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2020年8月11日 (火)

ここは、おしまいの地

3076「ここは、おしまいの地」  こだま      講談社文庫      ★★★★

田舎の集落で生まれ育ち、個性的な家族の中で「当たり前」が何なのか知らずに生きてきた筆者。うまくいかないことばかりだけれど、それでも「こんな私が『かわいそう』な訳ないでしょう。」


こだまさんの初エッセイ集。タイトルの「おしまいの地」とは、筆者が生まれ育ち、今もご両親が住む田舎のこと。

先日はくどうれいんさんの「うたうおばけ」を読みました。同じエッセイでも全く違うのだけど、共通しているのは、「書くことの力」を信じていること。それぞれの立場で書くことに向き合っている二人から伝わってくるのは、書くことで生きている、それが欠くべからざるものであることを自覚している強さ、でした。

こだまさんのエピソードは、驚かされたり、笑ってしまったりすることが沢山。嘘でしょ?と言いたくなるような話の連続。でも、どこかしら共感してしまうというか。かっこ悪くあがいたり、ジタバタしたり、大失敗して死ぬほど恥ずかしい思いをしたり。私もいつかどこかで味わったそういう思いが、嫌味なく書かれているのです。

そして、決して卑屈じゃない。それに、他者を貶める嫌らしさがない。

あとがきを読むと、なぜ書こうと思ったのか、何を書きたかったのか、よくわかります。その上で読むと、「私が『かわいそう』な訳がない」という一文が胸に響きます。

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