万城目学

2017年8月14日 (月)

パーマネント神喜劇

2620「パーマネント神喜劇」 万城目学   新潮社   ★★★★

「神様」は、どうやって願いを叶えるのか? ある「神様」が人間の願いを成就させるまでをたどってみると・・・。

「はじめの一歩」「当たり屋」「トシ&シュン」「パーマネント神喜劇」の4編の連作短編。

神様が一人称で語る小説って、あれ?どっかで・・・?と思ったら、「トシ&シュン」がアンソロジー「時の罠」に収録されていました。

前作「バベル九朔」は苦戦しましたが、これは読みやすく、サクサク読んじゃいました。そして、おもしろかった。

神界の事情は存じませんが、神様たちがなんとも愛らしくて、人間くさくて、笑ってしまいました。

表題作は大きな地震があった・・・というところから始まるので、いろいろ思うところありましたが、最後はほっこりしました。

2017年5月25日 (木)

バベル九朔

2583「バベル九朔」 万城目学   角川書店   ★★★

雑居ビルの管理人をしながら作家を目指している俺は、ある日突然、とんでもない出来事に巻き込まれてしまう。これは、夢か、現実か。俺ができることとは・・・。

万城目さんの10周年記念作品(?)。

いつも万城目ワールドには翻弄されます。どうしたらこんな話を思いつくんだ?と思いながら、その世界を堪能していたのですが・・・。今回は、ちょっとついていけないというか、振り回されっぱなしで終ってしまった感じでした。

う~ん、設定はじゅうぶんおもしろそうだったのですが。世界観をつかみきれなかったというか。体調いまいちのときに読んだのもよくなかったかも。

もっとも、万城目さんは一作ごとに物語の世界が広がっていく感じなので、おいていかれないように追いかけたいと思います。

2015年2月20日 (金)

悟浄出立

2236「悟浄出立」 万城目学   新潮社   ★★★★

中国に材をとった、「悟浄出立」「趙雲西航」「虞姫寂静」「法家孤憤」「父司馬遷」の短編5編。

帯には、沙悟浄のイラストとともに「俺はもう、誰かの脇役ではないのだ」という言葉が。まさに、歴史あるいは物語の「脇役」たちにスポットを当てた作品です。

表題作はもちろん「西遊記」。孫悟空や猪八戒に比べるとやや影の薄い沙悟浄ですが、彼が自分の意志で進む道を見つけるラストには、ちょっと感動してしまいました。「ただ、自分が生きたい方向に足を出しさえすればいいんだよ!」という悟空の言葉が、印象的でした。

「趙雲西航」は、「三国志」の趙雲が主役です。人気者なんですけどね。でも、やっぱり脇なわけで。そんな彼の複雑な思いが描かれます。張飛や孔明とのやりとりがおもしろかったです。

「虞姫寂静」は、虞美人。あの「四面楚歌」の場面です。この話が、一番私好みでした。名もなき女性の凛として強く、美しいこと。哀しい話なのですが、うっとりしてしまいました。

「法家孤憤」は、秦の皇帝を暗殺しようとして失敗した荊軻と、同名の京科という法家の話。荊軻の生きざまを通して、自分の生き方を決定づける京科。二人の人生が不思議にクロスして・・・。

「父司馬遷」は、娘・榮の目を通して描かれる司馬遷です。彼が「史記」を書き始めるまでの物語。

私もよく物語の脇役たちを主人公にしたサイドストーリーなんかを想像したりするんですが・・・脇役にも思いがあり、ドラマがあるんですよね。彼らの生き様、堪能しました。

ちなみに、私は中国ものってあんまり得意じゃないですが、それでもじゅうぶんおもしろかったです。

2014年5月 3日 (土)

とっぴんぱらりの風太郎

2119「とっぴんぱらりの風太郎」 万城目学   文藝春秋   ★★★★

伊賀の国で忍者として育てられた風太郎。しかし、ある出来事がきっかけで、国を追われることに。ふらふらと都へ出たものの、何をする気にもなれず。そんな風太郎の前に、奇妙な人物が現れ・・・。

