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2017年7月

2017年7月31日 (月)

スーツケースの半分は

2613「スーツケースの半分は」 近藤史恵   祥伝社   ★★★★

真美がフリーマーケットでたまたま手に入れた青いスーツケース。そのスーツケースを持って、旅に出ると、なにかいいことが起こる・・・?

一個のスーツケースをめぐる9つの物語。

初めに買った真美から始まって、その友人たちや、いろんな形でスーツケースに関わった人たちのドラマが展開します。こういう構成、好きだなあ。

仕事だったり恋愛だったり、いろんなことがきっかけで、自分の生き方について考えざるを得ない時ってあるもので。そういう瞬間を切り取るような短編集ですが、登場人物たちに何かしら共感させられました。

近藤さんは初期からずっと読んでる作家さんです。初期作品は、ヒリヒリと痛いような感じのものが多かった気がするのですが、最近はだいぶまろやかになりました。でも、ズシリと重い何かが残るのです。

2017年7月28日 (金)

神さまたちの遊ぶ庭

2612「神さまたちの遊ぶ庭」 宮下奈都   光文社文庫   ★★★★

突然、北海道への移住を決意した宮下家。北海道のど真ん中、十勝・大雪山国立公園にあるトムラウシで一家五人で過ごした一年間を綴ったエッセイ。

あれ?宮下さんって福井の人だったよね? 今、北海道にいるんだ?なんでまた?・・・と、数年前に思ったことがあって。今回、これを読んで、その疑問は解けました。

北海道で暮らしたいという夫の熱意と、「おもしろそう」という子供たちの好奇心に負けて、北海道の山村に移住した宮下さん。自然の中での生活、子供たちの学校の話など、とにかくそこでなければ経験できなかっただろうあれこれが、ぎゅっと詰まっています。

宮下さんはとても柔らかい心の持ち主です。びっくりするような出来事に遭遇しても、それをふんわり受け止める。おもしろいなあ、いいなあ、と思ってしまう。それって、誰にでもできることではないと思うのです。宮下さんが経験したような生活を、受け入れられない人も世の中にはいるはずで。でも、宮下さんが、今、目の前にあるものをストンと受け入れるのを見ていると、ああ、そういうのって素敵だなと思えてくるのです。

私は、トムラウシの小中学校に似たような学校に赴任したことがあって、その時のいろんなことを思い出して、胸がいっぱいになりました。宮下さんがトムラウシを離れる場面は、涙があふれてしまって・・・。

文庫には、二年後の「それから」と、「あとがき」がついています。単行本で読んだ方は、ぜひ文庫も!!

2017年7月27日 (木)

私のことはほっといてください

2611「私のことはほっといてください」 北大路公子   PHP文芸文庫   ★★★★

いつもながらの日常を送る公子さんの、爆笑&脱力エッセイ。

なんかもう、どこからつっこんでいいのかわからないんですけど、今回も公子さんは公子さんでした(笑)

お父様との数々のバトルに笑い転げ、「ドラえもんのラーメン」に眩暈をおぼえ、河童の話に「だーかーらー!公子さん、小説書いてよ!」と怒り・・・。そんなこんなで、私もいつもの通りに読み終えました。

どうして私は取り憑かれたように北大路公子を読むのだろう・・・と、ときどき思うのですが。同じようなネタなのに、全然退屈しないのですよね。公子さんの目の付け所と発想の飛躍、それを読者に伝える文章力というのは、並々ならぬものがあるなあ・・・と、宮下奈都さんの解説を読んで思いました(笑)

とりあえず、今年だけで3冊(だっけ?)も文庫が出てるんですが、こんなハイペースで大丈夫ですか?と、ちょっと心配になっている私です。

2017年7月25日 (火)

彼女たちはみな、若くして死んだ

2610「彼女たちはみな、若くして死んだ」 チャールズ・ボズウェル   創元推理文庫   ★★★★

若い女性が犠牲となった10の犯罪。なぜ彼女たちは殺されなければならなかったのか。犯人は、誰か。事件を解き明かす刑事たちの捜査からその結末までを描いた犯罪ノンフィクション。

1949年に発表された本が、今回初めて日本語訳されて出版。ミステリー界に変革をもたらした一冊。・・・と聞けば、読んでみたくなります。

犯罪ノンフィクションといえばそれまでですが、筆者は感情を煽るような言葉を一切使わず、わかった事実を淡々と記しています。それが、下手なミステリを読むより、ずっとおもしろいのです。

