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2018年12月19日 (水)

龍華記

2836「龍華記」 澤田瞳子   KADOKAWA   ★★★★

悪左府・藤原頼長の末子・範長。興福寺の院主となるはずだった彼は、父の失脚とともにその座を追われ、今は興福寺の悪僧として薙刀を振るっていた。時は平氏が隆盛を極め、その専横を快く思わぬ南都の衆と一触即発の状態が続いていt。そんなおり、範長はある行き違いから、南都焼き討ちのきっかけをつくってしまう。

ここ何年か続いているマイブームのため、奈良を舞台にしたものに飛びついてしまうのですが、ましてやそれが澤田さんの書いたものなら! 今年のうちに読みたかった一冊、やっと読めました~。

南都焼き討ちというと、東大寺の大仏殿が焼け落ちたというイメージだったのですが、これは興福寺の話。どこまで史実なのか、不勉強にして知らないのですが・・・。頼長の息子が興福寺にいたのですね。本当に悪僧(僧兵)だったのかしら? 調べてみなきゃ・・・。

範長が主人公ですが、その従兄で興福寺の院主である信円、仏師の運慶などが登場します。信円はエリートで、範長とは全く相容れない価値観をもつ人間として描かれます。これがなかなかイライラさせてくれるのですが・・・。出家の身でありながら、のたうちまわる人間の姿として、彼がたどり着くラストもまた深く考えさせられるものがありました。

運慶は痛快なキャラですが、以前読んだ「満つる月の如し 仏師・定朝」の系譜につらなる人物で、キャラ的にもちょっと定朝と似ています。澤田さんの愛情を感じます。

南都焼き討ちという大事件を、あまり真剣に考えたことがなかったので、そこに直面した人々のことに初めて思い至った次第。ちょっと勉強したいと思います。興福寺の歴史も。

そういえば、興福寺の中金堂が再建された今年、こういう物語が世に出るのも感慨深いものがあります。

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