逆ソクラテス
3079「逆ソクラテス」 伊坂幸太郎 集英社 ★★★★
小学校六年生の時。加賀と安斎、草壁、佐久間の四人が、担任の久留米先生に仕掛けた小さな反乱。キーワードは「僕は、そうは、思わない」。
伊坂幸太郎デビュー20年目は、少年たちの物語。
「逆ソクラテス」「スロウではない」「非オプティマス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」の五話。いずれも小学生が主人公だったり、小学生のときの思い出が鍵になっていたり。
伊坂作品の中では、恐ろしくとっつきやすい(笑) いつもは伊坂ワールドにフィットするまで時間がかかるのですが、今回は難なく入り込めました。
しかし、「逆ソクラテス」は、グサグサ刺さりまくりました(苦笑) 教壇に立ったことのある人なら、たぶん同じ思いを味わえるかと。でも、わかる。加賀たちの気持ち、すごくわかる。先入観をひっくり返す「僕は、そうは、思わない」が、ズシンときました。それを言える勇気は、大人にだって必要です。
どの話も愛おしいのですが、一番好きなのは「アンスポーツマンライク」です。一歩踏み出す勇気がもてない歩と、仲間たちの話。次の「逆ワシントン」のラストに登場する彼は、彼でしょうか?(意味不明ですね。すみません)
あとがきで、「どうしたら自分だからこそ書ける、少年たちの小説になるのか。」と悩みながら書いた、と。いや、見事に伊坂さんならではの物語でしたよ。
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