「や」行の作家

2016年9月10日 (土)

女官

2467「女官」 山川三千子   講談社学術文庫   ★★★★

副題「明治宮中出仕の記」。

どこかで読んだことがあるような・・・と思ったら、「明治宮廷のさんざめき」に引用されていた文献の一つでした。

明治天皇皇后のおそば近くに仕えた女官の貴重な証言です。出仕したのは明治42年なので、それほど長い期間ではないのですが、それまで決して語られることのなかった「奥」の様子が記されたものとして、その貴重さはわかります。

この手記が発表されたのが、1960年。もう昭和の世ですが、なかなかセンセーショナルだったのではないかと。かなりつっこんだところまで書いている部分もあるので。

当時の宮中の様子や、明治天皇夫妻の人となりを知るうえでは、非常におもしろい資料です。

2016年1月31日 (日)

あまからカルテット

2409「あまからカルテット」   柚木麻子         文春文庫         ★★★

ピアノ講師の咲子、編集者の薫子、美容部員の満里子、主婦の由香子。容姿も性格も全く異なる四人は、中学生の頃からの親友。ある日、咲子が恋をした。名前も知らぬその人の手がかりは、とっても美味しい稲荷寿司!?

女の友情ものって、あまり得意じゃないのですが、これはおもしろかったです。

稲荷寿司をはじめ、おいしそうな食べ物と飲み物が出てくるところもよかったです。

けんかしても、多少疎遠になる時期があっても、いざという時に頼りになるのが女友達。咲子たちの10年後の物語も読んでみたい気がします。

2016年1月10日 (日)

人形佐七捕物帳傑作選

2399「人形佐七捕物帳傑作選」  横溝正史         角川文庫         ★★★

見た目の良さから人形佐七の異名をとる、神田お玉が池の佐七親分が活躍するシリーズ傑作選。縄田一男・編。

横溝正史の手になる捕物帳ということで、ずっと気になっていました。今回の文庫は、シリーズのエッセンスだけを集めた、まさに傑作選。

「羽子板娘」「開かずの間」「嘆きの遊女」「蛍屋敷」「お玉が池」「舟幽霊」「梅若水揚帳」の7編を収録。

いずれもなかなか面白かったです。捕物帳といえば「半七」なのですが、これはこれで楽しめました。できれば、もっと読みたいものです。

2015年9月21日 (月)

獄門島

2358「獄門島」 横溝正史   角川文庫   ★★★★

金田一耕助は、亡き戦友の言葉に従って、瀬戸内海に浮かぶ獄門島にやってきた。そこで、美しい三姉妹に出会うが、彼女たちは次々に殺されしまう。島に巣食う妄執とは・・・。

いまさらですが、読んでみました。映画やテレビ、あるは漫画化されたものなどで、ストーリーや犯人はもうわかっている横溝ミステリですが、考えてみたら原作を読んだことはないのでした。この夏読んだ北村薫のエッセイで、本格ミステリ原理主義者の北村さんがベストミステリ一つとしてあげていたので、まず「獄門島」を。

不穏な空気が漂う小島で、美しい三姉妹が殺されていく。しかも、奇妙な舞台設定で。それがいったい何を意味するのか。犯人は、どうやって犯行をなしとげたのか。そもそも、犯人は誰で、動機は何なのか。それらの「謎」が、外連味たっぷりの物語世界で描かれていきます。たしかに、これは映像化したくなります。

古き良き時代の探偵小説というか、何よりも読み物として楽しめる話です。けっこう謎はてんこ盛りなのに、詰め込んだ感がなく、読みごたえがありました。

あと二、三作、読んでみようと思っているのがあるので、いずれチャレンジしたいと思います。

2015年9月 1日 (火)

3時のアッコちゃん

2350「3時のアッコちゃん」 柚木麻子   双葉社   ★★★★

派遣から契約社員になった三智子は、またしても煮詰まっていた。そんな時、アッコさんに再会! なんと、会議の場にティーサービスとして呼べという。嫌な予感のする三智子だったが、アッコさんには逆らえず・・・。

「ランチのアッコちゃん」続編。やっと借りられました!

「3時のアッコちゃん」「メトロのアッコちゃん」「シュシュと猪」「梅田駅アンダーワールド」の4話。最初の2話はアッコさんが大活躍で、あとの2話はお店がちょこっと登場というパターンも前作と同じ。アッコさんのお店「東京ポトフ&スムージー」は、とうとう関西進出してます。

さて、どの話も前作に負けず劣らずよかったのですが、やはり「3時のアッコちゃん」「メトロのアッコちゃん」が好きでした~。どちらも、強引に見えるけど、実は優しいアッコさんの真骨頂という感じで。アッコさんのお店のスムージー、私も飲みたい!

「メトロの~」は、ブラック企業の話でしたが・・・ほんとにこんななんですかね。怖すぎる・・・。

2015年5月20日 (水)

伊藤くん A to E

2293「伊藤くん A to E」 柚木麻子   幻冬舎   ★★★

伊藤誠二郎。そこそこイケメンで、千葉の大地主の息子だが、自意識過剰で無神経。だけど、なぜだかこの男に振り回されてしまう女たち。伊藤くんをめぐる5人の女子の物語。

とりあえず図書館にある柚木本を読もう、と借りてきましたが、これは私の好みからは微妙にずれてました。ちょっと残念。

伊藤という男、二十代後半なんだけど、シナリオライターを目指しているらしく、いまだ定職にはついていない(しかも、シナリオを書いている気配もない)。性格的にイタイところがあって、まわりからもバカにされたりもしてるんだけど、なぜかそんな伊藤くんに惚れ込んでしまう女子たちがいたりして(しかも、これがけっこうな美人さんたち)。でも、そんな彼女たちともまともにつきあえない。

