アンマーとぼくら
2598「アンマーとぼくら」 有川浩 講談社 ★★★★
沖縄に住むおかあさんと三日間の休暇を過ごすために帰ってきた「ぼく」。思い出の場所をめぐるうちに、亡き父や母のことが鮮やかによみがえってくる。そう、おかあさんとぼくは、血がつながっていない。実の母は亡くなるとき、こう言った。「お父さんを許してあげてね。お父さんは、ただ、子供なだけなのよ」
アンマーとは沖縄の言葉で、「お母さん」のこと。題名の通り、、主人公の「ぼく」と、その継母・晴子さん、そして「ぼく」の父との物語です。
有川浩の小説は、実はちょっと苦手なんです。直球でくるから。こちらがどうしようもないところに追いつめられて、感情を揺さぶられてしまうから。今回も、泣くもんかと思ってましたが、無駄な抵抗でした。だって、泣いちゃうでしょ、これ。
沖縄の観光案内みたいな感じですが、それぞれのスポットで語られる沖縄の風土だったり、「ぼく」たちの思い出だったりが、いちいち心に刻まれるんです。そうして、「ぼく」がたどりついたところは・・・。
ほんと、沖縄の海の美しさって、圧倒的なんです。物語の中では、ちょっとした不思議が起こって、え?結局どこまでが現実?ってなるのですが、読み終えて、表紙の海を見ると、そんな不思議が起こってもおかしくないよなあと思えてしまう。沖縄の海の「ちから」を、感じてしまうのです。
父と子、母と子、そして夫婦の愛の物語。・・・というと、ベタすぎますが、有川さんが直球で投げてくる愛は、なかなかヘヴィで、ズシンときます。
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