畠中恵

2017年6月12日 (月)

おおあたり

2590「おおあたり」 畠中恵   新潮社   ★★★

相変わらず病弱な若だんなだけれど、相変わらずもめごとには巻き込まれて・・・。シリーズ第15作。

「おおあたり」「長崎屋の怪談」「はてはて」「あいしょう」「暁を覚えず」の5話。今回は、いろんな「大当たり」が描かれます。

大妖おぎんの命によって、一太郎のもとにつかわされた若き日(?)の佐助と仁吉の話「あいしょう」と、若だんながなんとか仕事に行こうとする「暁を覚えず」がよかったです。

しかし、若だんなの幼なじみ・栄吉の作るあんこって、いったいどんな味がするんでしょうねえ。妖たちが気絶するって(笑)

2016年1月 3日 (日)

なりたい

2394「なりたい」   畠中恵         新潮社         ★★★

病弱な若だんなのもとなまたしても持ち込まれる、数々の厄介ごと。若だんなと妖たちは、事件を解決できるのか?

しゃばけシリーズ第14弾。

「妖になりたい」「人になりたい」「猫になりたい」「親になりたい」「りっぱになりたい」の五編。

若だんなの知り合いが若くして亡くなるというのが幕開け。人一倍からだの弱い若だんなだからこそ感じる、さまざまなことが、なんともせつなかったです。長い時間を生きる妖たちのせつなさも。

好きだったのは「親になりたい」でした。

若だんなが来世に望むことに、なんだかほろりとさせられました。人と人ならぬ者たちが共存できるようなゆとり、失いたくないものです。

2015年12月 6日 (日)

うずら大名

2383「うずら大名」 畠中恵   集英社   ★★★★

江戸にほど近い村の名主・吉之助は、辻斬りに襲われたところを、二人の武家に助けられる。その二人は、かつて町道場で一緒だった有月と左源太だった。今や隠居大名となった有月との邂逅を喜ぶひまもなく、泣き虫の吉之助は大きな陰謀に飲み込まれていく。

「うずら大名」の名の由来は、有月が「佐久夜」という名の鶉を飼っているからです。この鳥、飛ぶのは不得手ですが、「御吉兆ーっ」と鳴く縁起物。そして、やたらと賢く、勇猛果敢(と言えば聞こえはいいが、気が荒い)。もちろん、佐久夜は大活躍をするわけです。

さて、もともとは名主の家の三男坊で、将来に希望をもてなかった吉之助が通っていた不動下道場。そこは、身分の上下を問わず、同じような部屋住みの身が集まっていて、大名の末子だった有月もかつてそこにいた、というわけ。二人とも思わぬ運命の変転があって、吉之助は名主の家を継ぎ、有月は大名になり(ただし、今は若くして隠居の身)・・・そして、偶然にも再会したところから物語は始まります。

江戸近郊の大百姓たちに何かが起きている。急死する者もおり、代替わりが続いている。大名に金を貸すほどに力をつけてきた豪農たちに、何が起こっているのか。その探索に関わることになった吉之助たちは、思わぬ事件に遭遇します。それは、江戸の太平の世を揺るがしかねない陰謀。

徐々に明らかになる事件は、吉之助たちにとって、なんともせつない結末を迎えます。なんとなく、真犯人が哀れに思えてなりませんでした。

2015年11月15日 (日)

まったなし

2376「まったなし」 畠中恵   文藝春秋   ★★★★

麻之助の悪友仲間の一人・清十郎はモテ男。今までも多くのおなごと浮名を流してきたが、町名主を継いだころから、縁談が引きも切らず。とうとう「まったなし」の状況に追い込まれるが、清十郎はなかなか嫁を貰う気にならない。麻之助たちはやきもきするのだが・・・。

お気楽な町名主の跡取り・麻之助たちが活躍する「まんんまこと」シリーズの5作目。今回のメインは、清十郎の縁談です。

「まったなし」「子犬と嫁と小火」「運命の出会い」「親には向かぬ」「縁、三つ」「昔から来た文」の6編。

妻子を亡くした麻之助もすっかり元気になって、今回は友のために奔走しています。まず、そのことに安堵しました。一方、清十郎の縁談はいよいよ「まったなし」。というのも、清十郎の義母のお由有にも縁談がもちあがっており、さらに清十郎の妹にも縁談が。すべてが、清十郎の嫁取りが前提になっているので、よりせかされるというわけ。

一方、お由有(実は、麻之助たちの幼なじみで、二つ年上なだけ)の息子・幸太の実の父親のことが明らかになったり、麻之助も清十郎もはやり病で死にかけたりと、波乱含みの展開です。

清十郎の前には、しっかり者だけどもう二十のお安と、十も年下のかわいらしいお香という、二人の女性が登場。さらに、麻之助たちは何かと厄介な事件の始末に駆り出され・・・。紆余曲折の末に、清十郎が得た答えとは。

