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2019年7月25日 (木)

天平グレート・ジャーニー

2928「天平グレート・ジャーニー 遣唐使・平群広成の数奇な冒険」 上野誠   講談社   ★★★

天平五年。聖武天皇の御世に唐を目指した遣唐使たちは、数奇な運命を歩む。その中でも、とりわけ辛酸を嘗めた平群広成は、その行程で何を見、何を感じたのか。

 

おかざき真理「阿・吽」を読んでいなければ、この本がアンテナに引っかかることはなかったと思います。

平群広成という中級貴族(?)が、遣唐使に選ばれるところから、最終的に日本に帰り着くまでの話。遣唐使が命がけだったとか、苦難を経てなお帰郷できない人も多かったとか、そういう話は知っていましたけれど、これを読むと、こういう固定観念でなく、そこで生き生きと生きていたであろう人間の姿が浮かび上がってきます。

「阿・吽」では、最澄と空海を中心に、留学生や留学僧たちの長安での様子が生き生きと描かれていますが、これも負けていません。おそらく、作者が研究者でもある上野先生なので、当時の生活習慣や風俗、価値観などがあらゆる場面で盛り込まれているのでしょう。彼らの真面目さ・必死さと同時に、笑える場面もあります。

ところが、帰路についたとたん、平群たちの乗った第三船は悲惨な運命をたどることに。往路は人の言うことにただ従っているようだった平群が、責任を負って奮闘するさまが描かれていきます。

安倍仲麻呂、吉備真備、山上憶良、そして聖武天皇も登場する、奈良の歴史好きにはたまらない設定の物語です。

 

 

 

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コメント

面白そ~だな~といつも通ってる図書館を検索したら、残念ながら置いて有りませんでした。さて、どうしよう。

思い出したのが岩井三四二さんの『大明国へ、参りまする』。
タイトルが示す通り遣明使の話です。時代はずっとあとになり室町時代ですが。
これもなかなか面白い話でした。

奈良と言うと澤田瞳子さんの世界ですね。
最近少しづつ手を出しています。

Todo23さん
作者は研究者なので、小説としてはどうかと思う部分もあるのですが、遣唐使の話自体が新鮮で、面白かったです。
岩井三四二さん、未読です。
室町時代は全くわからないのですが…ちょっと興味あります。
澤田瞳子さんはここ数年、追いかけています。

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