加納朋子

2015年1月17日 (土)

トオリヌケキンシ

2219「トオリヌケキンシ」 加納朋子   文藝春秋   ★★★★

「トオリヌケキンシ」の表示のある道を入って行った先にあったものは・・・。「トオリヌケキンシ」「平穏で平凡で、幸運な人生」「空蝉」「フー・アー・ユー?」「座敷童と兎と亀と」「この出口の無い、閉ざされた部屋で」の6つの短編集。

初期の加納さんの作品を久しぶりに読んだような感じです。優しくてほんわかした物語なのに、ときどきピリッと痛いところがあって、なんとも言えないせつなさ感ががあって。そして、5つの物語がラストの「この出口の~」にリンクしていて。

要するに、ものすごく私好みの物語でした。

加納作品は「無菌病棟より愛をこめて」以来読んでいなかったのですが、やっぱりいいですね。

ミステリなので、ネタバレできないのがつらいところですが、「平穏で平凡で~」がすごく好きです。ほんと、幸せな感じで。子どもへの虐待とかダメなんで、「空蝉」はしんどかったです。

ラストの「この出口の~」には、泣かされました。あなりのせつなさに。加納さんだから書ける、加納さんゆえの説得力だなと思いながら。1月17日の今日だから、「未来に向けて、生き続けねばならない」という言葉が、より身に染みて感じられました。

2012年6月11日 (月)

無菌病棟より愛をこめて

1877「無菌病棟より愛をこめて」 加納朋子   文藝春秋   ★★★★★

2010年6月、急性骨髄性白血病だと告知された筆者。「なるべく死なないように頑張ろう」・・・化学療法から骨髄移植。およそ8カ月におよぶ闘病記。

この本の存在に初めて気づいたのは、春休みの終わりごろ。盛岡の大型書店をふらりと流していた時に、ふと目に留まったのです。加納さんは大好きな作家さんなので、「あれ、新刊?」と手に取ってギョッとしました。加納さんご自身の闘病記?え?白血病って?いつのまにそんなことに?新作じゃないの?・・・気づくとそこは、「ノンフィクション」の棚でした。

なんだかものすごくショックで、読む勇気が持てず、本を戻して立ち去りました。後ろ髪をひかれつつ。

それから・・・どのくらいたってからだったでしょう。朝日新聞に、笑顔の加納さんの写真が載っていました。かつての「著者近影」に比べると、ものすごく痩せていて。泣きたいような気持になりましたが、加納さんはすがすがしく笑ってらっしゃいました。もし、あの写真を見ていなかったら、この本はずっと読めなかったかもしれません。

さて、この本は、加納さんの闘病記です。白血病と診断されるまでと、その後の化学療法。さらに骨髄移植。さらに骨髄のドナーとなった弟さんの日記も。

この経過を拝見すると、加納さんはかなり幸運な部類の患者だったのだと思えます。もちろん、薬の副作用等々、すさまじい苦痛に襲われていますが、看護師さんやほかの患者さんたちがビックリするほど元気。それは、弟さんがドナーという恵まれた状態での移植が可能だったこともありますが、実は加納さんの努力による部分も大きかったようです。

たとえば、体力を落とさないように、本格的な治療が始まる前には運動する。ストレッチをする。また、移植前には口腔ケアをしてもらい、その後も自分でのケアを怠らなかったためか、ひどい口内炎を経験せず、口から食物をとり続けることが可能だったこと。これらが、加納さんの基礎体力を支えていたような気がします。

とにかく、前向きなのです。そんなにがんばらなくてもいいのに・・・と思うほどに。でも、やっぱり、かなり無理をしていたところもあったようで、一度、日記がぷっつり途絶えてしまいます。その前後は痛々しいほど・・・。

それにしても、すさまじいです。化学療法であれだけ苦しんだのに、骨髄移植ではまたさらに・・・。こんなに苦しまなきゃいけないものなのか、と、何度も涙目になりながら読みました。それでも、加納さんはきっちり向き合います。自分でもネット等で病気について調べて、きちんと理解したうえで病気に向かっていこうとする。その心の強さにはただただ頭が下がる思いでした。