まあ、そうなるだろうなという感じでしたが、一筋縄ではいかない展開がなかなか楽しめました。

2015年7月 3日 (金)

えどさがし

2318「えどさがし」 畠中恵   新潮文庫   ★★★

明治の世。かつて長崎屋にいた妖たちは、若だんなが生まれ変わってくるのを、人の世で待ち続けていた。今は京橋と名乗る仁吉は、若だんなを探すうちに、事件に巻き込まれ・・・。

「しゃばけ」シリーズ外伝。

「五百年の判じ絵」「太郎君、東へ」「たちまちづき」「親分のおかみさん」「えどさがし」の5編。

佐助が長崎屋に入るきっかけの出来事を描いた「五百年の~」と表題作が印象的でした。どちらも、長い時間を生きる妖ならではのせつなさや悲しさが感じられて。表題作では、鳴家たちが若だんなを慕っているのがなんとも言えず・・・。早く会えますようにと祈らずにいられませんでした。

「親分のおかみさん」も好きな話。日限の親分、こんなにラブラブだったんですね(笑)

2015年6月23日 (火)

すえずえ

2313「すえずえ」 畠中恵   新潮社   ★★★

若だんなの親友・栄吉に縁談が!? そして、若だんな自身にも・・・。妖たちが数多集う長崎屋の離れで暮らす若だんなに嫁取りなどできるのか?

「しゃばけ」シリーズ第13弾。

「栄吉の来年」「寛朝の明日」「おたえの、とこしえ」「仁吉と佐助の千年」「妖達の来月」の5編。

いずれも「すえずえ」のタイトル通り、これから先のことを考えさせられるような話です。栄吉に許嫁ができ、それを機に若だんなの許嫁も決まり(?)、それによって妖達の生活も少しだけ変化を見せ始めます。

「仁吉と佐助の千年」がせつなかったです。若だんなに心から仕えている二人だけど、いつかは若だんなの方が先に死んでしまうわけで・・・(それは、ほかの妖たちも同じ)。その痛みをこえてでも、今、一緒にいることを選んだ二人の思いは、人間には気が遠くなりそうな気分になるものですが。

若だんなもけなげですが、妖たちも皆けなげです。

2015年6月12日 (金)

たぶんねこ

2305「たぶんねこ」 畠中恵   新潮社   ★★★

長崎屋の若だんな・一太郎は、兄やたちと五つの約束をした。とりあえず、半年の間、おとなしくして、災難にも巻き込まれないように・・・。果たして、その約束は守られるのか?

「しゃばけ」シリーズ第12弾。遅ればせながら読みました。もういいかなあと思いつつ、やっぱり気になって読んじゃうんですよね、これ。

今回は「跡取り三人」「こいさがし」「くたびれ砂糖」「みどりのたま」「たぶんねこ」の5話を収録。

結論からいえば、若だんなは相変わらずいろんな騒動に巻き込まれ、熱を出して寝込んでしまうのですが(苦笑) 毎度おなじみの顛末でも、若だんながけなげで、ついついひきこまれてしまうのです。

しかし、仁吉って、白沢という力のある妖のわりには、けっこういろんなトラブルのもとになってるような・・・? ま、仁吉好きなのでいいですけど。

鳴家たちは、今回もかわいかったです。

2015年1月22日 (木)

ときぐすり

2221「ときぐすり」 畠中恵   文藝春秋   ★★★★

愛する妻と子を一度に失ってしまった麻之助は、心ここにあらずといったふうで・・・。友人の清十郎と吉五郎をはじめ、まわりの人々は心配でならない。町名主名代としてのお役目はなんとかこなしているものの、とんでもない無茶をしてしまったり。麻之助は大丈夫なのか?

「まんまこと」シリーズの第4弾。ようやく借りられました。

前作が衝撃的な展開だったので、その後どうなったのか、案じていました。やはり、麻之助の心の傷は深いようで・・・。事件解決のために己の命をはるようなまねをしている麻之助を見ている周囲の人々はたまらなかったでしょうね。

でも、じわじわと「ときぐすり」が効いてきたようで。ほんの少し、元気になったような麻之助の様子にほっとするとともに、せつなくて涙がじんわり・・・のラストでした。

時間が薬ってこと、ありますもんね。

2014年8月 3日 (日)

けさくしゃ

2158「けさくしゃ」 畠中恵   新潮社   ★★★★

小普請組の旗本・高屋彦四郎知久。恋女房の勝子をこよなく愛する彼は、無役をいいことに、狂歌の連などに参加していた。号は柳亭種彦。そして、新米版元の山青堂は、種彦に戯作を書くようすすめていた。

