透き通った風が吹いて
2421「透き通った風が吹いて」 あさのあつこ 文藝春秋 ★★★★
野球部を引退した渓哉は、自分を見失ったようになっていた。そんな彼の前に突然現れた一人の女性。渓哉は彼女に心惹かれるが・・・。
あさのあつこの青春ものって、昔の少女漫画みたいでちょっと恥ずかしいんだよな・・・と、読み始めは思っていました。野球部のエースだった渓哉。彼とバッテリーを組んでいた実紀(みのり)。実紀のはとこで、渓哉に思いを寄せる栄美。そして、岡山の田舎町に突然現れる年上美女。どうやら彼女は、美作に戻ってきた渓哉の兄・淳也に会いに来たらしい。
ベタな設定だなあと思いながら読んでいましたが、いつのまにかひきこまれていました。
まだまだ大人になれなくて、焦りと不安でいっぱいの渓哉が出会った女性・青江里香。彼女との物語は、足かけ二日のごくごく短い時間でしかないのだけれど、渓哉にとっては一生忘れられないものになるのでしょうね。うまく言葉では言い表せないのですが、渓哉の気持ちの揺れが、すごく腑に落ちました。
渓哉の心に、透き通った風が吹いたのですね。
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