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2020年3月

2020年3月31日 (火)

てんげんつう

3019「てんげんつう」  畠中恵      新潮社      ★★★

繰り返し繰り返し、厄介なことに巻き込まれる長崎屋の若だんなと妖たち。今度は若だんなの許嫁・於りんの中屋や、僧・寛朝たちまで巻き込んでしまい…。


「てんぐさらい」「たたりづき」「恋の闇」「てんげんつう」「くりかえし」の五話。

毎度おなじみの話なのに、読んでしまうんですよねえ。なぜ読んでしまうのか、ずっと不思議だったのですが。

思うに、主人公・若だんなの人物造型が大きいのでは。

大店の跡取り息子で、賢く優しい彼は、体がものすごく弱い。ゆえに、思うままに出歩くこともできず、しょっちゅう寝込んでしまう。それは、祖母が人ならぬ身であることに起因しているらしく、それはどうしようもなく…。妖たちに囲まれて楽しそうではあるけれど、若だんなが思いどおりに行動的できないことで感じる負の感情が、この物語の肝なのでしょう。

ままならぬ世を生きているのは、私たちも同じなので。

そんなことを考えながら読み終えました。


2020年3月29日 (日)

紫式部ひとり語り

3018「紫式部ひとり語り」  山本淳子      角川ソフィア文庫      ★★★★

紫式部はなぜ「源氏物語」を書いたのか。その誕生秘話を、紫式部自身が語る。


山本淳子先生の著作を読むようになったのはTwitterのおかげです。平安朝の価値観に着目し、「枕草子」や「源氏物語」が描きたかったものは何かをわかりやすく解き明かしてくれるのがとても面白く。

その山本先生が、「紫式部の一人称での独白」という形でまとめた、紫式部の生涯と「源氏物語」成立の秘話。これが面白くないわけがないでしょう、と。

生い立ちから始まり、恋、結婚、夫との死別。不本意ながら女房として出仕したこと。主人たる中宮彰子への尊敬。同僚の女房たちのこと。清少納言と「枕草子」のこと。道長との関係。そして、「源氏物語」。

「紫式部日記」と「紫式部集」をもとに描かれた「ひとり語り」は、一人の女性の生きざまを、リアルに再現してくれます。ままならぬ世を、惑い、泣きながら生き抜いた一人の女性の書いた物語が、千年以上の時を超えて読み継がれてきたことに、素直に感動しました。

そして、知らないことがいっぱい!ということを思い知らされました。(苦笑)  勉強しよう…。

2020年3月26日 (木)

薫大将と匂の宮

3017「薫大将と匂の宮」  岡田鯱彦      創元推理文庫      ★★★

源氏物語・宇治十帖には幻の続編が存在した。薫と匂の宮を巡り怪事が続き、紫式部は推理に奔走。やがて、真実をめぐって清少納言と競い合うことに。紫式部の手になる最古の探偵小説は、どんな結末を迎えるのか。


「オトナが本気で遊ぶとここまでやるのか」とは、有栖川有栖さんのお言葉。国文学者であり、探偵作家でもある作者ならではの、「源氏」の世界でのミステリ。

なんと、昭和25年発表なのですが、そもそも「源氏」が舞台なので、昭和だろうが令和だろうが関係ないですね。

紫式部が書いたミステリという趣向ですが、現実なのか、虚構なのか、判然としない世界で、読者は作者に完全に操られて、物語にからめとられていきます。(このへんは、森谷明子さんが解説でわかりやすく述べてらっしゃいます)

表題作の他に「艶説清少納言」「『六条御息所』誕生」「コイの味」と、エッセイを収録。この中で、六条御息所の話が抜群に面白かったです。あの登場人物の成立過程を推理したもの。源氏物語好きな型にはおすすめしたい作品です。



2020年3月25日 (水)

