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2017年4月21日 (金)

罪の声

2565「罪の声」 塩田武士   講談社   ★★★★

父の遺品らしき古いカセットテープから流れてきたのは、幼い日の自分の声だった。それは、昭和史に残る「ギン萬事件」の犯人が使用したもの・・・。自分と家族は、あの事件の加害者だったのか? 京都でテーラーを営む曽根俊也は、ありえない現実に驚愕する。

昨年の夏、「文庫X」を仕掛けた盛岡さわや書店さんが、次に読むならこれ!とお勧めしていたので、気になっていました。フィクションですが、あの「グリコ・森永事件」を題材にした社会派ミステリ。極力、実際にあった事件の状況に沿って構成されていて、フィクションとわかっていても、これが真実なのではないかというすさまじい臨場感と迫力で読ませます。

物語は、自分の声が犯罪に利用されたことを知った曽根俊也のサイドと、文化部記者ながら「ギン萬事件」の再検証記事の取材に駆り出された阿久津英士のサイドから語られていきます。

全く別の動機から始まった二人の「過去」の追及は、やがて交差し、影響を与え合い、「現実」から「未来」へと視点を変えていく。この流れが実に見事で、実際の「グリコ・森永事件」も、確実に子どもを巻き込み、その人生に影を落としたのだろうと納得できます。

犯罪をおかして幸せになる人はいないし、犯罪者が裁かれないことはさらなる不幸を生むのだということをあらためて考えさせられました。

本屋大賞の候補にもなったようなので、これを契機にさらに多くの人に読まれることを期待する一冊です。

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