちに待った文庫化です! 「挨拶」も「再訪」もおもしろくて、あっという間に読んでしまったので、この三作目の文庫化を首を長~くして待っておりました。

「禁断の筋書(プロット)」「少女の沈黙」「女神の微笑(ほほえみ)」の3編を収録。

相変わらず、刑事に見えない福家警部補が、警察バッヂを捜したり、お金を借りたりしながら、事件を解き明かしていきます(読んでない人には、なんのことだかわかりませんね)。

倒叙ものなので、犯人も、殺害の手段も最初からわかっているのですが、福家がどうやって犯人を突き崩していくのか、犯人の動機とはいったい何なのか・・・。そのあたりの、福家の犯人との緊迫感のあるやりとりが、醍醐味です。

そういえば、これ、ドラマ化されたんでしたっけ。檀れいは、宝塚時代から好きな女優さんなんですが、ドラマの作りがイマイチな感じで、見るのやめちゃったんでした。もうちょっと見とけばよかったかな。

とりあえず、さらなる続編も出ているので、また文庫化をひたすら待つことにします。

2017年1月 4日 (水)

ゴーストフォビア

2521「ゴーストフォビア」 美輪和音   創元推理文庫   ★★★

突然、サイキック探偵を名乗った姉・芙二子に助手にされてしまった三紅。偶然出会った神凪という男に触れた瞬間、三紅の聴力を失った右耳に、幽霊の声が・・・。そして、神凪には幽霊の姿が見えてしまう。芙二子は、三紅と神凪を連れて、依頼人のもとへ赴くが・・・。

「フォビア」とは、恐怖症のこと。いろんな恐怖症をもった人間が登場する、連作ミステリ。「ゴーストフォビア」「空飛ぶブラッディマリー」「ドールの鬼婚」「雨が降り出す前に」の4編。

前作の「強欲な羊」のインパクトがすごかったので、ちょっとコメディタッチな感じがあれれ?と。ただ、幽霊とか、描写はものすごく怖いです。ミステリと言うより、これじゃホラーだよ・・・と思いながら読みました。

が、最終話ではそれぞれの恐怖症の原因も明らかになり、見事に謎は解けました。

美輪和音さんって、映画「着信アリ」の脚本家なんですね・・・(別名義ですけど)。どうりで、怖いはずだ・・・。

2017年1月 3日 (火)

天子蒙塵 第二巻

2520「天子蒙塵 第二巻」 浅田次郎   講談社   ★★★★

満州国建国。その渦中にあって、溥儀は深い孤独に落ち込んでいた。暴走する関東軍とそれを抑えようとする勢力。張作霖の子分たちは散り散りになったが、馬占山だけは戦い続けていた。混沌とする政局の中、帝位の証・「龍玉」は、ある人物に託されるが・・・。

今回は、久々に苦戦しました。いつもなら語り口の滑らかさにのって、すいすい読んでしまう浅田作品なのですが、視点人物がころころ変わり、それになかなか慣れず。

でも、この混沌とした感じが、当時の満州なのかもしれません。それぞれ立場が違うと、見えてくるものも違う。自分が信じたものを信じきれる者もいれば、心ならずも異なる道を歩む者もいる。読み進めるにつれて、それらが群像劇として浮かび上がってきます。

そして、圧巻はラストでした。梁文秀と妻がふるさとを訪れる場面。貧しさにあえいでいた故郷は、小麦畑の大地に生まれ変わっている。私財を投じてそれをなしとげたのは、あの春児・・・。「蒼穹の昴」からこの物語がつながっていることをあらためて感じ、涙なくしては読めませんでした。

2017年1月 1日 (日)

三鬼

2519「三鬼」 宮部みゆき   日本経済新聞社   ★★★★

三島屋の姪・おちかが聞き手をつとめる<変わり百物語>は、「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」がお約束。今日もまた、抱えきれない思いを語るために、三島屋の黒白の間に客がやってくる・・・。

あけましておめでとうございます。読書始めはこの本!と思って、とってありました。やはり宮部さんの時代小説は読み応えがあります。

「三島屋変調百物語 四之続」は、「迷いの旅籠」「食客ひだる神」「三鬼」「おくらさま」の四編。

一番インパクトがつよくて、やりきれない思いになったのは、表題作「三鬼」。人が生きていくうえで、どうしてこんな思いをしなければならないのか、と。多少の救いがないでもなかったのですが、それでも胸がふさぐような重い話でした。

逆にちょっと気持ちがほっこりするような話は、「食客ひだる神」。ひだる神に憑かれてしまった男の話なのですが、ユーモラスで、ちょっとせつなくて、好きな話でした。

おちかは単に奇妙な話を聞きたいわけではなくて、そこには彼女自身の傷を癒すという目的があったわけで。シリーズが進むにつれて、少しずつ少しずつ、おちかは自分の心を取り戻しているのですが・・・。そんなおちかに、今回、一つの転機が。なんともせつないのですが、それもまた、おちかにとって必要なステップだったのかもしれません。

おちかが本当に立ち直るまで、このシリーズは続くのでしょうか。

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