太平洋食堂

3016「太平洋食堂」  柳広司      小学館      ★★★★

紀州新宮の人・大石誠之助。皆から「ひげのドクトルさん」と親しまれた彼は、社会的弱者が生きていけるよう心を尽くす人だった。幸徳秋水らとの交流から「主義者」としてマークされるようになった誠之助だったが、さらに過酷な運命が彼を待ち受けていた。


大石誠之助の名を知ったのは、漫画「坊っちゃんの時代」の大逆事件の巻でした。幸徳秋水たちと交流があったことから逮捕され、秋水らと共に処刑された医師。得た知識はその程度です。漫画にもチラッと登場したくらいでした。

ただ、ずっと気になっていた人物だったので、彼を主人公にした小説だと聞き、飛びつきました。

なかなか器の大きい人物で、一つ一つのエピソードが生き生きと描かれ、さらに与謝野鉄幹との交流など、興味深い話もたくさんあるのですが。

物語は中盤から様相を変え、小説というよりは評伝、さらに当時の社会主義に関する考察も加えて、のどかな気配は消えていきます。

特に、「足尾銅山鉱毒事件」の章は、この顛末を描き、田中正造の帝国議会での演説を引用しています。

「民を殺すは、即ち国家を殺すことである。/法を蔑ろにするのは、即ち国家を蔑ろにすることである。/これらは皆、国を毀つ所業である。(後略) 

この言葉は、まさに今の日本にあてはまるのではないでしょうか。ちなみに、この田中正造の演説に対して、時の総理大臣・山県有朋の回答は、「質問の趣旨、その要領を得ず。以て答弁せず。」だったそうで。この辺も、今とよく似ています。

という辺りから明らかになっていくのは。当時(明治40年)、権力者が恣意的に無実の人間を12名も死刑に処したという事実。そして、そこに至る過程は、「今」と恐ろしい相似をなしているという事実です。

戦争と差別を嫌い、弱者のために行動する大石誠之助を描くことで、不当な手段で彼の命を奪った権力の醜さが浮き彫りになりました。また、それは決して他人事ではないのだ、と。

最終章は、読んでいて涙がこぼれました。なぜかは、うまく言葉にできません。

小説としてはまとまりのないところもあるのかもしれませんが、作者の書きたい、書かねばという思いが伝わってくるような作品でした。


2020年3月21日 (土)

悪いうさぎ

「悪いうさぎ」  若竹七海      文藝春秋      ★★★★

再読です。

ドラマ「ハムラアキラ」では、「悪いうさぎ」のエピソードは三回かけて構成されていました。なかなか上手く作ったなあと思った一方、あれ?こんなもんだった?という印象が。

小説を読んだのはだいぶ前で、詳細は忘れてしまったけれど、もっとこう胸糞悪いというか、すごく嫌な事件で、晶のダメージも大きかった気が…?  

どうにも気になったので、読み直しました。

で、納得。小説は、二重三重に晶がトラブルに巻き込まれていて(同業の世良の件、友人・相場みのりの恋人の件)、さらに監禁されたことで晶はかなりの心的ダメージを被っています。これは、凄まじかった。

でも、この辺はテレビでやるのは厳しいんだろうな、というのも見当がつきました。事件の本筋以外は煩雑になりすぎるし。…と考えると、やはりよくアレンジされたドラマだったなあと思うわけです。

しかし、この事件で晶はそれまでの誇りとか、自負みたいなものを粉々にされるわけですが…そのくだりは容赦ないので、ドラマだけでなく、こちらも読んでいただきたいです。

2020年3月18日 (水)

十二人の手紙

3015「十二人の手紙」  井上ひさし      中公文庫      ★★★★

さまざまな「手紙」が織り成す人生模様は、やがて思わぬ事件へ。井上ひさしの隠れた名作ミステリ。


日本語にこだわり続けた井上ひさしならでは。帯には「濃密な人間ドラマ✕圧巻の超絶技巧    作家・井上ひさしの底力に打ちのめされる1冊」とありますが、まさに至言。

いろんな形の手紙で構成された作品は、それぞれの趣向が効いていて、全く飽きることがありません。印象的だったのは、ほとんどが書類で構成されている「赤い手」と、意外な事実が最後の最後にわかる「玉の輿」でしょうか。

