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2017年8月20日 (日)

BUTTER

2622「BUTTER」 柚木麻子   新潮社   ★★★★

週刊誌の記者・里佳は、連続殺人犯・梶井真奈子(カジマナ)の取材に取り組む。若くも美しくもない彼女は、どうやって男たちを篭絡したのか。なぜ彼女は自信に満ちているのか。面会を重ねるうちに、里佳はカジマナに操られるように心身ともに変貌していく。

本を読んで胃もたれしたのは初めて(笑) とにかく食べ物の描写が多くて、おいしそうなんだけど、最後の方はもう勘弁して・・・という感じでした。

仕事の上では女を捨てて勝負している里佳が、女を武器にしたように中高年の男たちに貢がせていたカジマナと面会し、どんどん変わっていく。カジマナに指示された場所に行き、指示されたものを食べ。スレンダーだった里佳はどんどん太っていき、考え方も変化していく。まるでカジマナにマインドコントロールされているかのような里佳。そこに、里佳の親友で専業主婦の伶子が絡んできて、三人の関係性が歪んでいく。

この物語で描かれる三人の女性、里佳・伶子・カジマナがそれぞれに抱えている生きづらさは、私にも覚えのあるもので・・・たぶん、世の女性の多くが、どこかしら共感できるものではないか、、と。作者はそこからいっさい眼を背けずに、最後まで書ききったという印象を受けました。

もしかしたら、里佳や伶子が呪縛から解き放たれるための通過儀礼なのかもしれないし、これだけの代償を支払っても、本当に「生きやすく」なんてなれないのかもしれない。それでも、自分で自分をがんじがらめにするような生き方は、やはり苦しいのだと、つくづく感じました。

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コメント

 まゆさん、実際の事件とリンクする様な設定と被告女性の怖さに引き込まれました。
 バターという脂肪が、欲望でもあり、人のこころを絡め取る様な闇にも見えて、本当に怖い。食事が人の作ってくれる豪華なものか、侘しいコンビニ弁当という二者択一しかない人は簡単に、闇に支配されちゃうのかなあ、と思いましたね。

 フランス料理もバターもラーメンも私にも胸焼けの対象なのですが、七面鳥のローストだけは、一生に一度くらいチャレンジしても、いいかなと思いました。でも、ここで描かれる超絶な手間と使われる油の量を見ると、二の足を踏みます。(笑)

まるさん、とっても「濃い」内容で、覚悟して読んだにも関わらず、お腹いっぱいな感じでした(苦笑)
ただ、やはり共感してしまうところがあって。
ふだんはやり過ごして生きている部分を、柚木さんは直視しているんだなあ、と。
それは、この次に書かれた「さらさら流る」にもつながっているようです。

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