被害者、加害者、遺族、捜査員・・・事件に関わったあらゆる人々のドラマが、浮かび上がってくる感じ。この本にインスパイアされて生れたミステリがあるというのも、頷けます。

「ボルジアの花嫁」「ランベスの毒殺魔」「死の部屋」「殺人の契機」「青髭との駆け落ち」「サラ・ブリマー事件」「死のタンゴ」「6か9か」「彼女が生きているかぎり」「絞殺された女」の10編。

2017年7月23日 (日)

深泥丘奇談

2609「深泥丘奇談」 綾辻行人   メディアファクトリー   ★★★★

作家の「私」は、ひどい眩暈におそわれて、近くにある深泥丘病院を受診した。検査のために入院したその夜、奇妙な音が聞こえてきて・・・。

作者の住む京都の町をモデルにした、連作奇談。ずっと気になっていたものの、図書館に行くとすっかり忘れていて・・・を繰り返し、ようやく借りてきました。

綾辻行人といえば、「十角館の殺人」に始まる新本格推理小説。当時、私も新本格ブームに熱狂したものでしたが、最近は綾辻さんもすっかりご無沙汰していました。久しぶりに読んで、文章が練れてきたなあという印象。余分なものがそぎ落とされて、簡潔で読みやすい。でも、不気味さはMAXです(笑)

怖いというより、現実とはチャンネルがずれた世界(作品世界が、非現実ではあるのですが)にいる居心地の悪さ、不気味さがずっと続く感じ。「顔」「丘の向こう」「長びく雨」「悪霊憑き」「サムザムシ」「開けるな」「六山の夜」「深泥丘魔術団」「声」の9編の連作です。

そして、思い出しました。私が綾辻さんから遠ざかった理由。グロい描写が生々しくて(「眼球譚」だったかな)、まいってしまったからでした。「深泥丘奇談」もけっこう・・・。私が一番苦手なのは、「サムザムシ」でした。

でも、こういう奇妙な話って好きなのです。続編も出ているので、読みたいと思ってます(懲りてない)。

2017年7月21日 (金)

かわうそ堀怪談見習い

2608「かわうそ堀怪談見習い」 柴崎友香   KADOKAWA   ★★★★

恋愛小説家という肩書きに違和感を感じ、怪談を書くことにした。それからというもの、ちょっと奇妙な出来事が身辺で続き・・・。わたしが忘れてしまったこととは、いったいなんだろう・・・?

柴崎友香さんは、ずいぶん以前に一冊読んだきり。今回は、図書館の「怖い話」コーナーにあったので、手に取りました。

この世ならぬ世界にふっとアクセスしてしまう瞬間。そんな奇妙な出来事が積み重ねられていって、「わたし」が取り戻した記憶とは・・・。なぜそうなるのか、何が起こっているのか、よくわからないまま、「わたし」はこの世と怪異との狭間を除き続ける、そんな話。

ものすごく怖いというのではないけれど、読んでいるうちに、自分のすぐそばにも異世界がぽっかりと口をあけているのではないか・・・という気になります。

2017年7月20日 (木)

メグル

2607「メグル」 乾ルカ   東京創元社   ★★★★

「あなたは行くべきよ。断らないでね」・・・大学の学生部であっせんしているバイトを、学生たちに強要する奨学係の女性。否応なしにバイトに送り込まれた学生たちが体験するものは・・・。

「ミツハの一族」がけっこうおもしろかったので、前から気になっていたこちらも読んでみました。

「ヒカレル」「モドル」「アタエル」「タベル」「メグル」の5話。H大学の学生部のちょっと不思議な職員に紹介されて(というか、無理やり押しつけられて)、仕方なくバイトに行く学生たちの物語。

ちょっと不思議設定のところはありますが、なぜ「行くべき」なのか、その理由を知りたくて、あっというまに読んでしまいました。

主人公たちの抱えている悩みや鬱屈には共感できるものが多かったし、それが解消されていく過程は心地よかったです。

ただ唯一、「すすめられないバイト」に行く話があるのですが・・・それはちょっと苦手でした。

2017年7月16日 (日)

