杉浦日向子

2016年12月14日 (水)

江戸を愛して愛されて

2509「江戸を愛して愛されて」 杉浦日向子   河出書房新社   ★★★

単行本未収録の江戸に関するエッセイと、漫画集。

・・・というコピーを見たら、買っちゃいますよねえ。

杉浦さんの書く江戸物エッセイは、ほんとに「お江戸から来たんですか?」と言いたくなる妙なリアリティがあって、大好きなんです。それから、江戸のイラストも大好き。今回は、「新春・江戸之七景」というイラストエッセイも収録されていて、堪能いたしました。

江戸の「粋(いき)」と、大坂の「粋(すい)」の違いとか、おもしろかったです。

日向子さんはお江戸に旅立ったんだと信じている私ですが、たまにはこちらにひょっこり帰ってきてくださらないかしら。

2009年2月13日 (金)

ユリイカ  特集 杉浦日向子

1377「ユリイカ  特集 杉浦日向子」青土社   ★★★★

去年10月発刊の、「ユリイカ」臨時増刊号です。先日、盛岡のジュンク堂で見つけて、ついつい買ってしまいました。だって、表紙の日向子さんの笑顔を見たら・・・。

家族や交流のあった文筆家、編集者などの寄稿、日向子さんの作品解説、対談、単行本未収録作品など、中身は盛りだくさん。とにかく、どこを切っても杉浦日向子の一冊です。

日向子ワールドに心酔していた私には、日向子さんの死はショックでしたし、非常に多くの人たちが、同じようにショックを受けたことがよくわかりました。それでいて、不思議としめっぽくならないというか・・・そういうところは、日向子さんのお人柄なんでしょうね。

「絵師」杉浦日向子の遺した作品は偉大だし、江戸と現代とを橋渡ししたような日向子さんの足取りは、ほかの誰にも真似できないものです。かと言って、江戸にどっぷりつかっていたわけではなく、ロックが好きで、おしゃれで・・・という素顔も紹介されていて、なんだか気持がほっこりしました。

何度も書きましたが、日向子さんは今頃お江戸で遊んでいるんだろうな・・・と思います。そう思うと、さびしいけれど、なんだか悲しくないから不思議です。日向子さんみたいな人が存在したことが奇跡みたいなものなので・・・。私たちは、日向子さんが遺したものをこうやって読めることに感謝すべきなのかもしれません。

2008年7月 1日 (火)

一日江戸人

1317「一日江戸人」杉浦日向子    新潮文庫    ★★★★

 江戸っていったいどんな時代?将軍様から庶民まで、お江戸のあれこれを日向子さんが紹介する江戸のガイドブック。

 ほんと、こういうのは日向子さんでなきゃ書けないですね。
 以前、小学館文庫版(だったかな?)を持っていましたが、処分してしまいました。でも、図書館で見かけたら、やっぱり読みたくなって。
 日向子さんは絶対に江戸時代の人だと思うのですが(笑)、膨大な知識を惜しげもなく、私たちに与えてくれるのですよね。それも、全然偉ぶったところがなくて。そういうところが、読んでておもしろい理由の一つだろうなと思います。
 イラストが効いていて、すごくわかりやすいし、楽しいです。

2008年4月 8日 (火)

江戸アルキ帖

1279「江戸アルキ帖」杉浦日向子   新潮文庫   ★★★★

 タイムマシンで江戸の町へ・・・。日本橋から上野へ、神田へ、浅草へ。お江戸の町を、人を、日向子画伯がスケッチしたガイドブック。

 先日、蔵書を大量処分した際に、どうしても手放せなかった1冊。これ、いずれ「奇書」として残るのではないでしょうか? そう思えるほど、奇想天外な発想から成り立った傑作なのです。

 タイムトラベルが免許制。江戸に行っても、何も持ち出してはダメ。移動手段も基本は徒歩(事故防止のため)。・・・という設定の下、日向子さんが江戸に行って、見てきた風物をカラーでスケッチする、という実におもしろい本なのです。