1978年刊行、1980年文庫化なのですが、当時の生活がもはや現代とはかけ離れてしまっていることにちょっと驚きました。

いろんな意味で、今回読めてよかったです。

2020年3月17日 (火)

日本中世への招待

3014「日本中世への招待」  呉座勇一      朝日新書      ★★★★

現代の日本人の生活のルーツは、中世にある。その時代を生きた人々の「日々の営み」にスポットを当てた一冊。


呉座先生の本が出てる!と、書店に走り、ゲットしました。

物心ついた頃から日本史好きで今に至る私。かつては信長だ、土方歳三だと熱を上げていたけれど、最近はいわゆる「英雄」に対する興味がかなり低下。むしろ、名もなき人々がどんな生活をしていたのかという点がおもしろくなってきて。そしたら、呉座先生のこんなご本が! 

期待に違わぬおもしろさでした。帯には「庶民と酒を酌み交わす殿様もいた」とありますが、このエピソードもいろんな方向で実におもしろいのです。また、呉座先生はさらりと書いてますが、素人には「え、知らない」「私の知ってるのと違う」の連発でした(苦笑)

史料を基に、学説もわかりやすく紹介したうえで、ご自身の意見も明確に記されているので、わかりやすい。また、新聞連載されたものが基になっているので、読みやすいです。中世初心者でもいけます。

個人的には呉座先生学生時代の人妻事件に爆笑しました。

2020年3月14日 (土)

線は、僕を描く

3013「線は、僕を描く」  砥上裕將      講談社      ★★★★★

両親を事故で失ってから、孤独の縁に落ち込み、生きる意味を見いだせなくなった青山霜介。流されるように進んだ大学で、同級生の古前に頼まれたバイトで、水墨画の巨匠・篠田湖山に出逢う。湖山は水墨画を全く知らない霜介を弟子にすると言い出して…。


本屋大賞の候補にもなったし、漫画化もされていて、話題の作品。(私もずっと「読みたい本リスト」に入れてました)  読んで、納得。

導入部分のあらすじを書いていて気づきましたが、設定だけだと、けっこう無理がある感じなんです。湖山先生を初め、門下の西濱湖峰、斉藤湖栖、湖山の孫娘の千瑛、みんなすごい才能の持ち主で、さらにキャラが立ってるし。霜介はあれよあれよという間に、水墨画の才能を発揮するし。いや~、それはちょっと、ねえ…と言われそうな流れなんですが。

そう思わせないだけの説得力があるのです。それは、「描く」場面のリアリティ。作者の砥上さんは水墨画家。だからこそなのでしょうけれど…普段当たり前にやっていることを、何の知識もない不特定多数の人に、わかるように言語化するって、大変なことです。

私は絵画は好きですが、正直言って、水墨画に興味をもったことは一度もありません。それなのに、「描く」場面にはぐぅっと引き込まれました。

この物語は霜介の成長物語なのかもしれません。でも、理不尽な死を経験したのは、霜介だけではありません。平成からこっち、震災を始めとする大規模な災害や、想像を絶するような出来事で、私たちは理不尽な死が身近にあることをある実感を伴って理解するようになりました。霜介のように脱け殻になってしまうのは、誰にでも起こり得ることなのです。

そんな「私たち」へのメッセージを、この物語から受け取った気がします。湖山先生がなぜ霜介を弟子にしたのか。その真意、霜介に向けられた言葉は、私自身に向けられたもののように感じて、ほろほろと泣いてしまいました。

作者が水墨画を描く動画があります(短いけれど)。描かれるのは、春蘭と菊。物語の世界は、たしかにそこにありました。


2020年3月12日 (木)

