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2017年8月29日 (火)

じごくゆきっ

2625「じごくゆきっ」 桜庭一樹   集英社   ★★★★

「センセと、どこか、逃げましょか?」・・・わたしが由美子ちゃんセンセとかけおちすることにしたのは、あんまりかわいそうだったからだ。それは、高校一年の一月の終わり。東京でも雪が降った日だった。

久しぶりの桜庭一樹は、くらくらするほど残酷で、魅力的でした。

「暴君」「ビザール」「A」「ロボトミー」「じごくゆきっ」「ゴッドレス」「脂肪遊戯」の7編。

どの話もとっても強烈で、主人公たちの絶望の深さにこちらまで暗い気持ちになってしまうのだけど、読み終えると「いいなあ」と思う。その繰り返しでした。

その中でも好みなのは、「暴君」と「脂肪遊戯」。「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」の後日談というか、同じ世界の物語だそうです(残念ながら、「砂糖菓子~」は既読ながら、断片的にしか思い出せず)。

私は、桜庭さんの描く「少女」がすごく好きなのだと思います。きれいで、残酷で、自意識過剰で、でも何かに絶望している「少女」。ものすごく弱いのに、必死に世間に刃をむこうとしているような女の子たち。ある意味いびつな彼女たちは、桜庭ワールドの重要な構成要素です。彼女たちの背景に立ち上がってくるのは、救いのない世界なのだけれど。

それでも、桜庭さんの描く世界には、日本独特の湿り気をあまり感じないような気がします。からっと乾いている感じ。日本の、山陰地方を舞台にしていても、この世ならぬどこかを描いているように感じます。

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