実在の戯作者・柳亭種彦を主人公にした、日常の謎系ミステリ(?)。旗本でありながら戯作のおもしろさにとりつかれた種彦が、その能力を使い、事件を解決していくという趣向。江戸時代の出版界のきまりごとなんかもわかりやすく解説されていて、興味深かったです。

種彦と、相方の山青堂、妻の勝子、中間の善太といった主要キャラがそれぞれいい味出していて、読んでいて文句なしに楽しかったです。

その中でも、「書かずにはいられない」種彦の心情は、物書きの性というか。下手をすればお上ににらまれて、首がとぶかもしれないという危険性をわかっていても、書くのをやめられないという思い。なぜと言われても説明できないその思いに突き動かされてしまう戯作者・・・作家の心情を、重すぎず軽すぎず、描いているところがとてもよかったです。

2014年5月 9日 (金)

ひなこまち

2122「ひなこまち」 畠中恵   新潮社   ★★★

長崎屋の若だんな・一太郎のもとにやってきた一枚の木札。「お願いです、助けてください」と書かれたそれを見た若だんなは、自分にできることならなんとかしたいと思うのだが、そもそも誰が困っているのかわからない。すると、次々に「困っている人」が若だんなの前に現れて・・・。

久しぶりに読みました。もういいかなあとも思ったのですが、読んでいると、一太郎の成長が感じられて、おもしろかったです。

長崎屋の妖たちがすっかりいいチームになってきて、探索に活躍する様子がなんとも楽しく。一話一話がすうっとつながっていく構成も、なかなかでした。

まだまだ続けられそうなシリーズですが・・・いつまで続くんでしょう。そして、私はいつまで読み続けられるかなあ。

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

「あ」行の作家 | 「か」行の作家 | 「さ」行の作家 | 「た」行の作家 | 「な」行の作家 | 「は」行の作家 | 「ま」行の作家 | 「や」行の作家 | 「ら」行の作家 | 「わ」行の作家 | あさのあつこ | いしいしんじ | こうの史代 | さだまさし | その他 | たつみや章 | よしもとばなな | アンソロジー | 万城目学 | 三上亜希子 | 三上延 | 三島由紀夫 | 三木笙子 | 三浦しをん | 三浦哲郎 | 三谷幸喜 | 上橋菜穂子 | 中山七里 | 中島京子 | 中田永一 | 中野京子 | 乃南アサ | 乙一 | 井上ひさし | 京極夏彦 | 伊坂幸太郎 | 伊藤計劃 | 伊集院静 | 佐藤多佳子 | 佐藤賢一 | 俵万智 | 倉知淳 | 光原百合 | 冲方丁 | 初野晴 | 加納朋子 | 加門七海 | 北大路公子 | 北山猛邦 | 北村薫 | 北森鴻 | 原田マハ | 司馬遼太郎 | 吉村昭 | 吉田修一 | 向田邦子 | 坂木司 | 夏川草介 | 夏目漱石 | 大倉崇裕 | 大崎梢 | 太宰治 | 奥泉光 | 宇江佐真理 | 宮下奈都 | 宮尾登美子 | 宮部みゆき | 小川洋子 | 小路幸也 | 小野不由美 | 山崎豊子 | 山本周五郎 | 山白朝子 | 岡本綺堂 | 島本理生 | 川上弘美 | 平岩弓枝 | 彩瀬まる | 恩田陸 | 愛川晶 | 戸板康二 | 日明恩 | 日記・コラム・つぶやき | 有川浩 | 朝井まかて | 朝井リョウ | 木内昇 | 朱川湊人 | 杉浦日向子 | 村山由佳 | 東川篤哉 | 東野圭吾 | 松本清張 | 柏葉幸子 | 柳広司 | 柴田よしき | 栗田有起 | 桜庭一樹 | 梨木香歩 | 梯久美子 | 森博嗣 | 森絵都 | 森見登美彦 | 森谷明子 | 横山秀夫 | 橋本治 | 氷室冴子 | 永井路子 | 永田和宏 | 江國香織 | 池波正太郎 | 津原泰水 | 浅田次郎 | 海堂尊 | 海外の作家 | 湊かなえ | 漫画 | 瀬尾まいこ | 田中啓文 | 田丸公美子 | 畠中恵 | 石田衣良 | 福井晴敏 | 笹尾陽子 | 米原万里 | 米澤穂信 | 芥川龍之介 | 若竹七海 | 茅田砂胡 | 茨木のり子 | 荻原規子 | 菅野彰 | 菅野雪虫 | 藤沢周平 | 藤谷治 | 西條奈加 | 西澤保彦 | 角田光代 | 誉田哲也 | 辺見庸 | 辻村深月 | 近藤史恵 | 酒井順子 | 重松清 | 金城一紀 | 須賀しのぶ | 高城高 | 高橋克彦 | 髙田郁 | 鷺沢萠

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

カテゴリー