間宵の母

3012「間宵の母」  歌野晶午      双葉社      ★★★

小学三年生の詩穗の一番の仲良しは紗江子だった。しかし、詩穗の母と紗江子の継父が失踪。二人の少女の人生は暗転する。


久しぶりの歌野晶午。気の重い話かな?と思いましたが、なんだか気になって。

ミステリというか、ホラーというか…。そして、なかなかに後味悪い、救いのない話でした(苦笑)

詩穗視点の「間宵の父」、大学生になった紗江子の同期生視点の「間宵の母」、社会人になった紗江子の同僚による「間宵の娘」、最後の「間宵の宿り」の主役は詩穗の息子・蒼空(あお)。

どの話をとっても、読んでいるとこちらまで歪んでいく気がするほど。欠片も「いい話」の要素はありません。が、それを「読ませる」、物語の力が凄まじい。その力に引きずられるように一気読みしました。

2020年3月 9日 (月)

颶風の王

3011「颶風の王」  河﨑秋子      角川書店      ★★★★

一頭の馬とともに北の大地に渡った捨造。馬を育て、馬とともに根室で生きる未来を描いていた、捨造の孫・和子。十勝で、馬とは全く関わりのない生活を送る和子の孫・ひかり。明治から平成まで、六世代の家族と馬の物語。


短編集「土に贖う」もよかったけれど、これもよかった。わずか240頁あまり。でも、読み応えあります。句点がくれば即改行!の昨今の小説とは違って。

東北の農村の小作として生きる青年・捨造の出生にまつわる話が第一章「乱神」。それがまあ凄まじくて。身重の身で遭難した母は、生き延びるために馬を食った、という。私にはかなりしんどいものがありましたが、捨造の母・ミネと馬との関わりが、この作品の起点になります。

北海道に渡った捨造は馬を育て、それを生業としますが、やがて大きな台風によって、その道が断たれてしまう。その顛末が、孫娘和子の視点で語られる第二章「オヨバヌ」。自然の力には、人間の思いも願いも「及ばぬ」のだ、と。

そして、第三章「凱風」では、和子は倒れ、一命は取り留めたものの、意識は半分過去に行ったまま。馬のことを繰り返し語る和子を見て、孫娘のひかりは、和子がその祖父と育てた馬の末裔がいる島を訪れようとします。

生きるとは何か。形而上的な意味ではなく、生物として。どれだけ打ちのめされても…例えば自然災害に。あるいは、時代の流れに。…それでも、何故生きていけるのか。

3人の主人公は、血は繋がっていても、生きている時代も、価値観も異なります。それぞれが、それぞれの置かれた場所で生きる姿の中に、その答えが見えてきます。

そして、もう一方の主人公である馬の姿にも、それは描かれています。ミネと捨造の命をつないでくれたアオ。和子が天塩に育て、思わぬ別れとなってしまったワカ。ひかりが島で邂逅した、たった一頭の名もなき馬。彼らの生きる姿に、鳥肌が立つような思いがしました。

命があるから、生きる。

シンプルなことですが、人間が忘れがちなことかもしれません。

2020年3月 7日 (土)

依頼人は死んだ

「依頼人は死んだ」  若竹七海      文藝春秋      ★★★★

再読です。

ドラマ化された「ハムラアキラ」を見ていたら、いろいろ気になったもので。初読は2003年でした。

「濃紺の悪魔」「詩人の死」「たぶん、暑かったから」「鉄格子の女」「アヴェ・マリア」「依頼人は死んだ」「女探偵の夏休み」「わたしの調査に手加減はない」「都合のいい地獄」の9編から成る連作短編集。

この短編集からは、「わたしの調査に~」と「濃紺の悪魔」がドラマ化されましたが、どちらも私の記憶とはちょっと違ってて。

確かめたら、「わたしの調査に~」は、今の時代風にアレンジされて、犯人(?)も変わっていました。「濃紺の悪魔」は、その後日談「都合のいい地獄」とミックスされて、原作の不穏な空気の描き方と、ドラマらしい決着の付け方が絶妙だとわかりました。