支離滅裂な感想になってきましたが・・・印象的だったのは、旦那様の存在です。このご夫婦、ラブラブですね。旦那さんが病院に来てくれた時は、加納さん、ひときわ嬉しそうでした。骨髄移植のために入院する時、病院へと向かう車の中で旦那様が言ったこと。

「やっぱり君がいる方が毎日が楽しいから、早く帰っておいで」

思わず、こちらがボロボロ泣いてしまいました。

昨日、前半部分を読んでいる時、夫が隣にいまして。なんだかやたら話しかけてくるのです。いつも、お互いに本を読んでいる時には邪魔しない・・・というのが不文律なのに、珍しいな、と思ったのですが。今、心身ともにへたっている私が、眉間にしわを寄せて、泣きそうな顔をして読んでいるので、心配だったみたいです。・・・ごめんなさい。

私も、このコンディションで読むのはどうよ、と思ったのですが・・・。でも、読んでよかった。これは、自己満足のための日記ではなく、この病気のことについて知ってほしいという強い願いのもとに世に出たものです。ぜひ、多くの人に読んでほしいと思います。

2010年8月12日 (木)

少年少女飛行倶楽部

1541「少年少女飛行倶楽部」加納朋子   文藝春秋   ★★★★★

中学生になった海月は、一目惚れした先輩に近づきたい幼なじみの樹絵里に付き合わされて、「飛行クラブ」という奇妙な部に入部してしまった。それは、「飛ぶ」ことを目的にしたクラブ。設立者は、2年生の斎藤神。かなり変わり者の斎藤先輩に振り回されてばかりの海月だったが、いつのまにか彼の「飛びたい」という思いをかなえたいと思うようになり・・・。

不覚にも、読み終えて涙ぐんでしまいました。いや、他愛ない(作者には申し訳ないですが)青春ものなんですけどね。ものすごく特殊な話ではないと思うのです。むしろ、ベタな。ただ、何が琴線に触れたのか、考えてみるに・・・。

あとがきで、加納さんはこう書いています。『底抜けに明るい、青春物語が書きたくなりました』・・・そう、この「底抜けに明るい」というところ。おそらく、これがポイントだったのだと思います。本当に「底抜けに明るい」のかというと、そうとは思えません。

たとえば、飛行クラブの女子メンバーは、海月を中心にして、樹絵里、るなるな、イライザ・・・みんな個性が強くて、それぞれの好き嫌いとか、恋愛がらみで気まずい空気になることもあります(原因は、海月の鈍さにもあるのですが)。男子たちも、それぞれ抱えているものが重いです。親の期待に応えられず苦しんでいた球児。ケガで野球ができなくなってしまった中村先輩。そして、体の弱い姉を守るために生まれてきたという斎藤先輩。

でも、そういうのをちょっとだけ乗り越えたり、自分なりにけりをつけたりしながら、自分たちでやりたいことを見つけ、実現していく。この前向きなパワーのいとおしかったこと!彼らは凹んでも、ぐるぐるしても、うまくできなくても、仲間と関わりながら、なんとなく前へ進んでいくのです。そして、「飛ぶ」ことを実現させてしまう・・・。

そう、本当は、人間にはそういうパワーがあって、特に若い時って無茶なことでも実現させてしまうくらいの、大人が「しょうがないなあ」って苦笑してしまうくらいの無駄なエネルギーがあって・・・楽しいんだよって・・・今の子供たちに加納さんは伝えたかったのかな、と感じたのです。それは、私が、いつも今の中学生・高校生たちに言いたいことなのだ、と気づかされました。

最近のヤングアダルト系の小説を読んでいると、なんだか痛々しくて、読んでいると悲しくて泣きたくなるような場面が多い気がします。そんなに、つらいことばっかりなんだろうか。生きていくのは、そんなに息苦しいことばっかりなんだろうか。そうじゃないのに。特に、若いうちは、もっともっと無防備に、無鉄砲でいいはずなのに。

この物語は、そうでした。だから、読んでいて嬉しくなったのです。さすが、加納さん。

ところで、学校でのあれこれや、先生とのやりとりとか・・・変なところがリアルで、ニヤニヤしてしまいました。

それから、「イライザ」! やはり、同年代の作家さんはこういうところが嬉しいです。そのネーミングで、その子がどんなキャラか、一発でわかってしまいました(笑)

