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2017年5月 6日 (土)

よっつ屋根の下

2575「よっつ屋根の下」 大崎梢   光文社   ★★★★

勤務先の病院の不祥事を告発しようとして地方に左遷された父。しかし、母は東京から離れることを頑として拒んだ。二人の子どものうち、兄は父についていき、妹は母とともに東京に残った。四人それぞれの思いは・・・。

東京で何不自由なく暮らしていた一家を突然襲った激震。父の左遷をきっかけに、家族はバラバラになってしまう。

父について銚子に引っ越した兄・史彰の視点の「海に吠える」。父・滋が、妻との出会いを回想する「君は青い花」。母・華奈が自分の生い立ちを振り返る「川と小石」。妹・麻莉花の心の揺らぎを描いた「寄り道タペストリー」。そして、「ひとつ空の下」。

四人がそれぞれに思い悩みながら過ごした数年間が、それぞれの視点で描かれます。初めは、史彰に感情移入してしまって、母の華奈が理解できませんでしたが、華奈視点の「川と小石」を読んで、それがガラリと変わりました。なんと強い呪いをかけられていたのだろう、しかも二重三重に。自分でもわからないほどに縛られていた華奈が、もしかしたら一番苦しんでいたのかもしれない。そんなふうに思えました。

四人は、彼らなりの「家族」の形を見出します。それは、他人には理解できないかもしれないけれど。でも、それが、一人ひとりが、自分らしく生きていく最良の方法なのだと、すごく納得できました。

大崎さんの書くものは好きですが、今まで読んだ中で、これが一番好きかもしれません。

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