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2019年1月10日 (木)

食う寝る坐る 永平寺修行記

2844「食う練る坐る 永平寺修行記」 野々村馨   新潮文庫   ★★★

思い立って30歳で出家した筆者が赴いたのは、曹洞宗総本山永平寺。覚悟はしていたものの、想像を絶する異世界で、心身ともにぼろぼろになりながら過ごした修行の一年間を記録したノンフィクション。

これ、文庫化された当時からずっと気になっていました。岡野玲子「ファンシイダンス」が大好きだったので(笑) ただ、こちらはもちろん真面目な体験記なのだろうなあと、なんとなく読むのを躊躇してたのですが、北大路公子さんが書評で取り上げていたので、やっぱり読書リストに入れました。

それにしても、すさまじい。「ファンシイダンス」で予備知識はありましたが、あの漫画はかなり簡略化し、マイルドに描かれていたんだなあ、と。寺の跡取りでもなく、僧侶のあれこれの基礎知識もなく、いきなり総本山に飛び込むのは、こちらが想像する以上に大変だったのではないでしょうか。

ただ、感じたのは、だからこそ非常にフラットかつ新鮮な視線で雲水たちの行動を、永平寺という空間のあれこれを見られていたのかなということ。たぶん、お寺で生まれ育ち、日常の中に仏教が組み込まれている人たちとは、そこが根本的に違ったのでしょう。

自分にこんなことができるか?と問われたら、「無理です」と即答します(脱走者が毎年複数出るというの、よくわかる・・・)。

極限まで追い詰められた雲水たちがさながら地獄の餓鬼のごとくになり、自分たちの醜さをつきつけられる様が、なんだか忘れられません。そういうところを直視するのも、修行のうちなんだろうなあ。

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