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2017年4月 5日 (水)

2554「眩」 朝井まかて   新潮社   ★★★★

葛飾北斎の娘にして、絵師の応為ことお栄は、女だてらにと言われつつ、絵筆をとり続けてきた。父であり、師である北斎のもとで、絵師として生きたお栄がたどりついた境地とは。

題名は「眩」と書いて「くらら」と読みます。

お栄の存在を初めて知ったのは、杉浦日向子「百日紅」で、北斎にはなんとおもしろい娘がいたんだろう、と。いつかお栄を主人公にした小説を読みたいものだと思っていたら、朝井さんがやってくれました。

幼い頃から絵を描き始め、女らしいことは一切できないお栄。母が心配して無理やり縁談をまとめたものの、絵師の夫とはうまくいかず、家を飛び出してしまう。その後は、父・北斎のもとで、ひたすら絵を描き続けた人生。その中には、英泉こと善次郎との恋もあり、甥の時太郎との確執もあり、思うにまかせないこともたくさん。それでも、お栄の芯は、絵であり、伸吟しながらも描き続けるのです。

北斎の死後のお栄の生き様のあっぱれなこと。最近では「江戸のレンブラント」の異名をもつそうですが、表紙絵の「吉原格子先之図」を描いたのは、五十もすぎてから。北斎ともまた違う、応為独特の光と影の使い方が印象的な絵は、ひたすら画業に打ち込んだ人生ゆえに到達した一つの境地なのかもしれません。

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