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2018年12月22日 (土)

ヨーゼフ・メンゲレの逃亡

2837「ヨーゼフ・メンゲレの逃亡」 オリヴィエ・ゲーズ   東京創元社   ★★★

アウシュヴィッツで収容者の選別とおぞましい人体実験に関わったナチスの医師。<死の天使>メンゲレ。南米に逃れた彼がブラジルの海岸で死亡するまで、どのような人生を送ったのか?

今年、私にとって多大なインパクトをもたらした小説のひとつ「ベルリンは晴れているか」(深緑野分/東京創元社)の余波で、こちらにも手を出しました。今までなら絶対手に取らなかった内容です。

メンゲレの名前は聞いたことがあるし、ナチス・ドイツ崩壊後、ナチスの要人たちが多く逃亡したことも知っていましたが・・・あらためて茫然としました。なんだ、これは。

これはあくまでも小説。もちろん、綿密な取材のもとに書かれていますが、表現手法は、小説。だから、作者の想像による部分がもちろんあるのでしょうけれど・・・。メンゲレという人間の救いがたい愚かさと、それが許容される世界の存在とに、非常にイライラしながら読みました。

結論として、メンゲレは改心しません。そして、ある意味惨めな死を迎えます。それを自業自得と笑えない何かが、読み手の心の底に澱になって残される、そんな気がしました。

人とは何か。悪はどこから生まれ、どうやって世にはびこるのか。

メンゲレの逃亡生活をたどると、そんな根源的な問いを突きつけられているように感じてきます。

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