 カラーイラストの数127点。これを眺めてるだけで、江戸に行ってる気分になります。そして、日向子さんのエッセイがまたすごい。五感をフルに使った表現で、「ほんとに江戸に行ってきたんじゃないの?」と思います。どうして想像だけでこんなリアルに書けるの?と。

 これを読み返していて、日向子さんがご存命のうちに、会ってお話してみたかったと、切実に思いました。あの大きな瞳で、いったい何を見ていらっしゃったのか・・・。

 この本、個人的に永久保存版にします。

2007年4月 6日 (金)

杉浦日向子の江戸塾

1100「杉浦日向子の江戸塾」杉浦日向子   PHP文庫   ★★★★   

 お江戸の住人・杉浦日向子の対談集。
 「ご飯を炊くのは男の役目」「プロポーズは女性から」「大江戸のカッコイイ男とは」・・・江戸の生活は、知ってるようで知らないことがいっぱい!

 宮部みゆき・北方謙三・山崎洋子・田中優子・石川英輔・高橋義夫の六人との対談集。杉浦日向子ならではの江戸ワールドが展開します。
 杉浦さんの著作を多少なりともかじった身としては、知ってる話題もけっこうあるのですが、それでもまだ「ええっ!」というものもあります。今回衝撃的だったのは、江戸の長屋住まいのおかみさんたちは、ほとんど料理をしなかったということ。
 印象的だったのは、西洋では病は駆逐するもので「闘病」なんだけど、日本では「平癒」。この感覚の違い。病ともうまくつきあって、命まではとられないように治って・・・という。言われてみて、なるほどと思いましたね。

 宮部さんが、日向子さんの早すぎる死を惜しんで、でも、日向子さんは今江戸にいるんだ・・・というのが、心にしみました。そうですね、日向子さんはお江戸に帰っていったのかもしれません。

わった > 杉浦さんは憧れの人でした。NHKの「お江戸でござる」を子どもたちと毎週楽しみにしていました。そうですね。今、江戸にいらっしゃるんですね・・・。 (2007/04/07 11:15)
リリ姉 > そうなんだ!今、お江戸にいらっしゃるんだ!?
杉浦さんのは、数冊読んだけどこれはまだ。本当におもしろい!平成のこの時代を怖ろしいと感じるか、はたまた別に時代からおもしろいと言われるのか、とっても興味深い。
また読み返してみるかな・・・ (2007/04/07 16:43)
まゆ > わったさん、日向子さんが「こうだったんですよ」と言うと、ものすごい説得力があるんですよねえ。ほんとに江戸から来たとしか思えない(笑)今はきっとお江戸で楽しく暮らしてらっしゃるんだろうなと思うことにします。 (2007/04/08 16:46)
まゆ > リリ姉さん、日向子さんの著作に出会わなかったら、ずっと江戸時代は閉塞したつまらない時代だと思っていたかもしれません。私の目を開かせてくれた方でした。文章もおもしろいけれど、漫画もすごく好きでした。
確かに、今の時代も、後の世にはどう評価されるんでしょうねえ。 (2007/04/08 16:47)

2006年7月12日 (水)

ごくらくちんみ

995「ごくらくちんみ」杉浦日向子   新潮文庫   ★★★

 とうふよう、うばい、キャビア、ばくらい、いぬごろし・・・さまざまな珍味と酒と人の物語。

 日向子さんの掌編小説集。すべての話が珍味から始まって、お酒が登場して・・・という流れ。そして、ある一場面が切り取られたかのごとくに描かれます。
 基本的に、短すぎる話はあんまり得意じゃないので(なんだか、おなかいっぱいになってしまうのです)、ちびちび読んでました。日向子さんが切り取る場面には、断片で終わってしまうものと、その前後に広がりを感じるものとがあって、私はもちろん後者が好みでした。
 しかし、これはキケンな本です。酒飲みの方。読む時には、必ずお酒を準備された方がいいですよ。絶対飲みたくなるから。
 なお、私は動物系の珍味は苦手だということが判明。お魚系か植物がいいです・・・。