2009年7月24日 (金)

スペース

1402「スペース」加納朋子   創元推理文庫   ★★★★

クリスマスにひいた風邪がようやく治った大みそか、出かけたデパートであるものに目を奪われた駒子は・・・。

「ななつのこ」「魔法飛行」の続編。やっと文庫化され、やっと読めました~。

私はどうも加納さんの書く女の子が苦手です。すごく純粋なタイプの女の子が。そう、この駒子のような。北村薫さんの書く「私」と似ているんだけど、何か違う。たぶん、北村さんの書く女の子は「いそうでいない」タイプで、加納さんの書くのは「いそうにないけど実はいる」タイプなのかも。そういう妙なリアル感があるのです。同性の神経を逆なでする何か、みたいな。

実は、この主人公の駒子も、私が苦手なタイプで、でも、イライラしながら読み終えると、「ああ、この話好きだなあ」と思ってしまう、不思議な物語なのです。前作あたりからは、駒子がただ能天気でまっすぐなだけの子じゃないというのが見えておもしろくなってきたのが、今回は別の視点人物から見た駒子が描かれていて、これまたおもしろかったのでした。

「スペース」と「バック・スペース」の二つの物語で構成されていますが、それぞれの物語と、その両方とに仕掛けがあって、ミステリとしても上出来です。そして、二つのタイトルにこめられた意味にぐっときました。

現実と悪戦苦闘しながら生きている女の子たち・・・。等身大の彼女たちを、とてもいとしおしく思いながら読みました。恋愛ものとしても、素敵な物語です。

個人的には、岩手県が舞台になっているところがあったのが、ポイント高かったです。

2008年8月21日 (木)

ぐるぐる猿と歌う鳥

1340「ぐるぐる猿と歌う鳥」加納朋子    講談社    ★★★

 森(しん)は、父の転勤で小倉に越してきた。その社宅に住む子たちと知り合うが、その中にいっぷう変わった子が。みんながパックと呼ぶその子は、正体不明で…。

 ミステリーランド13回配本。遅ればせながら読みました。
 加納作品の主人公は女性が多いと思うのですが、これは男の子。それだけで、ずいぶん印象が違う気がしました。
 でも、日常の謎を積み重ねていく手法や、ほんのりあたたかさがにじむストーリーは、とても加納さんらしかったです。
 奇妙なタイトルの意味もわかったし。最大の謎、パックの正体は、なんともやりきれない感がありましたが…明るいラストに救われました。
 子供たちそれぞれが負っている心の傷は決して浅いものではないけれど。それでもみんな生きていけるさ…と思えるところがよかったです。

2008年5月16日 (金)

てるてるあした

1293「てるてるあした」加納朋子    幻冬舎文庫    ★★★★

 親が借金をこさえたせいで、夜逃げするはめになった照代。行き先は佐々良という田舎町に住む、遠縁の久代さんという人の家。親とも離ればなれですさんだ照代のもとに、ある日不思議なメールが届く。

 「ささらさや」の姉妹編。サヤは脇役になり、照代という十五歳の女の子が主人公。「ささらさや」に登場した三婆の一人、元教師の久代さんが、重要な役割を果たします。
照代はかなりかわいくない性格ですが、その大元は、親からの愛情を実感できないというところにあるのです。そして、その原因は…。
 最初はけっこう照代と両親にイライラしたのですが、話の仕掛けが見えた辺りから、どうしようもなく哀しくなってきて…最終話では思わず泣けてしまいました。 

 加納さんって、人のピュアな部分を書くのがうまいと思うんですが、同時に素直になれない不器用な人の、一瞬見せるあたたかさを描くのもうまいなぁと感じました。

2006年11月26日 (日)

