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2017年9月 1日 (金)

学生を戦地へ送るには

2628「学生を戦地に送るには 田辺元『悪魔の京大講義』を読む」 佐藤優   新潮社   ★★★★

京都帝国大学教授・田辺元の講義録「歴史的現実」は、多くの若者を戦場へ送り出した。その「悪魔の講義」を読み解き、その欺瞞を暴く。二度と騙されないための「思考の集中キャンプ」全記録。

「戦地へ赴く学生たちのバイブルとなった」という、田辺元の講義。いったいどんなものだったのだろう、どんなロジックを用いれば、そんなことが可能なんだろう。そして、現在もすでにその手法は使われていないだろうか・・・そんな思いで手に取りました。

難しかったです(苦笑) いかにふだん頭を使っていないか、よくわかりました。

まず「哲学」というものに触れたことがないので、最初は本当に四苦八苦でした。佐藤さんの解説はおもしろくてスラスラ読めるのですが、田辺の講義になると・・・。この講座の参加者と同じように、音読したりもしてみました。だから、読むのにすごい日数がかかってます。

佐藤さんが言うように、八割はすごく丁寧に、まともな論理を展開しているのです。残り二割がおかしい。論理が飛躍し、破綻している。でも、一人で読んでいたら、その「おかしい」部分の方がきっとわかりやすいのです。で、そこで言っていることは、「国のために死ね」ということ。それが、もっともらしい理屈でいかにも「意味のあること」になっているのです。しかも、京大生という「エリート」たちの意識をくすぐる形で。

戦争はいやだ、死にたくないという、本能に根ざした皮膚感覚はとても大事だと思うのですが、こういう「知」の領域で人を追い込むことも可能な以上、やはり私たちは学ばねばならないこともたくさんある、と強く感じました。二度と騙されないためにも。

これは、いろんな人に読んでみてほしい一冊。いろんな「目からウロコ」ポイントがたくさんあります。

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コメント

こんばんは。
若者ほどある種の正義感みたいなものに染まり易いところがあることを知っていて、それを利用してたらとんでもないことですよね。少し難しそうな本のようですが、一度は読んだほうが良さそうですね。

本好きさん、こんにちは。
頭のいい人は、こんなに巧妙に人を騙すのか…と。
でも、この論理は、現代でも悪用できそうです。
同じ轍を踏まぬよう、一度は「悪魔の講義」に触れておくのもいいかもしれません。

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