とにかく、ドラマは予想以上に原作の良さを活かしつつ、ドラマとしての表現に挑んでいる良作でした。ドラマはちょっと晶がかっこよすぎるかな?と思ってましたが、若き日の晶はあんな感じでしたね。シシド・カフカさん、はまってました。

この短編集では表題作に一番「あっ」と言わされたのですが、ドラマでは難しいですかね。やれそうな気もしますが。

ドラマ、シーズン2を是非お願いしたいです。そして、シリーズも全て読み返したくなって困ってます(苦笑)

2020年3月 5日 (木)

ドミノ

「ドミノ」  恩田陸      角川書店      ★★★★

再読です。

「ドミノ  in  上海」と登場人物がかぶってるらしいので(覚えてなかった)、ちょっと確かめようと思ったら、そのまま最後まで読んでしまいました。

東京駅をメインの舞台に展開するドミノ・ストーリーですが…前作から登場してた人、こんなにいるんかい!ってなりました(苦笑)  特に、ダリオ。いましたね、そう言えば。「上海」ではとんでもない目に遭うダリオ。大活躍してました。

ドミノというか、複雑なピースを組み合わせたパズルみたいな物語。どうすればこんなの構成できるんでしょう。楽しみました。


2020年3月 4日 (水)

ドミノ in 上海

3010「ドミノ in 上海」  恩田陸      角川書店      ★★★★

今度の舞台は上海。日本からの観光客やハリウッドの映画監督、地元警察や裏社会の住人たち、総勢25人と3匹の運命が、ドミノ倒しのように連鎖する。


ブラボー!(スタンディング・オベイションしてると思ってください)

恩田さんの久しぶりの長編が、「ドミノ」続編とは思いませんでした。いやあ、楽しかった!

小難しいことなんか考える必要は皆無。くだらなくって(褒めてます)、馬鹿馬鹿しい(褒めてます)、恩田陸シアターの開幕です。最近、イライラしたり、不安になったりすることが多いのですが、これ読んで笑ったら、だいぶ上向きました。エンタメ最高!

前作はだいぶ前に読んだので、すっかり忘れてましたが、再登場した人物たちもけっこういます。もちろん、「上海」から読んでも大丈夫。そして、舞台が移ってスケールアップしてます。

私はひたすら巌巌で笑いました。パンダなのに…パンダがそんなことを…。

それにしても、ずっと同じことを言ってますが、恩田さんの頭の中が見てみたい。そして、「蜜蜂と遠雷」から恩田ワールドに入った読者は唖然とするのでは(笑)


2020年3月 1日 (日)

風神雷神

3009「風神雷神(上・下)」  原田マハ      PHP研究所      ★★★★

俵屋宗達の研究者・望月彩は、マカオで発見された一枚の絵と古文書を極秘で見せられる。絵は、風神雷神を描いた西洋画。古文書の筆者は、原マルティノ。天正遣欧使節としてローマ教皇に拝謁した四人の少年の一人は、その文書の中に「俵屋宗達」の名を残していた。


小説だからできること。原田さんは、それを存分にやってくださいました。

その人生がほぼ謎である絵師・俵屋宗達。それを逆手にとって、まだ少年であった宗達が信長に見出だされ、狩野永徳と共に洛中洛外図を描き、さらに遣欧使節と共にローマに向かうという、奇想天外な物語。あり得ない話だと思いつつ、絶対にないとも断言できない。だって、今の時点で宗達の生い立ちは「よくわからない」から。小説だから、こういう物語を構築できるわけで。

出色は、絵を描く場面です。特に、宗達が狩野永徳と洛中洛外図に挑む場面は、絵心のない私でも、一緒に描いているような気持ちになりました。絵を描くことが生きることである宗達が、同年代の少年たちと西洋に触れる過程で、自分が描きたいものを見出だしていく物語が、マルティノの目を通して描写されます。

少年たちの一途さ、汚れなさにしばしば胸が痛くなりますが(マルティノたちのその後を知っていれば尚更)、純粋であることの尊さと、芸術のもつ力に、心から感動しました。

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