そして誰もいなくなった

2606「そして誰もいなくなった」 アガサ・クリスティー   ハヤカワ文庫   ★★★★

兵隊島に集められた十人の男女。初日の夕食後、それぞれの犯した罪を告発する声が。そして、一人、また一人と、童謡の歌詞の通りに、人が殺されていき・・・。

久しぶりに再読しました。今年、テレビドラマにもなりましたし、犯人もわかっているのですが、まったく退屈しませんでした。

裁かれぬ罪を犯した十人が殺されていく過程の緊迫感。徐々に人が減っていき、お互いへの疑惑が最高潮に達して・・・。初めて読んだときは、「そして誰もいなくなった」最後の場面が、ものすごい衝撃的だったのですが、今回はそこに至るまでの「犯人」の巧妙な仕掛けを堪能しました。

ストーリーテラーとしてのクリスティの才能を、あらためて実感しました。

読んでいるあいだ、ずっとひどい雨が降っていて、「嵐の島」の気分をちょっとだけ味わいました。

2017年7月13日 (木)

落陽

2605「落陽」 朝井まかて   祥伝社   ★★★★

明治天皇崩御。その直後、東京に神宮をという動きが急速に起こった。完成まで百五十年。人々は、何を思って神宮創建に挑んだのか・・・。

明治天皇の人生に、ずっと興味がありました。明治維新を境に、あまりにも激変したその境遇を、どのように受け止めたのだろうか、と。神格化された「天皇」は、どんな人間だったのだろうか、と。

この物語は、明治神宮創建の物語でもあり、同時に明治天皇という一人の人間の姿を追う物語でもあります。

明治神宮がこういう経緯で創られたものだということを初めて知りました。しかも、「神宮の杜」が人工のものだったなんて(もともとあった森を切り開いたものとばかり思っていました。たしかに、東京のあんな場所にあんな杜があるわけないですね)。国民からの献木十万本。勤労奉仕のべ十一万人。人々を突き動かし、百五十年の壮大な計画を実現させたものは何だったのか。

それを突き詰めていくと、見えてきたのは明治天皇という人物でした。明治という時代を支え続けた、一人の人間。その生き様が、当時の人々には感銘を与えずにはいられなかったのでしょう。

いつか、朝井まかてさんの筆で、かの人の一生を描き出してほしいと思います。

2017年7月12日 (水)

モップの精は旅に出る

2604「モップの精は旅に出る」 近藤史恵   実業之日本社   ★★★★

語学学校の事務員・翔子のもとに、いきなり届いた婚姻届。事件はそこから始まった。おしゃれなプロの清掃人・キリコちゃんが謎を解くシリーズ最終作。

キリコちゃんとのおつきあいも長くなりましたが・・・とうとう最終作ですか。寂しいなあ。

おしゃれなかっこうで、ビルの清掃なんかをささっとやってしまうキリコちゃん。さらに、いろんな職場で遭遇した謎を解いてしまう。かっこいいなあと憧れてしまうのですが、今回はそんなキリコちゃんの内面もうかがえる話も。

「深夜の歌姫」「先生のお気に入り」「重なり合う輪」「ラストケース」の4話。

キリコちゃんもすごいけど、夫の大介もすごいなあと思うのです。あんなふうに、キリコちゃんを自由に(上っ面の意味ではなく)させるのって、なかなかできないことだと思うわけで。

キリコちゃんにもう会えないのは残念ですが、たぶんどこかで今日も歌いながらお掃除してるんだろうなと思うことにします。

2017年7月11日 (火)

ずうのめ人形

2603「ずうのめ人形」 澤村伊智   角川書店   ★★★★

オカルト雑誌のアルバイト・藤間は、変死したライターが持っていたある原稿を読む羽目に。その小説らしき原稿に現れる人形の姿が、藤間の視界に入るようになり・・・。

「ぼぎわんが、来る」の澤村さんの第2作。現実と小説を行ったり来たりの構成なのですが、抜群のリーダビリティで読ませます。

前半は、ある少女を主人公にした小説の方が迫力があって、先が読みたくてたまらなくなるのですが、終盤、現実世界が一気に立ち上がってきて、圧倒されました。

これ、ネタバレ厳禁なやつなので、これ以上書けませんが・・・怪異を生み出すのは人の心、そして人はそれを制御できなくなるというのは、やはり恐ろしいです。そして、ラストの「その後」はいったいどうなってしまうんでしょう。というか、これを読んでしまったことが、ちょっと恐ろしくなりました。

2017年7月10日 (月)

あとは野となれ大和撫子

2602「あとは野となれ大和撫子」 宮内悠介   角川書店   ★★★★

中央アジアの小国・アラルスタン。歴史も浅いこの国の大統領が暗殺された。国会議員たちは我先に逃亡。国を守るために立ち上がったのは、「後宮」の少女たち。果たして、彼女たちに国を守ることができるのか?