ずっと気になっていたものの、あまりの厚さに手を出せずにいました。ようやく読めて、満足満足。

時代は江戸初期。大坂の陣のころです。忍者をくびになった(?)ような、なんとも中途半端な、プータローが主人公。伊賀に戻りたいというか、忍者として生きることしか知らないくせに、現状打破する意欲も気力もイマイチない風太郎。そもそも、忍びとしての技量もそこそこで、あまりパッとしない。まだ本格的な仕事をしたこともなく、何かをやりとげたこともない。なんとも頼りない感じが、他人事とは思えない主人公でした(笑) いっぱいいますよね、こういう人。

風太郎がどんどん大きな出来事に巻き込まれていって(そうなる原因は、風太郎の側にあることが多い)、戦に出たり、命のやりとりをする羽目になったり、そして最後にはとんでもないものをしょいこんでしまい・・・。


時代物ですが、時代物という気がしない物語でした。風太郎をすごく身近に感じるというか。最後はちょっとうるっときてしまいました。


これが「プリンセス・トヨトミ」につながるのね・・・と、感無量でした。

2012年7月13日 (金)

ザ・万歩計

1891「ザ・万歩計」 万城目学   文春文庫   ★★★

「鴨川ホルモー」で作家デビューを果たすまでの日々。さらに、世界をまたにかけた旅行記(?)や、渡辺篤史への愛など、摩訶不思議なマキメ・ワールド全開のエッセイ集。

リサーチ不足で「ザ、万遊記」を先に読んでしまいましたが・・・あんまり、影響はなかったです(笑)

こっちの方が、マキメさんの脳内ワールド全開で、何度もニヤリとしてしまいました。病院の待合室で読んでいたので、きっと怪しい患者だったことでしょう・・・。

しかし、マキメさんってほんとにこんな事件に次々遭遇してらっしゃるんでしょうか?信じられない・・・。作ってませんか?と聞いてみたい。

でも、この既成の概念にとらわれない感じ、すごくうらやましいです。少し分けてほしいと思ってしまいました(決して、こうなりたいとは思わないけれど)。

2012年6月24日 (日)

ザ・万遊記

1882「ザ・万遊記」 万城目学   集英社文庫   ★★★

北京へ、ロンドンへ、バルセロナへ、さらに北朝鮮へ。アキレス腱断裂の大けがにもめげず、世界を駆け巡る万城目エッセイ集。

うう、やってしまいました・・・。これより「万歩計」の方が先でしたね? うっかり買って読んでしまいました。まあ、おもしろかったのでいいのですが。

やっぱり北朝鮮でのサッカー観戦記が白眉でしょう。ひたすら、おもしろかったです。こんな感じなんですねえ。

小説での独特な万城目ワールドは、エッセイでも全開。アキレス腱を切ったところとかもう・・・。

先日読んだ桜庭一樹さんの読書日記に万城目さんが登場してましたが、万城目さんサイドから見た桜庭さんも書いてあって、「おお!」と思ってしまいました。

個人的に激しく共感したのは、司馬遼太郎と井上靖の歴史小説の「違い」。すごく、納得しました。興味のある方はこのくだりだけでもぜひどうぞ。

2011年7月16日 (土)

偉大なる、しゅららぼん

1728「偉大なる、しゅららぼん」 万城目学   集英社   ★★★★

琵琶湖のほとりに住む日出一族は、不思議な「力」をもった人間が生まれてくる。また、違う「力」をもった棗家とは、常に対立してきた。日出一族である涼介は、高校入学と同時に本家に移り、修行することに。「力」をうっとうしく感じている涼介だったが、本家の清子、淡十郎姉弟や、棗広海たちと共に、信じられないような出来事に巻き込まれ・・・。

うう、おもしろかった・・・。

どうして万城目さんは、こういう話を思いつくのでしょうね。いつも思うのですが、作者の頭の中をのぞいてみたいものです。

一言で言うなら、「荒唐無稽」。それなのに、妙におもしろい。ついつい夢中になって読んでしまう。「ホルモー」も、「鹿男」も、「トヨトミ」もそうでしたが、なんでこんな話(失礼!)に夢中になってるんだろう・・・と思いつつ、読んでしまうのです。