レインレイン・ボウ

1049「レインレイン・ボウ」加納朋子   集英社文庫   ★★★★

 高校時代のソフトボール部の仲間、チーズこと知寿子が急死した。その通夜で久々に再会した仲間たち。個性も異なるそれぞれの生き方は・・・。

 「月曜日の水玉模様」の姉妹編。あちらで主人公だった陶子の高校時代のソフト部のメンバー(きっかり9人しかいなかった)のお話。
 7人を主人公にした連作短編。知寿子の死で始まり、最後はその死に隠されていたある事実が浮かび上がります。一編ごとにも小さな謎解きがあって、「日常の謎」が得意な加納さんらしい話です。
 それぞれの個性を虹の七色にたとえて話を紡いでいくという構成は、ありがちな気もします。でも、「色」のイメージと、主人公の個性がうまくマッチしていて、読み終えてから、「ああ、うまいなあ」としみじみ。
 悩むこともあるし、迷うこともある。仕事をしている人も、してない人もいる。前向きな人もいれば、自分に自信がもてない人もいる。それぞれが何かを抱えて、毎日を生きている。そういうところに私自身もすごく共感できたし、どの話も好きでした。
 その中でも主役というべきはやはり陶子です。仲間たちから信頼されていた「キャプテン」の存在は、今でも大きい。だけど、陶子自身は自分をあまりわかっていません。そういう彼女に風穴をあけてくれるのが、萩くんなのですね。「月曜日~」以来、萩くんファンの私としては、登場した瞬間「待ってました!」って感じでした。やっぱり、萩くんいいなあ。
 「月曜日~」とは独立した物語としてもじゅうぶん楽しめますが、読んでるとさらに楽しめますね。

じゅりん > こちらはまだ未読ですが、萩くん登場するんですね。私もファンなので気になります~(笑)。「月曜日~」では二人の関係もあいまいな感じで終わっていたので、こっちではちょっとは進展があったのでしょうか。。(笑) (2006/11/28 13:37)
まゆ > じゅりんさん、萩くん登場です!でも、ちょこっとだけなので、最後まで辛抱強く読んでくださいませ。「月曜日~」よりさらにミステリ色は薄まって、また違った趣の物語になっていますよ。 (2006/11/28 22:11)
流歌 > 専業主婦にも働く女性にも、平等の目線を送っているところが素敵だな、と思いました。こういう仕事をテーマにした作品って、えてして専業主婦やパートの女性を見下して描いていることが多いので。逆に結婚している女性が未婚の女性に優越感を抱いているように描かれている場合が多くて、うんざりしていたので。
萩くん再登場は嬉しかったですが、水玉模様の時より陶子との仲があまり進展してなかったのが残念です。また更に続編か姉妹編が出ないかな~と思ってます。 (2006/11/29 18:36)
まゆ > 流歌さん、作者のスタンスが偏ってないというのは、同じことを感じました。だから、読んでいて気持ちよかったです。
これは「月曜日~」の続編というより姉妹編だと思って読みました。だから、今度はあの「続き」を書いてほしいですね。陶子みたいなタイプにとって、萩くんって大きな存在だと思うので。 (2006/11/30 00:02)

2005年12月31日 (土)

虹の家のアリス

917「虹の家のアリス」加納朋子   文春文庫   ★★★★

 脱サラして探偵事務所を開いた仁木順平。押しかけ助手の安梨沙。あまりはやらない探偵事務所には、今日も依頼人がやってこない。安梨沙が苦労して見つけてくる依頼人たちは、奇妙な事件ばかり抱えてきて・・・。

 2005年のラストを飾ったのが、この一冊。
 ↓の「バッテリー」が少年ものなら、こっちは少女・・・って、安梨沙は20歳だったっけ。
 「螺旋階段のアリス」の続編ですが、私はこっちの方がめちゃくちゃおもしろかったです。なぜかというと、安梨沙が非常に生き生きしてるから。とってもかわいくて、賢くて、いたずら好きで、あくましくて・・・。前作ではイマイチ感情移入できなかった安梨沙というキャラが、一話ごとに血が通ってくる感じ。彼女の「変化」がとても心地よかったのです。
 自分にはめられていた枷をはずして、自分の目で見て、自分の頭で考えて・・・しっかりしてきた安梨沙の姿がに好感がもてました。
 ミステリとしては日常の謎系。表題作「虹の家のアリス」がおもしろかったです。「鏡の家のアリス」にはだまされました(苦笑)
 最終話で「チロ」の正体に気づいた安梨沙。これからどうするのでしょうね。