最近、注目されている宮内悠介。初めて読みました。いやあ、おもしろかった! 芥川賞にも直木賞にもノミネートされるなんて、どんな作風なんだろうと思いましたが、これは徹底的にエンターテイメントでした。

主人公は、両親を紛争で失い、「後宮」に拾われた日本人の少女・ナツキ。後宮といっても、愛妾をはべらす場ではなく、見込みのある若い人材を教育するところ。ナツキの先輩でリーダー格のアイシャと、同じく先輩のジャミラ。この3人が「政府」の核となって、国家の舵取りをしていくのです。

なりゆきで軍事担当にされてしまったナツキは、国軍のおじさんたちや反政府組織と、丁々発止のやりとりをする羽目に。さらに、近隣国が混乱に乗じてアラルスタンを手に入れようと画策し・・・。

国を守るというか、ナツキたちは「自分たちの居場所を守る」という感じ。後宮の少女たちの大半は、他国からさまざまな運命に翻弄されて、ここにたどりついた者。それぞれに自分のやれることをやろう!と、奮闘します。そして、やれるだけのことをやったら、ナツキいわく「あとは野となれ」。

非常にデリケートなロシア・中央アジア情勢を下敷きにしながら、こんなに楽しめる物語が書けるのか!と、正直驚きました。ナツキやアイシャ、ジャミラ・・・彼女たちは必死なんだけれど、素人ゆえにどこか抜けているところもあったりするのです(特に、ナツキ)。それでも、彼女たちの「生きること」への意志が、本当に美しい。そして、かっこいい。

これはもう、「読んで!」といろんな人にすすめたい気分。私が説明するより、読んでみればこのおもしろさがわかるから!と。

読み終えたとき感じた、静かな興奮と感動を、ぜひ多くの人に味わっていただきたいと思うのです。

2017年7月 7日 (金)

ミツハの一族

2601「ミツハの一族」 乾ルカ   創元推理文庫   ★★★★

未練を残して死に、鬼となった者から、水を守る役目を担う「烏目役」と「水守」。H帝国大学に通う八尾清次郎は、烏目役の従兄が死んだと連絡を受ける。次の烏目役となる清次郎は、美しい水守と出会うが・・・。

やられた・・・。

第一話「水面水鬼」を読んだ感想が、これです。「ええええっ!?」となって、あれこれ思い出してみて、うう、やられた・・・と。参りました。

未練を残して死んだ者は鬼となり、井戸の水を赤く濁す。その鬼を見ることができる「水守」と、水守を従えることのできる「烏目役」は、八尾一族の中の特別な「目」をもつ者が、代々受け継いできた。というのが、物語の骨格。

つまり、鬼となった者を明らかにし(最初から特定されていることが多いが)、その未練とは何かを解明し、どうしたらその未練を晴らせるかを考案しなければならない。それが、このミステリの謎解きの中身です。

本来、「烏目役」などなる気もなかった清次郎は、従兄の庄一が急逝したことにより、いきなりその役目を担わされます。とりあえず一度だけ。そう決めたはずの清次郎は、美貌の水守との出会いにより、己の運命に絡めとられていく・・・。

清次郎が水守との距離をつめていき、役目にも徐々になじんでいき・・・ところが、第五話「常世現世」では、衝撃の幕開けをむかえます。ここでまた「ええっ!」となるわけですが(苦笑) もうすっかり筆者の手のひらの上で転がされた気分でした。

美しく、もの哀しい雰囲気に彩られた世界ですが、謎解きはきっちりとされていて、ミステリとしてもじゅうぶん楽しめました。それにしても、死んでしまった庄一がなんとも哀れな気がするのは、私だけでしょうか。

2017年7月 5日 (水)

ご本、出しときますね?