そんな男のどこがいいのよ?という感じなんですが、彼に関わった女子たちは、逆にその中で自分の弱さや醜さに気づいていく、そんなお話。

女子の心情はリアルでおもしろかったのですが、生々しすぎて、私はちょっと苦手でした。しかし、伊藤くんはずっとあのままなのかなあ。

2015年5月10日 (日)

本屋さんのダイアナ

2288「本屋さんのダイアナ」 柚木麻子   新潮社   ★★★★

「大穴」と書いて、「ダイアナ」。そんな奇妙な名前と、金色に染められた髪。父は行方知れず。友達もできず、孤独だったダイアナに、声をかけてきた女の子、彩子。正反対の二人は惹かれあい、親友になったのだが・・・。

本屋大賞にノミネートされていたので、これだけは読んでおこうと思ったのですが、なかなか借りられず。その間にほかの柚木作品を読み、けっこうはまってしまったのです。

今度は、長編。8歳から22歳までの、ダイアナと彩子、それぞれの成長とふたりの友情の物語です。

まず、「ダイアナ」の設定でぶっとびました(笑) 環境も性格もまったく反対の彩子は、単純にダイアナとその生活に憧れ、同時にダイアナも彩子とその生活に憧れ、ふたりは互いの家を行き来しつつ、友情を深めていきます。とは言え、彩子もダイアナもまだ子供で、自分のことすらままならず、彩子が中学受験を迎えるころ、ふたりは絶交してしまいます。

彩子の閉塞感や、ダイアナの孤独、親との葛藤は、形こそちがえど共感できるところもあり、どちらの物語も他人事とは思えないものがありました。彩子の大学時代の話は、読んでいてもつらいものが。でも、彩子も、ダイアナも、とっても彼女たちらしく、成長したのではないかな、と。

大人になっても変わらないもの、大人になることで見えてくるもの、どちらも大事にしたいとあらためて感じさせられました。

2015年5月 1日 (金)

ランチのアッコちゃん

2280「ランチのアッコちゃん」 柚木麻子   双葉社   ★★★★

澤田三智子は派遣社員。彼氏にふられて落ち込んでいたある日、ひょんなことから、上司のアッコ女史こと黒川部長とランチを取り替えっこすることに。手作り弁当と引き換えに、アッコ女史のランチメニューを味わううちに、三智子の世界が広がって・・・。

人気があるの、わかります。おもしろかった。あっという間に一気読みしてしまいました。

「ランチのアッコちゃん」「夜食のアッコちゃん」「夜の大捜査先生」「ゆとりのビアガーデン」の4話。三智子とアッコさんがメインの話は前半の2話で、あとはちょこっとだけ登場します。

どの話も、読むと元気になります(笑) あまりそういうの好きじゃないはずなんですが、アッコちゃんのキャラのせいか、押しつけがましくなく、嫌味なく、読んだあとにちょっと元気が出る感じ。

とにかく、パワフルな、でもどこかかわいい、アッコちゃんがいいのです。三智子じゃないけど、この人と友達になりたい!と思わせるものがあります。

それにしても、「夜食」に出てきたポトフ、おいしそうだった~。

柚木作品、本格的に読みたくなってきました。

2015年4月24日 (金)

早稲女、女、男

2274「早稲女、女、男」 柚木麻子   祥伝社   ★★★★

面倒くさくて、イタい、そんな早稲女(ワセジョ)の早乙女香夏子と、5人の女子をめぐる物語。

初・柚木麻子です。いわゆる「女子小説」みたいなのが苦手なので、避けてきた作家さんなのですが、なんとなく読んでみました。そしたら、これが予想外におもしろくて。

早稲田の女子学生は、「女子」にカテゴライズされない・・・という。まさにそんな感じの女子力ゼロっぽい香夏子と、その友人、妹、あるいは恋のライバルたちとのお話。香夏子以外の女子も、それぞれ有名私大の学生だったりします。

なんというか、自分もどちらかと言えば香夏子タイプだったので、身につまされるというか、恥ずかしいというか(笑) それが客観的にみるとこうだったんだなあ・・・なんて思いながら読んでました。香夏子もけっこうイタいんだけど、みんなそれぞれにかっこ悪くて、でも一生懸命で、かわいい。

柚木麻子、もうちょっと読んでみようと思います。

2014年11月15日 (土)

江戸学講座

2196「江戸学講座」 山本博文 逢坂剛 宮部みゆき   新潮文庫   ★★★

山本博文東大教授を講師に、逢坂剛・宮部みゆき両氏を聞き手にした、江戸の暮らし講座。

「武士と奥女中のサバイバル・ゲーム」「治安維持と災害対策」「旅と海外貿易」の三部立て。旗本や御家人の「就活」や、経済事情など、私みたいな時代もの大好き人間でもよくわかっていないことが、わりとわかりやすく解説されています。

私は特に経済関係が苦手なのですが、武士の給料や、江戸時代のかかりの相場等、具体的に説明されていて、興味深く読みました。逢坂さんが現代のレートに換算してくれるのがありがたかったです(笑)

身につまされたのは、明暦の大火や安政の大地震のくだり。この話をしているのが2005年前後なので、もちろん震災前。今これを読むと、「まさか」と思っていたことが現代でも起こってしまったのだということを、強く感じました。

巻末に「各テーマがよくわかる本」が紹介されていて、おもしろそうなものがいくつかありました。機会があれば読んでみたいものです。

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