さくら > 「鏡の家のアリス」私もやられました~でも一番好みです。安梨沙も、仁木との関係も色々と変化していくのが好ましいですよね! (2006/01/04 10:16)
まゆ > さくらさん、「鏡の家」は、あれ?あれ?と思いながら読んでしまうんですが、そこにひっかかるんですよねえ。一話ごとに安梨沙がどんどんたくましく(?)なっていくのが、すごくよかったです。 (2006/01/04 15:06)

2004年9月 8日 (水)

いちばん初めにあった海

595「いちばん初めにあった海」加納朋子   角川文庫   ★★★★

 引越しの準備のさなかに見つけた一冊の本「いちばん初めにあった海」。そして、その中にはさまれていた一通の手紙。「私も人を殺したことがある」・・・差出人<YUKI>とはいったい誰?

 表題作と「化石の樹」の中編2本。3年ぶりの再読です。
 「いちばん初めにあった海」は、主人公・千波の心をさぐる物語。双子の兄・千尋を幼い頃に失い、母を事故で亡くし、さらに傷を負った千波の再生が描かれます。
 「化石の樹」は、やはりある女性の癒しと再生の物語。この2作はしっかりリンクしています。そういう意味では、両方で初めて完結する構成です。
 どうしようもない心の傷を抱えて苦しんでいる彼女たちが、ある人に支えられて笑顔を取り戻す、その過程がたまらなく好きです。ちょっとセンチメンタルではありますが、それがまた侵しがたい物語世界を構築しています。
 初めて読んだ時、「化石の樹」の終盤で涙がとまらなくなって困りました。母親の歪んではいるけれど確かな愛情があったのだというところで。そういう人の心を打つ強さをもった物語だと思います。
 再読してみて、「すべての母なるものへ」という献辞が心にしみてきました。

さくら > すごく切ないのだけれど幸せになれるお話ですよね。私も好きです~。丁度先日妹に貸してあげて、私も再読したくなってるところです。 (2004/09/09 11:11)
まゆ > そうですね。初めて読んだのは、一人でごはんを食べようとお店に入ったときで、人目があるのに泣いてしまってすごく恥ずかしかったです。でも、すごく好きな話。「ガラスの麒麟」とこれとが双璧です。 (2004/09/09 19:50)
EKKO > 随分前に読んだので細かいところはうろ覚えなんですが、「化石の樹」は保育園の話でしたよね?読んだ頃、子供を自転車に乗せて保育園通いをしていたので、とても感情移入してしまった覚えがあります。 (2004/09/09 23:04)
まゆ > はい、保育園が舞台になっている部分があります。虐待を受けている女の子と、大人になりきれない若い母親の話です。好きなんですよね、これ。 (2004/09/09 23:36)

2004年4月21日 (水)

ささら さや

500「ささら さや」加納朋子   幻冬舎文庫   ★★★★

 「ささら さや・・・・・・。」その音が聞こえると、あの人はやってくる。誰かの体を借りて。愛しいサヤとユウ坊のもとへ。
 夫を交通事故で失ったサヤは、まだ赤ん坊のユウスケと、佐々良の街へ移り住む。内気でお人よしなサヤが心配であの世へ行けない夫は、サヤたちの危機には必ず助けに来てくれる。しかし、その日々は永遠に続くものではなくて・・・。

 ずーっと読みたかった物語。文庫化を首を長くして待っておりました。
 加納朋子版「ゴースト」は、とっても加納さんらしい、やさしきせつない物語に仕上がっていました。
 両親とも早くに死に別れた、幸薄いサヤ。「いつだって気弱な笑みを浮かべて、簡単に諦めたり許したり忘れたりしてしまえる」サヤ。夫と出会い、ささやかな幸せをかみしめていた彼女は、不幸のどん底に突き落とされてしまいます。
 ただ、サヤにはなかなかイライラさせられました。「庇護される」ことに慣れきっているというか、それが当然だ、自分は「弱い」のだから・・・というのがどうにも好きになれなくて。現実でサヤみたいな立場にたたされたら、私だってどうしようもなくおろおろするだけだろうとは思うのですが。
 だから、彼女が母として少しずつ成長していくのはうれしかったです。サヤを見守っている久代さんたちや、エリカさんの気持ちがすごくわかるような気が。
 この連作のエピローグとも言うべき「トワイライト・メッセンジャー」は、読んでいて涙がとまりませんでした。理不尽にも愛する者たちと別れさせられた彼の無念と、妻子への思い。ユウ坊が初めて言葉を口にする瞬間を想像したら、泣けて泣けてしかたありませんでした。
 