2960「ご本、出しときますね?」 BSジャパン/若林正恭:編   ポプラ社   ★★★★

小説家たちはいったい何を考えているのか? 小説家をゲストにした「文筆系トークバラエティ」番組の書籍化。

対談って実は読むの苦手で・・・。でも、旬の作家さんたちがそろっているし、少しずつなら読めるかな・・・と、図書館で借りてきました。それが、あまりのおもしろさに、一気読み!

ホストはオードリーの若林さん(というか、そもそもの発案者)。ゲストは、そうそうたる顔ぶれ。朝井リョウ、西加奈子、長嶋有、加藤千恵、村田沙耶香、平野啓一郎、山崎ナオコーラ、佐藤友哉、島本理生、羽田圭介、藤沢周、海猫沢めろん、白岩玄、中村航、中村文則、窪美澄、柴崎友香、角田光代、尾崎世界観、光浦靖子。

書くことについてとか、決めているマイルールとか、小説家らしい話も、全然そうでない話も、どれもこれもおもしろくて。ホスト役の若林さんが、いいかっこしてみせなくて(それでいて露悪的なわけでもなくて)、すごく自然体で、人の話をおもしろがっているところが、この本のおもしろさではないか、と。

意外と普通な作家さんもいれば、「ええっ!」と思う人もいて・・・。一番ビックリしたのは、「コンビニ人間」の村田沙耶香さんです。エゴサーチしまくる朝井リョウさんにも笑ってしまいました。

2017年7月 3日 (月)

貴族探偵対女探偵

2599「貴族探偵対女探偵」 麻耶雄嵩   集英社文庫   ★★★★

新米の探偵・高徳愛香は、友人の待つ別荘で休暇を過ごそうとしていた。しかし、到着早々に殺人事件が。果たして愛香は事件を解決できるのか。捜査にあたる彼女の前に現れたのは・・・。

「貴族探偵」シリーズの第2作。題名の通り、自分では推理をしない貴族探偵と、若き女探偵・高徳愛香が対決します。

行く先々で鉢合わせしてしまう二人が巻き込まれる殺人事件。そして、愛香が披露した推理を、貴族探偵の使用人たちがひっくり返していく・・・というパターン。

探偵という仕事に誇りをもっている愛香が、ひたすらまっすぐに事件に挑むのに失敗してしまうというのが、なんとも・・・。そのパターンを積み重ねていって、最終話では思わぬ展開が待っています。

それにしても、これをどんなふうにドラマ化したんでしょうね。やっぱり見ればよかったかなあ。

2017年7月 1日 (土)

アンマーとぼくら

2598「アンマーとぼくら」 有川浩   講談社   ★★★★

沖縄に住むおかあさんと三日間の休暇を過ごすために帰ってきた「ぼく」。思い出の場所をめぐるうちに、亡き父や母のことが鮮やかによみがえってくる。そう、おかあさんとぼくは、血がつながっていない。実の母は亡くなるとき、こう言った。「お父さんを許してあげてね。お父さんは、ただ、子供なだけなのよ」

アンマーとは沖縄の言葉で、「お母さん」のこと。題名の通り、、主人公の「ぼく」と、その継母・晴子さん、そして「ぼく」の父との物語です。

有川浩の小説は、実はちょっと苦手なんです。直球でくるから。こちらがどうしようもないところに追いつめられて、感情を揺さぶられてしまうから。今回も、泣くもんかと思ってましたが、無駄な抵抗でした。だって、泣いちゃうでしょ、これ。

沖縄の観光案内みたいな感じですが、それぞれのスポットで語られる沖縄の風土だったり、「ぼく」たちの思い出だったりが、いちいち心に刻まれるんです。そうして、「ぼく」がたどりついたところは・・・。

ほんと、沖縄の海の美しさって、圧倒的なんです。物語の中では、ちょっとした不思議が起こって、え?結局どこまでが現実?ってなるのですが、読み終えて、表紙の海を見ると、そんな不思議が起こってもおかしくないよなあと思えてしまう。沖縄の海の「ちから」を、感じてしまうのです。

父と子、母と子、そして夫婦の愛の物語。・・・というと、ベタすぎますが、有川さんが直球で投げてくる愛は、なかなかヘヴィで、ズシンときます。

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