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2017年9月 5日 (火)

名探偵傑作短編集 火村英生篇

2630「名探偵傑作短編集 火村英生篇」 有栖川有栖   講談社文庫   ★★★★

臨床犯罪学者・火村英生と、その助手で推理作家の有栖川有栖が事件の謎を解くシリーズの、珠玉の短編集。杉江松恋監修。

「赤い稲妻」「ブラジル蝶の謎」「ジャバウォッキー」「猫と雨と助教授と」「スイス時計の謎」「助教授の身代金」の6編を収録。

30年前、新本格ブームの波に乗ったクチですが、綾辻行人の「館」シリーズ、法月綸太郎はけっこう読んだものの、有栖川有栖となると、ちょっと怪しい・・・。初期作品は少しは読んだと思うのですが、記憶があいまい。いざ、ちゃんと読んでみようと思っても、作品の数が多すぎで、どこから手をつけていいかわからない・・・という状態だったので、この企画は渡りに船でした。

さて、社会学部の助教授ながら、フィールドワークと称して事件現場に乗り込む火村英生に、友人で推理作家の有栖川有栖がつけたのが「臨床犯罪学者」の名前。事件解決への助言をすることも多く、今や警察でもやっかいな事件と見ると、火村のもとに連絡をよこし、非公式ながら捜査に参加させている、というのが基本設定。もちろん、有栖も「助手」として臨場します。

そんなコンビが活躍するシリーズから厳選した6編(選んだ理由は、解説で杉江松恋さんが詳しく説明してくれています)が、さすがの読み応えでした。

一番好きだったのは、「スイス時計の謎」。アリスの高校時代の同級生の一人が殺されて・・・という話。ゴリゴリの論理的な謎解きが展開するのですが、アリスの高校時代のせつない恋の思い出も絡み、犯人の動機もまた・・・なんとも言えないせつなさが残る一編でした。

そしてまた、杉江さんの解説がよいのです。これで、「ほかの作品も読んでみようかな」という気にさせられます。有栖川有栖未経験の方にはおすすめの一冊です。

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コメント

 まゆさん、こんにちは。

 火村シリーズのエッセンスを良く伝えているアンソロジーですね。こういう形だと気軽に作品に触れられるので、良い企画だと思います。
 もう一つのシリーズ「江上二郎、英都大学ミステリ研究会」に出て来るアリスとこちらのアリスはどう繋がるんでしょうね。近年、「江上二郎の洞察」という短編集が出ています。これもおススメです。江上シリーズはまさに新本格という奇想天外な設定の長編が多いのですが、短編も味があります。
 私は有栖川さんの楽屋話っぽいものやほのぼの系の作品も好きですが、ほのぼのが次の「悲劇」の序章ではないか、という恐れも感じています。

まるさん、火村英生ものを「作家アリス」、江神二郎ものを「学生アリス」と区別していることも、この本の解説で知りました・・・というくらい、有栖川有栖に疎い私です。
作品自体もおもしろかったのですが、杉江松恋さんの解説が実にわかりやすくて、
ちょっとほかの作品も読んでみようかな~という気にさせられています。
今年は「十角館の殺人」30周年なんですね。
あの新本格ブームの熱をなつかしく思い出しています。

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