 というわけで、これが通算500冊目になります!
 三日坊主な私がよくここまで続いたものだと思います。本当に、本プロのみなさんのおかげです。ありがとうございます。

流歌 > 私は単行本を持っているんですけど、文庫本も素晴らしい表紙ですよね!「本」としてとても好きな物語です。それと500冊達成、おめでとうございます! (2004/04/22 01:12)
やぶ > 私はこの本ダメでした。さやの性格がどうしても馴染めず・・・目の前に居たら「いい加減にしろ!」ってどついてしまうかも・・・(自分ってなんて血も涙もない人間なんだ・・)後、まゆさん、500冊到達おめでとうございます。「継続は力なり」ですね。 (2004/04/22 02:30)
ざしきぼっこ > 500冊おめでとうございます。私はこの本大好きです。幽霊の夫が作ってくれた料理のあたり、女性作家ならではの繊細さを感じますし、「ばかっさや」という、これほど愛情に満ちて、元気付けられる悪口には会った事がありません。 (2004/04/22 09:20)
トントン > 500冊達成おめでとうございます!500ってすごい数ですね~私は今年中に通算100冊を目標に頑張ります。
この本が初の加納作品でとても印象に残っています。「トワイライト・メッセンジャー」私もウルウルしてしまいました。 (2004/04/22 10:35)
ときわ姫 > まゆさん、500冊おめでとうございます。この本は皆さんにとても評判が良いですね。だから、さやって人は嫌いだわと思った私は、仲間はずれかなあと感じていたんですが。やぶさんという仲間がいました。まあ色々ということで。あ、だけどあの夫は好きですよ。 (2004/04/22 16:19)
まゆ > みなさんありがとうございます。こうしてレスをいただくことも泣ければ、500冊まで到達できなかっただろうなあというのが正直なところです。
流歌さん、単行本も素敵でしたけど、文庫もよいです。表紙、じっくり眺めてました。細かいところまで丁寧に書き込んであって、素敵です。
やぶさん、私もサヤはダメでしたよ(笑)すごくイライラしました。だからこそ、最後に見せた彼女の強さがうれしかったです。
ざしきぼっこさん、夫のキャラがすごく効いていて、いいなあと思いました。「馬鹿」と言っても全然いやな感じがしないって素敵だなあ、と。
トントンさん、第1話が「トランジット・パッセンジャー」そして最終話が「トワイライト・メッセンジャー」というのも、なかなかいいですよね。この最後の部分が特に好きです。
ときわ姫さん、私もサヤは苦手ですよ。こういう「守られるのが当然」という女性は、現実でもあんまり好きじゃないんです。自分が正反対のキャラだからでしょうね(笑) (2004/04/22 20:29)
青子 > まゆさん、500冊達成おめでとうございます。この文庫、書店で見たのですが、”ゴーストとなった夫”のフレーズでパスしました。でも、いいお話そうですね。でも×2、”誰かの体を借りて”って言うのはやっぱり怖そう。500冊を記念して、セクシーMAYU♪なんてタイトルに変えないんですか~。 (2004/04/22 21:55)
nanako > 遅ればせながら500冊おめでとうございます。この本、評判いいので読もうかな~と思いつつ、最近日記でUPがないので存在を忘れかけておりました。さっそく図書館で探してきます!でも私も男性に甘えるヒロインキャラは苦手なのでちょっと微妙かも。。。 (2004/04/22 23:00)
ありんこ > 500冊おめでとうございます!私もまゆさん目指してゆっくりですが、頑張ります。この本は初めのあまりの衝撃に絶句しましたが、その後つらいことにもめげず、頑張るさやを思わず応援したくなってしまいました。 (2004/04/22 23:16)
まゆ > 青子さん、全然怖くないですよ。優しくてせつない、いい話です。キューティーたばぞうさんの向こうを張って改名ってのも楽しそうですが、やめときます(笑)
nanakoさん、男性に甘えるというか、あまりに内気でお人好しなので、男性が「守らなきゃ」と思うタイプの女性なんです。が、それだけじゃないってとこもありますので、ぜひ読んでみてください。
