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2017年5月13日 (土)

うめ婆行状記

2578「うめ婆行状記」 朝日新聞出版   ★★★★

北町奉行所同心の夫を亡くしたうめは、念願の一人暮らしを決行した。気ままな生活ができると思いきや、甥の隠し子騒動が起こり・・・。

宇江佐真理さん、未完の遺作です。

読むのがもったいないような気がして、なんとなく手にとれずにいましたが、とうとう読んでしまいました。

大店の娘で、何不自由なく育ったうめ。同心の三太夫に嫁にと望まれ、断りきれずに武家に嫁いだものの、幸せを実感することもあまりなく、夫の死後そうそうに家を出てしまう。町屋で気楽な一人住まい・・・と思ったら、そういうわけにもいかなくて。

一人で、自由気ままな生活に憧れるという気持ちは想像できます。うめの場合、裕福な生まれだったから、それを実行に移すことができたわけですが。しかし、一人になったらなったで、家財道具をそろえるにもひと苦労。もともとがお嬢さん育ちなので、知らないことも。あげく、いつまでも独り身なのを案じていた甥っ子には、隠し子がいることが判明して、大騒ぎ。

うめは、決して「いい人」ではありません。どこにでもいる、普通のおばさん。でも、自分の気持ちに正直で、なんとも愛らしいところのある人です。彼女のまわりに起こるあれこれは、私たちの日常となんら変わりなく。・・・ああ、宇江佐ワールドだなあと、しみじみ。

未完とはいえ、物語は終わり近くまで書かれていました。不思議と、「置いていかれた」という気はしなくて、この後のうめの人生は、私たち読者に委ねられたように思います。

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