今回は、高校生の男の子たちが主人公。琵琶湖から授けられた(?)不思議な力を使ってきた一族の彼らは、それぞれあまりに個性的。そもそもこの「力」そのものはすごいのだけど、なんともお間抜けな設定がほどこされていて・・・。

後半からは、けっこうスペクタクルな展開もあり、スケールは大きいのですが、「しゅららぼん」の種明かしは、腰砕けというか・・・笑ってしまいましたね。

最後の展開は、なんともせつないというか甘酸っぱい感じで、でもそれが嫌みなく効いていて、私は好きでした。

つくづく、琵琶湖を見たことがないのが残念です。この風景をリアルに思い浮かべることができたら、いっそう楽しいでしょうね。

2010年3月12日 (金)

かのこちゃんとマドレーヌ夫人

1445「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」万城目学   ちくまプリマー新書   ★★★

小学校1年生のかのこちゃんの家に住み着いた赤トラの猫の名はマドレーヌ夫人。犬語を解するマドレーヌ夫人の夫は、犬の玄三郎。そして、かのこちゃんとマドレーヌに起こった不思議な出来事とは・・・。

「プリンセス・トヨトミ」以来のマキメ・ワールド。相変わらず不思議というか、奇妙なというか、独特の世界が広がっています。

今回は、子供向けなのかな? 長さと言い、不思議感もちょっと物足りなかったですが、万城目さんらしさはじゅうぶん伝わってきました。なんだか、最後の「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」の章では、ちょっと泣きそうになってしまいました・・・。

ところで、かのこちゃんの名前の由来からいって、お父さんは「彼」ですね? いやいや、ちゃんとあっちの世界とつながってましたか~。また濃ゆ~いマキメワールドが読みたいです。

2009年5月 8日 (金)

プリンセス・トヨトミ

1392「プリンセス・トヨトミ」万城目学    文藝春秋    ★★★★★

会計検査院の松平、鳥居、旭の三人は、大阪に実直調査に向かった。そこでの調査対象「OJO」との関わりが、思わぬ事態を引き起こす。5月31日、大阪全停止!?…大阪に隠された謎とはいったい?

いや〜おもしろかったです!「ホルモー」も「鹿男」もおもしろかったですが、ストーリー運びのしっかりした感じ、スケールの大きさ、クライマックスの緊迫感、今までの最高峰ではないでしょうか。
会計検査院サイドと、大阪の中学生・真田大輔サイドで話が進行しますが、どちらもキャラが立ってて退屈しません。物事を表と裏から見ていく感じになるのだけど、それが合流して、真実が明らかになる瞬間は快感でした。
後日譚のエピソードも効いていて、絶妙なせつなさがなんとも言えなかったです。
男たちの思いの連鎖と、それを見守ってきた女たちの歴史と…感動しました。
個人的には旭がすごくお気に入りです。頭のいい美女って好きなので(笑)
それにしても、万城目さんの発想ってすごいですね。どうすればこんなこと思いつくのでしょう。次の作品が楽しみです。

2008年12月19日 (金)

鹿男あをによし

1366「鹿男あをによし」万城目学   幻冬舎   ★★★★

 人間関係のトラブルで大学の研究室にいづらくなった「おれ」は、奈良の女子高の講師の口を紹介される。そこで堀田というかわいげのない生徒とトラブり、さらに口をきく鹿に会ってしまい、否応なしに不思議な世界に引き込まれてしまい・・・。

 今さらな感じですが、ようやく読みました。先月、奈良に新婚旅行パート1で行ってきたばかりなので、微妙に土地勘があって、おもしろく読めました。鹿もいっぱいいましたしねえ・・・。

 「ホルモー」ほどのエネルギーはないですが、これはこれでおもしろかったです。あっちはいかにも京都、こっちは奈良のゆったりした空気にあっていて。

 そして、「ホルモー」は、凡ちゃんのキャラが生きてましたが、今回は堀田イトちゃんがいい味出してましたね。ラスト、よかったです。

 なんか、奈良ってこういうことが起こっても不思議じゃないような感じがするところですよねえ。

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