ありんこさん、私はサヤにイライラしつつ、でもきっと三婆やエリカみたいにお節介をやいてしまうんじゃないかなって気がしました。 (2004/04/23 01:28)
EKKO > 500冊おめでとうございます!私もラストはジーンとしてしまいました。エリカや三婆さん(!?)たちのサイドキャラクターも光ってました。 (2004/04/23 07:09)
まゆ > 500冊というのは、ものすごく大変なことのような気がしていましたが、意外とあっというまでした。この話、いろんなキャラがいい味出していていいですよね。私はエリカけっこう好きでした。 (2004/04/24 01:03)
たばぞう > あっ、まゆさん、500冊おめでとうございます!。今度は1000冊目指して頑張り(?)ましょう!。 (2004/04/24 09:43)
あしか > まゆさんの「かざりHN」を考えているうちにお祝いが遅れました。(って、なんで私が考えるんだ?すごく余計なお世話なんですよね。)でもたばぞうさんに軽い思いつきで贈ったらおっさんになってしまったので、真剣に考えて、やっぱり”プリティまゆ”かな~。それともL.T.M(ラブリーティーチャーまゆ)。ぐぐぐ、乗りすぎでしょうか・・反省。ともかく尊敬とお祝いをこめておめでとう!の言葉を。前から思ってましたが、まゆさんの日記の名前ってほんとにまゆさんらしいし、素敵ですよね。最初にみて、「あ、やるなあ~。」って思ったことを思い出します。 (2004/04/24 13:10)
まゆ > たばぞうさん、ありがとうございます。たばぞうさんの後を地味に追いかけています~。今年は仕事が忙しいので読書ペースは落ちそうですが、ぼちぼちやっていきます。
あしかさん、HNまで考えてくださってありがとうございます(笑)私としては、スウィート(かわいいって意味があるらしい)がいいかな。もしくはCool(かっこいい)かな・・・なんて、やりませんよ、やりません。日記のタイトルは今となっては気恥ずかしいんですけど、そのままにしてあります。もっと普通のつければよかった。 (2004/04/25 17:31)
あさこ > きゃ~!遅くなってスミマセンっ!四月って忙しいですよね。新年度のリズムに慣れるまでが大変です。まゆさんも大変じゃないですか?
って、それよりなによりとにかく、500冊おめでとうございます♪「スウィートまゆ」さんも「クールまゆ」さんもステキですが、まゆさんの日記のタイトルは本当にスバラシイと思います。まゆさんのイメージ(私のなかのですが・笑)にピッタリです。これからも、どんどんステキな日記をアップしてくださいね! (2004/04/26 00:22)
まゆ > あさこさん、ありがとうございます。4月は忙しいですね。でも、来月も運動会があるのでめちゃくちゃ忙しいんです。日記タイトル、あしかさんに続いておほめの言葉をいただいて、うれしいです。今後ともよろしく~。 (2004/04/26 00:44)
たばぞう > あんまりホメホメすると、まゆさんのことですから、照れ照れになってしまうかもしれませんが、まゆさんの日記のタイトルは本当に素敵ですよ。今まで見た本プロのタイトルの中で、一番美しいなと思っています。 (2004/04/27 12:22)
まゆ > たばぞうさん、そう言っていただけるとうれしいです~。なんとなく浮かんだ言葉をそのままタイトルにしたんですが、後で「カッコつけすぎたかな」と。実は500冊を機に変えようかとも考えたんですが、あしかさん、あさこさん、たばぞうさんのお言葉に気を良くして(笑)、このままいきます。 (2004/04/27 21:17)
たばぞう > えええっ、この考え抜かれたようなタイトルは「思いつき」だったのですか!?!?。うーん、まゆさんのセンスってすごいですね!。 (2004/04/27 23:47)
まゆ > とんでもないです~。ほんと、なーんにも考えずに、ふっと思いついたタイトルなんですよ。でも、ほめてもらえるとうれしいです♪ (2004/04/28 00:33)

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