 松田哲夫さんの解説がけっこう衝撃的でした。「私の体を病気が選んでくれたんです」って、日向子さん・・・。そんなこと言えるなんて、すごすぎる。
 そんな状況下で書かれた物語は、生と死にかかわるものも多く、読んでいるとドキッとしました。
 「別れのはつらい。残されるのは、たくさんだ。」(「しおうに」より)
 ほんとにね、日向子さん。

ざしきぼっこ > 莫久来(ばくらい)って探してもなかなか無いのに、何故か盛岡駅には売ってるんですよね。岐阜のメーカーで作られているんですが。読むとお酒が呑みたくなる本・・ですか。ちょっとそそられます。 (2006/07/13 12:06)
リリ姉 > この文読んでもなんだか飲みたくなるような・・・日向子さんの本は、亡くなられた時に勝手に「追悼」とか決めてまとめて読んだ記憶が。マツダさんの解説がいいですねぇ。そんな風に切り返しができると人生楽なんですが、あきらめきれないことが多すぎます! (2006/07/15 08:41)
まゆ > ざしきぼっこさん、ばくらいって盛岡駅にあるんですか!うわあ、知りませんでした。今度行ってみよう。この本のすごいところはですね、話に出てくる珍味の「お取り寄せガイド」がついているところです。 (2006/07/15 22:02)
まゆ > リリ姉さん、私も追悼読書しましたよ。もうじき1年になりますね・・・。日向子さんが「隠居生活」に入ったのも病気が原因だったというのを、この本を読んで初めて知った私です。ああ、そうだったのか、と。日向子さんがなくなられたのは、かえすがえすも残念です。 (2006/07/15 22:04)

2005年11月 1日 (火)

隠居の日向ぼっこ

877「隠居の日向ぼっこ」杉浦日向子   新潮社   ★★★

 手拭、きせる、ひごのかみ、蚊帳、櫛、熊手、赤チン、炬燵・・・。もはやすたれたものから、現在もなお生活に根付いているものまで。さまざまな「もの」を題材にしたコラム集。

 朝日新聞に連載されたのをまとめたもの。
 日向子さんが旅立ってしまわれてから3ヶ月あまり。なんだか、まだ実感がわきません。
 これは文章に、日向子浮世絵(漫画)のイラストを添えて・・・というもの。読んでると、「ふうん、そうなんだ」っていうのがたくさんあります。
 例えば、江戸の町は水の都だったゆえに、夏は蚊がすごかったという話。それゆえ、蚊遣りや蚊帳は必需品だったのですね。
 また、行灯の明るさは、豆電球よりも弱い、とか。ふうん、そうなんだ。

 この本の作者紹介はこういう文章でしめくくられています。

「最後まで前向きで明るく、決して病を憂えず、人生を愉しむ姿勢を貫いた。」

 杉浦日向子さんにふさわしい文章です。 

キイロイトリ > 杉浦さんは「お江戸でござる」の最後に江戸時代の生活についてまるで体験されたようにリアルに語られていたのをいつも「へぇ~」と感心ながら楽しく拝見していました。旅立たれて残念に思っています。著作を出されていたのは知らなかったのですが、江戸のお話、おもしろそうですね♪ (2005/11/02 22:10)
たばぞう > 杉浦さんが亡くなられてから出たこの本、私も気になっていました。「もの」についてのコラム集だったんですね。私も未だに杉浦さんが亡くなられたことに実感がわかないなぁ。「お江戸でござる」にひょいと出てそうな。「お江戸でござる」の番組も、もうなくなってしまいましたっけ?。 (2005/11/03 17:46)
まゆ > キイロイトリさん、これはお江戸のものとは限らないのですが、日向子さんの入門書としてもいいと思いますよ。日向子さんの著作は、漫画、随筆、小説・・・とあります。おもしろいので、ぜひどうぞ。 (2005/11/03 19:54)
まゆ > たばぞうさん、この本を図書館で見つけて「あ、日向子さんの本だ!」と手にとってから、「ああ、日向子さんはもういないんだっけ・・・」と。全然実感ないです。残してくれたものは、大事に大事に読んでいこうと思っています。 (2005/11/03 19:56)

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